「2040年の未来予測」読書メモ

かなりさらっと読める本なので、サマリーとして書いておきます。

Chapter#1 テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする

・スマートフォンが登場したのが2008年であり、たった13年でスマホがない生活が考えられなくなっている。
・過去10年のテクノロジーの進歩より、今後10年の方が大きく進歩する。
・新しいテクノロジーには大衆は最初は反対する、懐疑的になる。だからこそいち早くその可能性に思いを巡らせられる人にチャンスがある。
・新しい技術は突然現れるものではなく、すでにある技術の組み合わせで生まれる。そのため、今を見れば未来が分かる。

【2040年の未来予測】
・5Gそして6Gへ(より速く、より大容量)
・自動運転や空飛ぶクルマ
・IoTなどで家の中のものは全てインターネットに繋がる
・ゲノム編集や再生医療でより医療も進化
・無人店舗や監視カメラだらけ社会
・エネルギーの鍵は「電池」(全個体電池)、核融合は、、、

Chapter#2 あなたの不幸に直結する未来の経済ー年金、税金、医療費

・2020年現在で見ても日本は貧しい国になっているが、2040年はより貧しい国になっている。
・老人ばかりの国になっており、また経済成長も望めない。
・国の借金はGDP比で世界一あり、また経済成長なども見込みにくいから税収UPは期待しにくい、借金が増えるばかり
・OECDは最大26%、IMFは15%に消費税を上げるべきと提唱、有識者は消費税を先延ばすのであれば、2030年以降に20%以上にする必要があると言っている。
社会保険料は10年前に比べて負担率がひとりあたり26%増えているが、賃金は3%しか伸びていない。
・全ての問題は高齢者が増えること(労働力は減って、医療費は増える)
・高寿命化により2035年には4人にひとりが認知症になる。
・老人ホームは高く、人手不足も加速、未婚率も増えており、独身で低所得だった場合孤立死などは避けられない未来に、、、

と、ここまでかなり暗い未来です。
ここからはポジティブな解決先について。

・将来の医療費を下げるのはテクノロジー
 AIやセンサーやロボットなどで人の負担を軽減

・70歳まで働くなら、今と同じ額の年金はもらえる。
 長く働き年金をもらう時期を遅らせることで今の高齢者と同じ年金をもらう。年金が破綻することはない(それは日本の破綻と同義)が、金額が大幅に減る可能性は高い。もらえるけど少ない。

国のシミュレーションがある。経済成長と労働参加が進んだケースでの試算だが、65歳から69歳でどれぐらいの割合の人が働いているかを見ると、男性は現状の56.1%が2040年に71.6%へと、15.5ポイント上がる想定となっている。女性は現状の35%から54.1%へ19.1ポイント上がる。つまり男性の7割以上、女性の5割以上が70歳近くまで働き続けない限り、多くの人が最低限満足するような年金制度は維持できないと示しているわけだ。

年金の制度は半世紀前に作ったもので、ここまで寿命が伸びるとは予想しておらず制度疲労を起こしている。また、社会保険料の徴収漏れも5-10兆円とも言われているが、それは国税局や日本年金機構などの行政が縦割りでの弊害であり、今回スピーディーに給付金などが払えなかったのも一括管理でなく縦割り行政であることなどが問題。

MMT(現代貨幣理論)について
自国での通貨を発行できる国は財政赤字により破綻することはないという理論。無制限にお金を刷ればハイパーインフレになるのでは?との反論があるが、MMT論者はハイパーインフレは戦争などの異常事態での生産体制が崩壊などがなければ、財政赤字の政策には因果関係はない。と。これに従うと異常な状態に陥らない限り、財政赤字が膨らもうが自国通貨を発行している限りインフレはコントロール可能というもの。日本はすでに財政赤字が膨大でさらに国債も大量発行しているがインフレにならずデフレ懸念ぐらいある。海外では「日本がMMTの成功例」という評価すらある。今後検討の余地はありそう。

今後日本は人口が減り高齢者も増えるためGDPも大きく減るという指摘もあるが、それにはイノベーションやテクノロジーの進化を考慮していないため、変わる可能性がある。ただ、産業によっては少子高齢化で立ち行かなくなる分野も多く出てくるだろう。

今後厳しくなってくると予想される分野
①地方自治体(税収減、老朽化から民営化の流れ)
②地銀(リストラなどは時間稼ぎだけで、根本的な存在意義が問われる)
③教育関連産業(少子高齢化で大打撃)

その他
・退職金をあてにするのは危険(年功序列、終身雇用はもちろん崩壊)
・民間の保険には入らない方がいい(日本の公的保険は保障が手厚い)
・預貯金はもう意味がない(低金利で増えない)
 ※老後2,000万問題は預貯金以外のサービスで老後資金を作りなさいという金融庁からのメッセージ
・保険も預貯金もダメとなると投資しかない
・これからの時代はテクノロジーよりも政治が株価を決める
・資産形成したいならインデックスファンド

