#03 立ち上がらせるチカラ
今日も遅い時間に筋トレミッションが完了した
寝る準備をしていると
カーテンを激しく引っ張る音と共に
ドタンと重たい音がした
すぐさまカーテンの向こうに飛び出すと
靴が散乱して
例のおばあちゃんが下を向いて立っていた
滑っちゃったの
ごめんなさいね
そう言うおばあちゃんに
手を差し伸べると
自力で靴を履いて
用を足し
戻って行った
自分が起きていたことに安堵した
大丈夫、大丈夫と繰り返すが
普段杖をついているおばあちゃんは
震えた手で僕の腕を握りしめるから
また起きていたことに安堵した
いつかのことを思い出した
10代半ばの頃
祖父の介護を手伝っていた時期があった
その日は夕方帰宅すると
玄関を開けるなり
「ちょっと来てー」
「大丈夫だよ!!!」
と2つの声が
殆ど同時に聞こえた
ローファーを脱ぎ捨て
急いで声のする方に駆けて行くと
廊下の先に
転倒している祖父と
起き上がらせようとしている祖母がいた
病に蝕まれ弱り切った頑固過ぎる祖父は
コトバとはウラハラに
もう自分では立ち上がれなくなっていた
もしあの時帰っていなかったら
夜までずっと2人で
誰かが帰ってくることを
あの冷たい廊下で待っていたかもしれない
そう思うと
強気な自身の言動とは対称に震える手があった
僕が助けたいひとは
僕から手を差し出すから
その時はどうか
素直に掴んでおくれ
共倒れになっても構わない
そう覚悟して差し出すのだから
無遠慮に握り返しておくれよ
そこには純粋なキモチしかないんだ
貴方を助けたい
このサポートは、基本的に、僕の、お勉強や、成長の為に、使わせていただきます。 キモチと、キモチが、交われたら、、よしなに。