レース模様の図書室、再訪|フランスガム《1》|Rêve d'amour
どこからともなく、素敵な調べが流れてきました。書物の隙間を縫って書棚を伝い、ちいさなシャンデリアの硝子の飾りを揺らし、少女たちの頁をめくる指先を過ぎ、どこかへ消えてゆきます。
今度は少しくぐもったベルの音色が聞こえてきました。過去からの呼鈴のように、郷愁を誘います。
響いては消える可憐な音色を、菫色の図書室に探しに行こうと思います。
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異国の古い書物の間に飾られた、スミレ花と菫色で装丁された一冊の書物。表紙には『愛の夢』を意味する仏蘭西語と猫と少女