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準備編:初心者向け展示壁のつくり方

2023年度 武蔵野美術大学クリエイティブリーダーシップ学科で卒業展示を行いました。DIYで小さな棚を作ったことがあるレベルで、このような施行は超初心者です。幸いパートナーに施行知識があったので、もらったアドバイスも踏まえてつくり方を紹介していきます。※あくまでも素人が書いたものですので、ご了承ください。

今回は、初心者向け展示壁の作り方の準備編です。準備期間、必要な道具類について紹介します。


実際に作った壁

初心者にしてはなかなか綺麗にできたと思います!学科の中で、「壁賞(非公式)」をいただきました(笑)

大きさは、横2730mm、縦2400mmです。(石膏ボード三枚分)
展示場所には、ダクトレールがありそれを隠したかったので自立式にしました。

自立式以外には、ディアウォール(上下の突っ張り式で簡単に柱が立てられる)を使ったものもありました。展示場所によっては、ディアウォールを活用した方がスケジュールが短くできます。

自立式の壁


準備期間

まず始めに、壁づくりに「10日間」は覚悟した方がいいです。
私自身が経験したスケジュールは以下の通りです。社会人院生なので、基本的に仕事後しか作業できず合計12日間かかりました。

  • 1日目:CADで壁の設計(ちなみにCADを使うのは2回目。Sketchupの使い方を習熟しながらつくりました。)(丸一日)

  • 2日目:必要な材料の計算

  • 3日目:材料の発注(材木店さんにカットと配送もお願いしました。配送はできないホームセンターも多いので要注意。)

  • 4日目:道具の買い揃え

  • 5日目:材料の受け取り、搬入

  • 6日目:土台の木枠組み立て

  • 7日目:土台の木枠組み立て、石膏ボードカットと組み立て(丸一日)

  • 8日目:パテ埋め1回目

  • 9日目:やすりがけ1回目、パテ埋め2回目(丸一日)

  • 10日目:やすりがけ2回目、パテ埋め3回目

  • 11日目:やすりがけ3回目、ペンキ1回目

  • 12日目:ペンキ2回目

スケジュールを見てもらうとわかる通り、パテ埋め(ペンキ前の下地)とペンキは乾くまで次工程にいけないので注意してください。

必要な資材と道具類

<資材>

  • 石膏ボード(910mm x 1820mm x 9.5mm)

    • サブロク(3尺x6尺)と呼ばれるサイズ。高さを出したい場合は、サンパチ(3尺x8尺, 910mm x 2420mm)の方がカットしなくて良いので楽。一方で、石膏ボードは1枚でも重く、サンパチだとエレベーターに乗らない可能性がある。

    • 厚みは9.5mmと12.5mmがあり、12.5mmが一般的。前述の通り、石膏ボードは重みがあり壁の設計によっては前に倒れるリスクがあるため、9.5mmにした。

    • 筆者は、6枚使いました。

  • 垂木(30mm x 40mm x 3000mm)

    • 木材は、学校でおすすめされた「垂木」にしました。(本来は屋根の小屋組みなどに使うそう)

    • 基本的にエレベーターに入らない材がほとんどだと思うので、事前カット推奨。(カットしないと大量の木材を自分で階段で運ぶことになる)

    • ビス打ちや強度を考慮すると、2x4とかでも良かった気がします。(ホームセンターで手に入りやすいし)

    • 筆者は、16本使いました。

  • 木材(30mm x 60mm)

    • 木枠の補強にあとで3本買い足しました。

  • ブロック(任意)

    • 重さのバランスを取るためにブロックを置きました。

<道具>
土台(木枠、石膏ボード)

  • インパクト(必須)

  • 細ビス(必須)

    • 使う木材の太さによって異なりますが、太さ+20mm〜25mm程度がよいそう。なので垂木の最大40mm+20mmで65mmを用意しました。

    • 木材が割れにくい細ビス(スリムビス)。

  • 鉛筆(必須)

    • 組み立てや墨出しに使います。

  • 大きめのカッター(任意)

    • 石膏ボードを切るのに使います。切らない人は不要。

  • 石膏ボード面取りカンナ(任意)

    • 石膏ボードを切った断面を面取りするのに使います。これがあるとないでは、仕上がりが全然違う。切らない人は不要。

  • 石膏ボードビス(※タッカーでも良い)(任意)

