93歳のばあちゃん


皆様ACPをご存知だろうか…

おおよそある程度の年齢に達したその後の人生や、人生の最後をどのように迎えるかと考えることである。
わたしたちが任意の生命保険に加入するのもある意味ACPなのかもしれない。自身の老後についてある程度想像をしている方は多いのではないだろうか。

平沢は高齢者になったとき毎日健康マージャンに通いたい。それだけの筋力維持と認知機能は保っていたい。できればすきなことをほどほどに楽しんでいたいものだ。


さて、本題に入ろう。

ばあちゃんは93歳である。
去年新型コロナウイルスが流行し、25年近く通っていたスポーツクラブを退会した。
ばあちゃん曰く、“みんなに迷惑かけたくない”と。
確かにそれは一理ある。スポーツクラブは介護施設ではない。90代のばあちゃんを見て、みんなが気にかけてくれていたのだろう。優しい人たちが通っていたり、ステキなスタッフの多いスポーツクラブだったんだ、と目頭が熱くなった。
ばあちゃんの一大決心。
なかなかコロナ禍で、ばあちゃんに会うことができなかった。久しぶりに会っても、なんとなく変わらない気がした。


スポーツクラブを退会して一年ほど経過…
ばあちゃんから“買い物に行った時に転んじゃったの。同じものも買ってしまうし、なんか変になっているのよね”と話があった。
平沢とひ孫でばあちゃんの話を聞いていた。
つい最近この世を去ったツレのばあちゃんが脳裏をよぎった。骨折をして認知症をこじらせて、家に帰れないまま命を落としてしまった。基礎疾患もあったようだが、この一年の出来事であった。

一年という長いような早いような月日の流れで、人の人生は大きく動くときがあるのだ。

これはばあちゃんの危機だ!即座に頭のなかが仕事モードになっていく。ばあちゃんにまず必要なのは、買い物に一緒に行ってくれるひとだ。

ばあちゃんは父と母と一緒に住んでいる。父と母は現役で働いている。リモートワークでもない。
では土日に買い物に行けばいい…ということでもない。ばあちゃんは長年の習慣で平日に買い物に行くのである。それならば、外部のひとに買い物に一緒に行ってもらえばいい。

ここで必要なのが介護保険のサービスだ。介護保険のサービスを利用できる方は以下である。

第1号被保険者は、65歳以上の住民を指します。第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者とされています。被保険者であることを示す介護保険被保険者証があり、市町村(保険者)は、第1号被保険者は原則すべての人に、第2号被保険者は要介護・要支援認定を受けた人と、被保険者証の交付を申請した人に交付することになっています。
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-hoken/hi-hoken-sha.html


ばあちゃんは現在要支援2である。要支援2の状態というのはざっくり言うと、おおよそ自分のことは自分で出来るひとである。
買い物に一緒に行ってくれるひとを頼みたい場合、現在利用しているサービスを継続しながらであると、サービス利用限度を増やす必要があるかもしれない。
ばあちゃんは週2回半日のデイサービスに通っている。
そこで必要になるのは介護保険の区分変更だ。これは担当のケアマネージャーに相談をすると、変更の手続きを行ってくれる。その時に必要なのは介護保険区分変更主治医意見書だ。かかりつけ医をケアマネージャーに伝えよう。
手続きを開始すると、程なくして認定調査員が申請した人の住まいを訪れ、色々と身体の状況や認知機能について確認を行う。この際本人に任せると、張り切ってしまい、望む介護度が得られない場合がある。良いことなのだか悪いことでもある。ばあちゃんの安全な生活を考えるともう少し介護度を上げたい。こういうときは、誰か同席をした方が良い。なぜ今回介護保険の区分変更をしているのか、ということを再度調査員に伝えることは効果的だ。

とゆうことで、父と母と話し合った。

ばあちゃんは実は難しい人だ。子どもの頃ばあちゃんと大喧嘩ばっかりだった。
ポイントとなるのは担当となるケアマネージャーだ。今後の介護保険サービスを考えていく際に要となる人だ。可能であればケアマネージャー選びは慎重に行いたい。
ケアマネージャーは地域包括支援センターが探してくれることもあるし、お願いしたいケアマネージャーがいたら、地域包括支援センターの担当者に相談をすることもできる。

ここで、平沢は仕事でお世話になっているSケアマネージャーに依頼をするのはどうかと母と相談し、Sケアマネージャーへ連絡することに。

Sケアマネージャーは元々平沢と同じ業種の仕事をされていた。同じ職種だから信頼がおけるということではないが、Sケアマネージャーに任せれば何事も問題ないだろうと思った。これは同業者としての勘だ。流れだ!

仕事が休みの日にSケアマネージャーへコンタクトをとった。上記の話をし、Sケアマネージャーの事業所と実家が遠いことは大丈夫だろうかと問い合わせた。Sケアマネージャー「行きますよ!」と即答してくださって嬉しかった。
あとは母とやりとりをしてもらうことにした。


しばらく経ったある日。母からLINEが入った。無事に契約して、介護保険の区分変更を行うことができたということだ。Sさん感じが良いね!と。そうなのよ、とてもイケメンで爽やかな好青年なのである。
本当に有り難かった。
介護保険の区分変更結果がわからないとなかなか話が前に進まないのだが、早急に対応してくださったようだ。
ばあちゃんは新しい1日型のデイサービスに週一回追加でいくことになった。
週二回半日型リハビリデイサービスと隔週一回のヘルパーの買い物支援というプランが決まったようだ。

Sケアマネージャーへお礼の電話をした。
さくさく決まらないことが多い印象のサービスが、素早く決まった。感謝しかない(´;ω;`)

後日ばあちゃんに会ったとき新しいデイサービスについて話があった。

とってもよかった!いく日数を増やしてもらうつもり。お風呂で髪の毛を洗ってもらって、とてもきもちよかったよ!

大満足の笑顔である。Sさんのお陰だねー!と伝えると、“Sさん?”ってなっていたので、認知機能はやはり年相応である。仕方ない。93歳だ。

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