それでも世界は 輝いている 15話

「あのさ……、ヨウは副代表と仲が良いみたいだけど……」

「ん? 俺とアリエール達の関係?」

 サイは頷く。

「そうだな、別に隠すような関係じゃ無いけど、俺の師匠とアリエール達は仲が良くて、昔から俺とも付き合いがあったんだよ。その伝手で、此処に入学したって訳」

「そうなんだ。でも、凄いね。学園長の伝手だなんて、普通はみんな厳しい試験をパスして、やっと入れるのに」

「………悪いな。変なこと言って、そういうつもりで言ったんじゃ無いんだ」

 ヨウはブックを閉じると、足を伸ばしてサイを見た。サイはヨウの眼差しを受けると、恥ずかしそうに目を伏せた。

「いや、そうじゃないんだよ。それだけ、ヨウは才能があるんだなって……。今日の戦いを見れば、誰だって納得するよ。魔法をあれだけ使いこなせる人、僕は初めて見たよ」

「アッサリと負けちゃったけどな」

「仕方ないよ」

 ヨウが笑うと、サイもぎこちなく笑った。

 その後、ヨウはサイに簡単な寮の説明を受け、就寝した。

 翌朝、朝食中にサイから紹介された友人というのは、シジマ・カーネギーだった。シジマはヨウを見ると、満面の笑みを浮かべて隣の席に座った。

「俺たちは、何かと縁があるみたいだね」

 嬉しそうに言うシジマの言葉に、ヨウは笑顔で頷くしか無かった。レッドストーンでの事と良い、昨日の事、そして今日だ。男相手に運命という言葉は使いたくは無いが、このシジマという男とはよほど縁が深いと思える。

 シジマはヨウ達よりも二つ上の三回生と言っていた。先輩ではあるが、シジマはそんな事を気にしない性格のようで、好感が持てた。

 シノから買い与えられた制服に袖を通す。

 白い細身のジャケットの裾は長く、臀部の中程まである。スラックスも同色だ。ジャケットの襟と袖には、金色の刺繍が施されている。その上に、ブラックウッド・ロッジの寮生であることを示すローブを纏う。これで完成だ。後は、プレートとブックを持てば、全ての準備が整う。

 登校中。シジマとサイは、シノが教えてくれなかった様々な事を教えてくれた。どこのお店が多いとか、どこの寮に美人な生徒がいるとか、生徒の視線で語られる彼らの話は聞いていて面白く、新鮮だった。驚き、余り上手く返答のできないヨウを見て、サイは困惑したように眉根を寄せた。

「ヨウ、もしかして、僕たち迷惑だったかな?」

 サイは横を歩くシジマを見る。シジマもサイと同じように深刻そうに頷く。

「迷惑って、どうして?」

「ヨウが困ったような顔をしているからさ」

 シジマが言う。ヨウは自分の口元に手を当て、驚いたように目を見開く。

「そんな風に見えたかな? 俺は、全くそんな事を思っていなかったから……」

 ヨウは溜息をついて頭を掻く。

 原因は分かっている。師匠と離れ、ここに来る途中も同じようなことを何度か聞かれたことがあった。

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