初めてまじめに看護師した。
③平成12年・総合病院169床・千葉県(その7)
透析室に勤務して、初めてまじめに看護師しました。
「え?」
透析室に勤務して、初めてまじめに看護師しました。
「ええ?」
大事なことなので2回言ってみましたよ・・・・・
さて、「まじめに看護師」とはどういうことなのでしょうか。
私ははっきり言って、15年くらいまじめな看護師ではありませんでした。ここでいうまじめな看護師とは「患者さんに向き合ってる」ということと思ってください。
今の自分が昔の自分の働く姿を見たら、多分ぶっ飛ばすと思います。
人間的に未熟で、すべてのことに余裕がなかった私は、自己中ナースでした。
決められている仕事を時間内に、自分に振り分けられた仕事はこなす。マニュアル通り、それ以上でもそれ以下でもない。患者さんにとっていいケアというよりは、より早く、より簡潔に、必要以上に関わらない、という感じでした。それが良いとも悪いとも、考える事さえなかったかも。
それが、透析室に移動したら、激変しました。
表面上の仕事では通じない場所、それが透析室、透析看護。
看護師歴は15年とはいえ、透析看護は1年生です。
腎臓の病気について、教科書で習った事はあっても接するのは初めてです。ましてや透析に必要な知識に触れるのも、透析に使用する機械に触れるのも初めて。
透析に使う機械です。
大学病院や施設によっては、この機械を操作するのは医師や臨床工学技士だけのところもありますが、私が働いた病院では、看護師も何でもやりました。
今まで「対人間」だったのに、いきなりこんな機械を扱うようになるのは相当なプレッシャーです。
しかも、命。命がかかっています。
透析患者さんは透析をしないと死んでしまいます。毎回毎回が、平穏な、平和な感じがしますけど、お互い命がけなのです。
さらに、針。
透析をするには、体外に血液を取り出し、きれいにしてから体内に戻します。
その為に先ほどの写真の機械に血液を通します。
血液を体外に出すには、針を刺さなくてはいけません。
透析患者さんは「シャント」という特別な血管を手術で作ります。そのシャントから、透析に必要な血流を確保するのです。
当然、通常の針の太さでは透析に必要な血液量を取り出す事はできません。
写真の上の針が、普通の人が注射をしたり点滴する針。下の太くて長い針が透析用の針です。
そうです。
透析のたびにこの針を刺さなくてはならないのです。
患者さんは、週に3回、この針を刺されます。血液を取り出す方と返す方、1回の透析で最低2本刺されます。
誰だって、毎回2本の穿刺で済ませたいですよね。
透析患者さんは、看護師に対して本当にシビアです。
病棟で、なんとなーく笑顔で、マニュアル通りの仕事でやり過ごしてきた私に取って、透析患者さんは「先生」でもありました。
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