運命と戦う男2(初対面は最悪)
私が旦那ちんに会ったのは、今から18年前の事だった。私は地方で売れない演歌歌手をしており、しょうもないイベントや夏祭りだの町内会の祭りだのキャバレーだのキャバクラだの、ランパブだので歌っていた。
「あんた見たことないね~」これが定番のセリフだった。
(そうよ、売れてたらここで歌なんて歌はないしー)
ギャラのかわりに、お野菜たくさんとかギャラの代わりにジビエ肉盛りだくさんとか、ギャラの変わりに民家に泊めてもらい食事&お風呂&お酒&デュエット。ただのなんでもやねん。
ローカルのラジオで、アシスタントをしたってスポンサーの読み上げかお決まりのつまんない話をするか・・・。
よくある、小さな事務所の社長が借金をして逃げた?なんて聞くと思いますがまさにそれ。私の母親が連帯保証人になったが為に、うちにドーンと借金が周ってきました!
「いよっ!」
バカ娘が・・・親に憎まれ借金を借金で返し、毎月しょうもない営業。
ステージで歌い始めたら、観客がおばあさん2人だとか歌っている最中の真っ白のドレスにセミや蛾が寄ってきて、斑模様のドレスになったなんて普通。
サビを大口あけて歌っていたら、セミが口に見事イン☆なんて事もありました。セミ味の夏祭りとでもいいましょうか?
辞めるに辞められず、大手なりどこかの事務所に籍を置くことで安定を図りたいともくろみ、出会った会社の社長はチャラチャラして感じの悪い男でした。
「初めまして、よろしくおねがいします」と頭を下げる私を見ずもせずに、スタッフに次のスケジュールを聞きながら、私の置いておいたおにぎりをほお張る男・・・・。
「むかつく!」
そう、これが初めて会った旦那ちんになる前の旦那ちん。
彼曰く、私は
「壊れたマネキンみたいなのが、立ってたから無視した」だそうです。(怒)
そう、そういえばその日にスチール写真を撮ったんです。いちよう歌手も撮りますから、在籍しているんでね。
だいたい、芸能プロダクションなんてやっている人は変態かどっかヤバイ人だと田舎ものの私は、充分に疑っていました。
そう、それは春先だった頃の思い出。
変な歌ばかり歌っていたポンコツ歌手とポンコツ社長の出会いでした。
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