レース模様の図書室、再訪|維月 楓&霧とリボン|架空のアブサン酒《F203》
TextKIRI to RIBBON
菫色の図書室への再訪も今日が最後——もうすぐ閉じられる扉を想いながら、新緑の中を歩いてゆきます。
どこからともなく、花々の香りが漂ってきました。香りは風に乗って消えてはまた現れ、図書室への道を一緒に楽しんでいるかのよう。
厳かな気持ちで扉を開け、入室します。花々の香りはいったん古い書物の匂いの中に消えてゆきましたが、ある書架の前で、ふたたびその香気を濃く深くするのでした。
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アメリカの詩人の詩集が並んだ書