2022年11月 また社長業に返り咲いた友 15文
また、社長になれてよかったね。やっぱり、Sちゃんは社外取締役よりも代表取締役社長がお似合いだ。私も嬉しい。本当におめでとう。
Sちゃんと初めて会ったのは阪神タイガースが21年ぶりに優勝した1985年であった。新卒で入社した会社の営業本部へと大阪から東京に転勤になった時である。彼は技術系で入社したため研修は文系とは別にあり面識はなかった。約100人の部員がいる営業本部で20代は彼と私ともうひとりの3人だけだったと記憶している。その頃、何を話したかは憶えていないのだが、「こいつは将来この会社の社長になるかもしれない」と直感した。
彼は60歳で新卒入社の会社を辞めて、3つの会社で社外取締役を務めている。私は59歳で同じ会社を辞めて3つのIPO準備会社の監査役を渡り歩いている。交流は初めて会った時以来続いており、酒を飲みながらたわいもない話を交わす、その時間が心地いい。2022年9月末、今日も酒を飲みながら話していた。「実は、10月末に社外取締役をしている会社の株主総会で社長になる予定となっている。」彼は新卒入社の会社の子会社で社長をしていたが久しぶりの社長業である。彼自身もここ二、三年は物足りない、やっぱり社長として執行したいと私が感じてしまうほどの話ぶりになることがあった。
40代になって、彼は出世コースにのってこのままいけば本当に社長も夢ではなかった。本人も手ごたえはあったはずである。「経営陣の言うことに真っ向から異を唱えることは絶対にやめよ。社長になりたければね。」と私は彼に50代前半の社長の目があるまでは言い続けたが、彼の一本気な性格から自分の本心を抑えることができなかった。歯に衣着せぬ物言いを疎い、従順を好むような器の会社はこちらからご免こうむりたいものだが。
今回の会社も会長や副会長がいると聞いている。たぶんまた直球勝負の仕事ぶりになるであろう。学習してほしいという気持ちもないわけではないが、彼らしい思い切った経営をしっかりやってほしいと願う。そんなにもう長くは働けないのだから。
彼の輝いた眼を見ながら、自分のことを顧みた。私の今の野望はマルチな活動をどのように楽しくしていくかということである。監査役をしつつ、坊さんの活動、アバルト595(車)を買って愛犬との旅、それら同時に行えるワーケーション、そして書き始めたこのエッセイを継続することである。
これからも、Sちゃんよろしくね。あなたの生きざまを見続けてきて思うことは、私のいいかげんな生き方を否定することはないが、私の転機においても彼の直球の球筋を見習うことで、ひと踏ん張りできたように感じる。
お互いに、言いたい放題言える間柄で酒が飲める。いつまでも続けたいが、終わる時が来るまで、また頼むよ、さんちゃん。 2022.11
2024.8.21
久しぶりにSちゃんと会う。社長としてりっぱにやっている姿をみて、嬉しく思えた。私にもまた転機が訪れている。新たな職が決まり、2社の監査役をすることとなった。そして新たに事業を開始する準備をしている。以前からできればいいと思っていたが、信頼できるパートナーとの出会いがあり、ワクワクした気持ちで実現に向けて始動している。人生はこれからかもしれないとSちゃんと祝杯を交わした夜である。
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