ウニの発生実験
ずいぶん前の記事で、これを公開した時からカフェでの「ウニの発生実験」は進化したので、リライトすることにしました(2023.08.24)。
週末(ほぼ土曜日のみ)だけ開くきらら舎のカフェでは毎回午後5時より「Cafe Schole」と呼ぶワークショップをやっています。それ以外の時間では好きなワークショップを自由にやったりやらなかったりできるのですが、この時間帯だけはテーマを決めたワークショップをやります。
その一つ。「ウニの発生実験」。
Cafe Scholeの中では専門的なほうに入ります。
ウニの産卵は冬はバフンウニ、夏はムラサキウニ、秋はキタムラサキウニやアカウニがシーズンですが、実験には冬のバフンウニが一番扱いやすいと思います。
「アリストテレスのランタン(提灯)」と呼ばれる咀嚼器(口器)が真ん中に見えます。桜の花みたいなものは歯。5つあります。ここをピンセットで取り出します。
口の周りの管足が黄色いものがメス、白いものがオスですが、熟練しないとなかなか完全な判別は難しいです。
中の水を振り切って、口を上にして海水を満たしたフラスコの上に置いて塩化カリウム(KCl)0.5molを数滴垂らして、放卵・放精させます。
オス、メスとも生殖巣が5つあることから、放出される卵・精子も5本の筋となって落ちていきます。
オスは海水を少しだけいれたシャーレの上に置いて放精させると、それをそのまま4~5℃くらいで数日保管ができます(受精能力を維持できます)。これをドライスパムといいます。
このあと、受精させて、現在はプロペラを入れたびんでぐるぐる撹拌しています。
土曜日までに4腕プルテウスになるといいのですが・・・・・
結局、成長が遅く、プリズム幼生にもなっていないくらいで参加者の方へはお渡ししました。チューブに入れているので、このままポケット飼育をしていただきます。
そのまま飼育してうまくいけば、1か月後に小さなウニになる予定ですが、この分だと2か月くらいかかりそうです。
その後・・・・・
まず、使ったウニで骨格標本を作りました。
乾燥させて完成。
強化(保護)のためこれからレジンに封入したり、標本壜に入れたりします。
さて、プルテウス幼生。
寒いため、教科書どおりには成長しません。
それでも、ようやく4腕プルテウスになってきました。
真ん中が胃。
茶色くなっているのは餌のキートセラス(浮遊珪藻)を食べたため。
8腕プルテウス。
体内に管足や棘ができてきました。
そろそろ変態です。
現在は、ウニの実験は「お茶大二次拠点」として行うものが多く、
2月にバフンウニ
7月にタコノマクラ
11月にアカウニ(またはキタムラサキウニ)
を行っています。
このほかに、水槽で吹いたコシダカウニやサンショウウニなどのプルテウスを育てたり・・・・・
時間に余裕がある時には、きらら舎主催でムラサキウニやヒトデも行っています。
今回紹介した実験ではウニは死んでしまうのですが、飼育可能なウニの場合はアセチルコリンを注射して放精放卵させます。
ウニのプルテウスの飼育などについては、2023年7月に新生出版社から出版した『美しい実験図鑑』にも掲載しました。プルテウスの写真~稚ウニの写真も掲載しているので、興味のある方は立ち読みしてください。
ウニ実験はリモートでも行っていますので、ぜひご参加ください!