    • 石膏ボードを打ち付ける専用のビス25mmを用意しました。普通のビスと比べて、パテが埋まりやすいようになっている。

    • タッカー(強力なホッチキスみたいなもの)で代用している学生もいました。3日間の展示でしたが、タッカーでも強度は問題なかったようです。タッカーの方が、パテ埋めが楽です。タッカーを使う場合は、専用の針をお忘れなく。

  • ブルーシート(任意)

    • 搬入や石膏ボードカットする時に使えます。石膏ボードの粉の掃除が大変なのでそのまま捨てれるようなものがあるといいです。

  • 直角クランプ(任意)

    • 木材と木材の直角を出すのに固定するクランプです。特に一人で作業する人は4つほどあると作業がしやすく、かつ綺麗にできると思います。初心者には相当難しいので。

  • ノコギリ(任意)

    • 角度によっては斜めカットが機械でできない場合があります。

<塗装下地>

  • パテ(必須)

    • 使ったのは学校でおすすめされたこちら。東急ハンズにも売っていました。

    • 前述のサイズで、1kg 1個+300g 3.5個使いました。三回分の量です。

    • パテは多めに買っておくのが吉です。(2回も買い足しました)

  • パテヘラ(必須)

    • ホームセンターに売っていたヘラを買いました。パテ付属のヘラもありましたが、そちらで全部作業するのは無理です。必ず買いましょう。

  • パテを出す容器(必須)

    • 百均の金属トレーと、余った木材でDIYしたものにパテを出しました。身近なものでいいと思います。

  • ハンドサンダー、研磨ブロック(必須)

    • 紙やすりの120番で持ち手がついているものがおすすめです。値段がピンキリだったので自分が好きなものを。普通の紙やすりでは、途方に暮れるので必ず持ち手部分がついているものを買いましょう。

    • 替えのやすりも忘れずに!

  • マスカー(必須)

    • テープ付きの養生シートです。

    • できれば床から天井につくくらい大きめのものを。やすりがけでパテの粉が四方に飛ぶので、周りや自分の作品保護と掃除の手間を考えると超必須アイテムです。

  • シーリング(任意)

    • ペンキが綺麗に定着するようにするための下地剤です。値段がお高めなので今回は使いませんでしたが、展示期間が長い方は塗るのがおすすめ。

  • ファイバーテープ(任意)

    • 石膏ボードの割れを防ぐためのテープです。展示期間が短い人は不要です。

  • マスク(任意)

    • やすりがけで粉が出るので気になる方はマスクを。防塵マスクでもいいレベル・・・。

<塗装>

  • 水性ペンキ(必須)

    • つや消しマットが必須だそうです。

    • 20kgを3人で分けて、1/4余ったくらいでした。

  • ペンキバケツ(必須)

    • 使い捨てを使っている人もいました。掃除が楽そうでした。

  • ローラーネット(必須)

    • 使わずにやったことがないのでわかりませんが、綺麗に塗るにはあった方が良いと思われる。ローラーについた塗料を均一にするような役目です。

  • ローラー(必須)

    • 自分が好きなサイズでいいと思います。

    • ローラーの替えがあると安心。

  • 刷毛(必須)

    • 四隅を塗る用の刷毛。小さいものでいいです。

<その他>

  • マスキングテープ

    • 何かと使えます。ペンキからの保護にも。

  • 養生テープ

    • 何かと使えます。

  • 運送・土木用のゴム手袋

    • グリップ付きで滑りにくいので、資材搬入に使えます。

    • 「天然ゴム背抜き手袋」という名前のものを使いました。

  • スケール

    • 何かと使えます。

  • 髪を保護するアイテム

    • やすりがけの粉やペンキがつくので、帽子やタオルなどがあるといいです。

とにかく全ての材料は多めに、迷ったら買うことをお勧めします!(何回もホームセンターに通ったので)

かかった金額

合計で30,000円以下でした!インパクトは借りたものです。ビスやペンキなど一人で余るものは、同級生とシェアしました。

準備編のまとめ

壁づくりには、サイズにもよりますが10日間の覚悟、費用は30,000円程度必要です。資材搬入などに人の手助けも必要です。

ですが、作ってみると展示空間を演出しやすくなるし、インパクトもでます。それなりの覚悟ができた方は、次の制作編をぜひご覧ください。



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