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再会

 またあえた
気のあわない叔母の
最後の床の顔のなかに
大好きだった小さな祖母がいた

 きこえた
焼けのこった白い欠片が
壺の中に落ちていった時
地底に隠された洞のなかで
剥離した鍾乳石がしずかに床に重なる音が

 ききたい
あなたの歯がガラスのコップの縁に
ふれた今
遠いむかしぼくが海におとしてしまった乳歯が
やっと 
カンブリア紀の岩に着陸した音を

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