#12 ひとと生きるということ
気分転換に外の空気を吸う
夏の強い日差しを目一杯浴びて
自室に戻り、足の装具を外す
前回の入院時から同室だった
ひとりのおばあちゃんがいる
梅雨時期なのもあってか
以前は非常に悲観的な発言が多かった
でも今は、
入れ替わり同室になったひとのチカラもあってか
明るさが増し、素敵な笑顔が増えていて
「 あの、
言ってた向日葵、
一緒に見ないかと思って… 」
驚いたことに、初めて話しかけられた
照れくさそうに
以前元気づけようと思って話題にした
彼女が作業療法の一環で植えた向日葵を
一緒に見に行こうと誘ってくれた
嬉しかった
笑顔が可愛くて
なんだか嬉しそうで
元気そうなその姿が
嬉しかった
急いで装具をまたつけて
彼女の歩幅に合わせて
後ろ手に組んで
ゆっくりゆっくり
歩いて行く
花壇に着き
他愛のない話をしながら
未だ咲かぬ向日葵を観察する
咲くのが先か
退院が先か
見たいけれど
早く帰りたいね
そう話す彼女に
ゆっくりゆっくり
合わせる
たまにはね、外の空気吸わないと
きもーちいいねぇー
そうして一緒に部屋に戻る
ゆっくりゆっくり
また一緒に見に行こうね
そう交わし
カーテンの隔たり越しにゆっくり別れ
ふと気付く
目的は
本当に向日葵を見に行くことだったのか
言葉少なに引き篭もっている僕を
連れ出すことだったのか
いや考え過ぎだな
見えないカーテンの向こうから
一生懸命日記を書いている音が聞こえる
嗚呼、そうか。
うん、また一緒に
見に行こう
ゆっくり
ゆっくり
このサポートは、基本的に、僕の、お勉強や、成長の為に、使わせていただきます。 キモチと、キモチが、交われたら、、よしなに。