全血縁がカルト信者の話 閑話休題

 友人の結婚式が神戸であり、それに乗じて1週間ほど関西圏に帰っていました。今回の滞在で感じたこと、考えたことをつらつらと書き残しておきます。

 結婚式に参加するのはこれで4度目でしょうか。式、披露宴その場その時のような温みが二人とその親類にずっと続けば良いなぁと湧きあがる陳腐な願い。大きな大きなハッピーぽかぽかイベントをスクリーン越しに参加してしまっていつの間にかそこにいるうす~い淡~い羨望のようなもの。この2つが複雑に絡み合った、穏やかで緩やかな暖かさに毎度毎度包まれています。世界は美しいんだなぁ。

 また別の友人宅を訪れ、もうじき2つになる娘ちゃんと遊びました。ちいさな人間の無垢さを久しぶりに肌身で感じて世界に向けた警戒心が少しほぐれるような気分になりました。世界は美しいんだなぁ。

 途中にはよく利用している古着屋の店番なんかしてみたり。とても楽しかったです。

 昔に訪れていた料理屋さん、シーシャ屋さんの店長が自分のことを覚えていてくれて、笑顔で迎えてくれたり。いろんな界隈の友人知人に再会することができました。

 最終日は休学中にお世話になっていた各キャンパスの保健センターとバイト先を巡っていました。ジムバッチ集めです。
 最初に訪れた保健センターにいらした職員さんの笑顔と歓迎の声から、自分が顔を見せに来たことへの喜びを大いに感じ取ることができて非常にうれしかったです。おばちゃんたちいつもありがとうございました。

 同時に、ちょっとした寂寥というか、柔い果物を指で圧迫してしまったような、少しじゅくっとした感覚。それを伴った、もういいんじゃないかと、赦しや慰めの類が与えてきたような、一種の「諦め」が芽生えました。
 これが自身全体に対するのものと感じた私は移動中、頭の隅っこで考えていました。あぁ自分は死に場所を探していたのかと、ずっと諦めたがっていたのかと、世界が美しいと感じ続けられている今がその時なんじゃないかと。その後の挨拶回りは、10%くらい、最期の挨拶をしているような気持ちで続けていました。

 最後に、当時面談を担当してくれていた精神科医のところに行きました。少し挨拶する程度で帰ろうと思っていたのですが、当時と何も変わらない案内で面談室まで移動し、今までの続きのように、今までと同じ時間、面談をしました。この3年と少し、自分がどのように変化して、どのようなことに問題があるのかをしっかり整理できてとても良かったです。いつでもおいでとのことなので、また経験値があぶれてきたら寄ろうと思います。

 ちなみに上京1年ほどで「親」から居場所を辿れないと連絡が来たそうです。ヤバ谷園。
 今後連絡が来ても今まで通り知らないでいい?と確認されたのでもちろん!と返しておきました。せんせーに、うまくまいたねって、ほめられたのが、よかったでーす。

 この歳になると人と遊ぶのも期間が空くため、元気?と聞かれることが多くなります。もう何年も薬で様々を騙して誤魔化している私には、元気!と嘘をつくエネルギーも、少なくとも元気ではないと宣言する素直さもありません。なので毎回ぼちぼちやね、と言うことにしています。
 今も交流を続けている人はみんな、程度の差はあれ事情を知ってくれています。なのでこの挨拶に込められている思いを感じつつも、その優しさを受け流してしまう自分に後ろめたさを感じていました。ゆるしてクレメンス~。

 友人知人の言葉や行動の節々に感じる優しさとその有難さについて、頭でははっきりと認識しているはずなのに、どうしてこうも幸せを実感しないのか。するりと後ろに流れて行ってしまうはお前なんでやねんコラと思う日々が長く長く続いていました。その最高潮が先述の「諦め」にあると思います。

 この「諦め」は、20年近くも「親族」で孤立し戦争を続けてきた、外界との闘争を担っていた「私」のものであるように思います。これからはその「私」にもう終わったよと声を掛け続け、最終的には成仏していただけたらなぁ、などと。
 形はなんであれまあ素直に満たされていけば良い。人との関わりも人並みな頻度や程度、人並みな情動の範囲で経験していけば案外世界も悪くなくなってくる。ニンゲンコワクナイ。オレタチニンゲンクワナイ。

 披露宴で新郎におめでとう幸せにやっていくんやでと伝えると、お前も諦めるなよ?と言われました。たった今ようやく、70%くらいは、この言葉を受け止められている気がします。沁みわたるぜ…

 少しずつではあるけれども、時間が自分に「人間み」を取り戻してくれていること、前向きな変化が起こっていることを認識しました。
 ずっと終わりのない延命治療を続けさせられている気でいましたが、そんなものでも日々繋いでいけば、案外素知らぬ顔して終わっているかもしれませんね。

 編集中にずっと頭の中で流れていた曲でも置いて、今回の話は終わりにしようかと思います。

https://youtu.be/oG9LOE_t3H4?si=cdfdFwcCXUSQlDDK

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