司と操の「SKiT！寸劇脚本」シリーズ 001-3
「ちょっと相談があるんだけど。／アイドルになりたい編 03」
ミサオ どっちの意味？ 大丈夫なの？ じゃないの？
ツカサ 大丈夫なの！ ていうか、オリジナル曲はあるのか？
ミサオ いや、とりあえずカバー曲で始めようかなって。
ツカサ カバー曲かぁ。だったら、カラオケでガンガン歌って、録画して、
ネットにアップすればいいんじゃないか？
ミサオ それって、み～んなやってるじゃん。
ツカサ じゃあ、ストリートで歌うとか。
ミサオ それも、かなりのミュージシャンがやってるじゃん。
ツカサ じゃんじゃんじゃんじゃんうるせーよ！
ミサオ 渋谷ジャンジャンは無くなってしまいました。
ツカサ 知らん。なに？ ライブハウス？
ミサオ 小劇場。だけど、芝居だけじゃなく、超有名ミュージシャンもライ
ブをやってた。
ツカサ え、誰？ オレも知ってるような人？
ミサオ そこ、広げるの？
ツカサ ま、そうだな。で、観に行ったことあるのか？
ミサオ 二十年以上前に無くなったのに、行けるわけないじゃん。
ツカサ じゃあ、なんで知ってるんだよ。
ミサオ 今はネットで検索すれば、なんでも出て来るじゃん。
ツカサ さっきから、わざとじゃんじゃんって言ってる？
ミサオ まぁいいじゃん。ていうか、もっと斬新なアイデアを出してくれ
よ！
ツカサ 難しいなぁ。その顔でアイドルなんて…。
ミサオ ついに顔のことを言っちゃったよ！
ツカサ 誰が？
ミサオ ツカサが！ 今！
ツカサ ウソ！？
ミサオ これからは、本心がダダ漏れヤローって呼ぶよ。
ツカサ 失礼なヤツだな！
ミサオ 気づかずに本心を言っちゃうツカサの方が失礼だと思うけどね。
ツカサ ゴメンナサイ！
ミサオ おっと、いきなりの謝罪ですか！？
ツカサ これが本心です。
ミサオ では、謝罪を受け入れます。
ツカサ ありがとうございます。しめしめ。
ミサオ 一つだけ忠告しておくよ。
ツカサ なんでしょうか？
ミサオ 心の中で何を思ってもいいけど、それを口に出すな！
ツカサ 出してるつもりはないんだよね。
ミサオ じゃあ、ダメじゃん。
ツカサ だよね～。だっちゃね～。だがね～。
ミサオ ラップが歌いたくなっちゃったのかな？
ツカサ あ、知ってる？ イーストエンドプラスユリ。歌ってよ。
ミサオ オレは、ラッパーじゃないから歌えない。
ツカサ カバー曲から始めるんだろ？ じゃあ、大ヒットしたこの曲を歌え
よ！
ミサオ 今、命令した？
ツカサ イヤ、してないよ。歌ってみるのもいいんじゃないかっていう提案
だよ。
ミサオ そうは聞こえなかったけど、まぁいいや。でも、ラップは歌えな
い。
ツカサ そこの接続詞は、だけどじゃないかな？
ミサオ でもでもだけどでも、どっちでもいいでしょ、って、林先生も言っ
てるよ。
ツカサ それって、今でしょ、でしょ！
ミサオ 今、それはどうでもいいでしょ。ていうか、接続詞にこだわるなっ
て、さっき言ったくせに！
ツカサ ゴメンナサイ。
ミサオ あ、また素直になった！
ツカサ ボクは、いつもいつでも素直ないい子ですけど。
ミサオ なるほどです。
ツカサ それほどです。
ミサオ ん？
ツカサ ゴメンナサイ！
ミサオ だから、謝るなよ！
ツカサ あ、命令した！
ミサオ 今度はオレ？
ツカサ いや、命令してないよな。ゴメンナサイ！
ミサオ もういい！ 同じことの繰り返し。そうやってはぐらかして、オレ
の相談をうやむやにしようとしてるんだな？
ツカサ やっとわかってくれたか！
ミサオ 本心が漏れちゃってるよ。
ツカサ いいんだよ。漏らしたんだから。
ミサオ ションベン漏らしたのか！？
ツカサ ちげ～よ、きたね〜な！ 本心だよ、本心。ミサオにアイドルなん
てムリだよ！ ムリに決まってるだろ！
ミサオ とうとう決めつけられちゃったよ。
ツカサ 諦めろ！ ムリだよ！ これが、ミサオの相談へのオレの答えだ。
ミサオ あ～あ、予想通りの答えだよ。
ツカサ ホントは、その答えを待ってたんだろ？
ミサオ そんなことないよ！ オレは本気だったよ！
ツカサ だったってことは、諦めたんだな。よしよし、いい子だ。(ミサオの
頭を撫でようとする)
ミサオ (その手を払いのけながら)友達だと思ってたのに！
ツカサ いや、友達だよ！ 友達だからこそだよ！
ミサオ わかった。
ツカサ よかった。
ミサオ 別の友達に相談しに行って来るよ！ (立ち上がる)
ツカサ ちょ、待てよ！
ミサオ それって、アイドルのモノマネだろ？ ひょっとして、ツカサがア
イドルになりたいのか？ それで反対してたのか？
ツカサ ちげ～よ！ そんなわけね～だろ！
暗転。
（幕）
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