Chapter#3 衣・食・住を考えながら未来を予測する力をつける

衣食住の分野の未来予想はテクノロジーの進展が速く、不確定要素も多いため予測が難しい分野である。

・自然災害のリスクや温暖化はこれから深刻になる。
・日本の地価は50年後は下落していそうだが、2030年は上昇している?
 世界的金余りと相対的に見て東京の地価は安い、などで。
・予測は難しいが、現在の知識を使って未来の方向を推測する力は、どんな不足の事態が起こっても対応できる力をつけるだろう。

【食】
・国が発展すると肉を食べる(食肉消費量は2,000年から30年で70%増え、50年には90%増と予想)
・地球環境負荷を考えると代替肉や培養肉の可能性がより出てくる
・遺伝子編集した魚を食べないともうもたない、昆虫食も出てくる
・2040年には世界の肉の60%が動物本来の肉ではなく培養肉や植物から作られた人工肉に代わる

【住】
・マンションの価値は下がる(2033年には約2,100万戸超が空き家になる)
2018年で全国のマンションの75%で修繕積立金が国の目安水準に届いていない(売り手のデベロッパーが売ること優先で修繕積立金低く設定するから)

・土地はごくわずかの値上がりする土地、安定している土地、値下がりする土地、売れなくなる土地に大別される。一般個人が売買できるのは、これから値下がりする土地か売れなくなる土地しかないかもしれない。

・一方で空き家が増えれば家賃も下がる可能性が高く、将来的には住宅が飽和状態になり、季節ごと曜日ごとに気軽に家を変えて過ごすライフスタイルも可能になるのでは?

【その他】
・オンライン教育は当たり前になる。(コロナで加速)
・アメリカの大学は富裕層以外いけない(高すぎ。教育ローンが160兆円を超える規模。教育の大切さを煽るため、値上げしても無理して入る)
・日本では学歴の意味がなくなる、価値が下がる。(国際比較で日本の教育水準は大幅に低下、少子化の売り手市場で学歴の価値は下がっていく)
・シェアリングは巨大産業になる。(技術革新と所得減少、価値観変化で)
・貧しくなる日本にシェアリングは不可欠(日本が経済大国から2番手グループに落ちるのは既定路線)
・ファッションの世界ではアフリカの存在感が増していく

Chapter#4 天災は必ず起こる

・このまま温暖化が進めば食糧不足、飢餓に満ちた世界になる。
・日本は台風や地震のリスク、火山のリスクが高く、いつ起きてもおかしくない。
・温暖化での食糧不足、そして戦争などのリスクもある。
・水が最も希少な資源になる。

ワーストシナリオを書いたが、テクノロジーが解決してくれるのでは?と楽観的に考えている。

今、これを読んでいるあなたは、国を忘れて、これからの時代をどうやって生き残るのかをまず考えるべきだ。どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギーを注ぐのをオススメする。生き残るためには、幸せになるためには環境に適応しなければならない。生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。

というのが本書です。割と悲観的な内容が多いですが、悲観的に考えて楽観的に行動するということを考えると、こういった未来を考えていくというのは重要ですね。

テクノロジー業界に身を置いていない僕としては、テクノロジーについては他力本願になってしまいますが、やはり少子高齢化、経済が今後弱くなってくる日本としては、先進国のフロントランナー(どこよりも速く高齢化、経済定常化)として、資本主義を乗り越えていくような新たなチャレンジをできる方が良いのではないかと感じます。

少なくとも、過去の延長線上の経済成長を目指したり、アメリカを見習ってより新自由主義に向かっていく先には、結構悲観的な未来になる気がしますし、今はそっち方向が濃厚な気がします。

斎藤幸平さんの主張などはとても共感でき、こういった未来を目指すべきだろうなとも思います。

そんなことを考えつつ、目先のビジネスヒントや対応策を考えてみると、、、

・会社員が減るので、フリーや個人事業向けサービスなどが増える?
・経済衰退と共に、コミュニティや共同体の需要が増える?
 →場所に囚われないコミュニティ、でもリアルもある(オンラインサロンではなく)お金をあまり介さないコミュニティ
・素人の投資、投機が増えるため、より学んだ人や、しっかり考えて投資をやってきた人はさらにチャンス
・お金以外の支え合い、共助の仕組みが増える&必要
・オーガニックはより高級になり金持ちも欲しがる。日本の有休耕作地でのオーガニック、自然農法などはよりチャンスでは?希少になる。
・自然豊かな場所にはチャンスあり(ネットで距離がなくなり、自然が希少になる)
・日本の価値観、精神性の価値はより高くなる

完全オフグリッドな生活(エネルギー自給自足)を田舎や山でやりながら、自給自足で野菜を作り、世界とつながって仕事をする、たまに都市や世界各国にも行く、というような暮らしが最先端な感じになりそうですね。

総じて、いろいろ考えていくと、結構楽しそうだなとも思いますね。





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