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かつての豪農の館に見た地域を愛する人々の思い

秋田県秋田市の中心部から車で30分ほど、秋田市金足黒川というところに、国の重要文化財に指定されている「三浦館」があります。
これは江戸時代のこの地域の肝煎をつとめた豪農三浦家の屋敷です。

今回、公開見学会が開催されましたので参加してきました。

三浦館は小高い丘の上、約4000坪の敷地に表門、主屋、土蔵、文庫蔵、味噌蔵、米蔵、鎮守社、馬小屋の計8棟が建ち、加えて日本庭園があります。

現在は敷地の裏側に県道が通っているため、駐車場の関係で表ではなく裏から入って行きました。

坂を登って敷地に入ると、左手に鳥居と小さなお社があります。昔のお金持ちは本当に神様を大切にしますね。お祀りしてあるのは龍神様とお稲荷様だそうです。

右手には茅葺き屋根の大きな主屋があります。
普通の建物の3階から4階建て相当の高さがあり、建坪は約170坪、屋根には130トンの茅が使われています。

中に入ると土間の囲炉裏とカマドには木が焼べられていました。
茅葺屋根の建物は、茅に虫がつかないよう一年中煙を出ている必要があるんですね。
それにしてもガスではない木の火っていいですね。炎も時折パチパチと鳴る音も、とても心地よいものです。

板の間の奥には畳敷きの座敷がいくつかあります。
今回の見学で私がもっとも憧れたのが、このいくつかの座敷でした。

豪華に感じる派手さはありませんが、障子や透かしの欄間、そこから入ってくる優しい光の陰影、借景のように外に広がる庭園など、いつまでもこの座敷に座っていたい(できれば寝転びたい)と思わせる、とても落ち着いた雰囲気がとても魅力的でした。

三浦館はこうした座敷など内部はもちろん、敷地内はとてもきれいに清掃、整備されています。
建物も大きく、敷地も広く、日常の管理はどうしているのだろうと思っていましたら、ご親族を中心とした三浦館保存会に地域住民の方々がボランディアで協力して、三浦館を維持しているという説明があって感心いたしました。

三浦館を三浦家だけのものではなく、地域共有の財産として大切にしていこうという思いが、こうした活動を支えているのだと思います。

三浦館の建物も庭園も座敷も素晴らしいものでしたが、地域愛というとてもきれいなものを見せていただきました。

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