なぜ素直になれないのか
実家から東京に出る時、思いの外わたしはだいたいの衣服を東京に持って行ってしまったらしい。1年ぶりに帰省してみれば、パジャマどころか下着の1枚もない。
天神に久しぶりにUNIQLOができたらしい。ミーナ天神さまさまである。わたしは新しくなったミーナ天神に感謝をしながらちいかわのコラボルームウェアを購入。東京ではハチワレを着ているが、福岡ではうさぎにした。ルーブル美術館とのコラボUTも安くなっていたので購入。ついでに実家でパッと着れるものが欲しかったので、リネンのズボンも買った。
そういえば、UNIQLOで紙袋を買ったことがない。常にちいかわのエコバッグを持ち歩いているので、買う機会がないのだ。ちいかわをゆらゆらさせながら歩いていると、PARCOの前でチラシを配っているお兄さんがいた。わたしはイヤホンをしているのをいいことに曖昧な笑みとお辞儀でかわしながら何を配っているのか盗み見た。
ジャ、ジャッキー!!
「うちわ配ってます」
という声がイヤホンを超えて届く。
どうしよう。くまのがっこうのジャッキーの随分とかわいい柄のうちわだった。それなのにわたしの足は止まらない。
いりませんけど?みたいな足取りでスタスタとその場を離れていく。
どうして。
あの袋に入ったチラシをもらうだけなら何もないのに。電話番号とかメールアドレスとか握られることもなくもらうだけもらっておくということもできたのに。
どうしてわたしはもらわなかったんだ。
横断歩道を渡り、ふと目線を上げると目の前のお兄さんがジャッキーのうちわを煽っていた。
ああ、いいなあ。どうしてわたしはもらわなかったのだろう。
そんな8月1日。