チック、チック...ブーン!30歳の壁とライフプロジェクト
これは、ミュージカル「チック、チック…ブーン!」の歌詞の一部です。
ミュージカル「レント」を代表作とするジョナサン・ラーソンの自伝をベースとしたストーリーで、30歳を目前として焦りを見せる様子がこの一曲「30/90」に表れています。
30歳の壁
チクタク、チクタク、チクタク、チクタク
チクタク、チクタク、チクタク、チクタク
この歌詞やミュージカルのタイトルによく表れている通り、30歳までに何か成し遂げなくてはいけないというカウントダウンの音が私の頭のどこかで聞こえてきます。
30歳までに何もできなければ、人生終わり!(こんな調子じゃ、日曜のブランチの歌もドラマチックに歌いたくなります。)
そして考えれば考えるほど、自分は何がやりたいんだろう?に行き着きます。
22歳までに描いた階段
学生時代を振り返ってみると、自分がやりたいことなんてなかった気がします。
高校入学時、これからは英語が必要だ!と思い英会話教室に通いました。
大学ではそのまま、外国語系の学部に入りました。
就職活動では、これからはITが必要だ!と思いITベンダーに就職しました。
英語もITもそれなりに興味はあったし、楽しんでいたけれど、自分のためではなく、なんとなく世間に合わせていたのかもしれません。
22歳までに一生懸命描いた階段は他人のためだったので、いざ登ってみると思った場所に辿り着きません。道はあっているかもしれないけど、完全に迷子です。
迷子になっている間に聞こえてきました。
チクタク、チクタク
ライフプロジェクトの探索
迷子の中、私は大学院に入ることにしました。
入学したことで30歳のカウントダウン時計の音は小さくなりました。でも次は、卒業までに何か成し遂げなければという別の時計の音が鳴り始めるのです。
そんな時に、行き着いたのは「ライフ・プロジェクト」という言葉でした。
これはエツィオ・マンツィーニの著書『日々の政治』の引用です。
「ライフプロジェクト」という言葉を目にしたとき、自分に足りないものはこれかもしれない、そう思いました。
この言葉に出会うまでは、「ライフワーク」を探したいと言っていました。でも、「ライフワーク」という言葉は、「天職」とも訳される場合もあり、キャリアや仕事という側面が大きいとも感じていました。
一方で「ライフプロジェクト」は、自分そのものだと思うのです。
「自分自身の人生、あるいは人生の一部に関わる目的」はかなり広義の解釈ができますが、「ライフワーク」ってちょっと狭すぎない?と思ってしまった自分にはぴったりの言葉です。
そして、本著の第2章はライフプロジェクトと名付けられていますが、副題に「自律とコラボレーション」とついています。この言葉から分かる通り、ライフプロジェクトとは自己に閉じるものではなくて、人々とのコラボレーションや対話により成り立つものだと私は理解しています。
思い返してみれば、パッと頭に浮かぶやりたいことは今までにも沢山ありました。でもやる前に自分で無理かもと思ってしまったり、そこまで思いがなくて断ち消えてしまったり、友達に話したけど行動に繋がらなかったり。
その「やりたい」を他の人と一緒に「プロジェクト」にすることで、何かが実現できるかもしれないし、やっているうちに自分のやりたいことになるかもしれないのです。
もちろん、言葉でやりたいというだけではプロジェクトになりません。
でも、あれやりたいんだ、これやりたいんだ、をひとまず誰かと共有したり妄想することが、最初の一歩になると分かれば時計は鳴り止みます。
まだ私のライフプロジェクトは見つかっていないし、時計の音もたまに鳴るけど、「ブーン!」と爆発することはなさそうです。
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