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雑味

友人と、ジェラートを食べに行った。そういえば、外食なんて久しくしていない。平日の昼ごはんさえブラックサンダーで済ませるような人間なので、誘われたのにかこつけて、洒落た店へ入ることにした。

浅ましいようだが、昼食がブラックサンダーであることの言い訳をすると、人間の満腹中枢は血糖値が上昇すると作用するので、其れを利用して、消化管に入れるものを少なくして、眠たくならないようにするということだ。食費を出し惜しみしたいのもあるが、キッチリ生活管理をしているのだ。エッヘン。

さて、頼んだのはビターチョコレート味である。いざ、口に入れる。

おお、高級なものは凡庸な味蕾の私にも解るのか。市販のビター板チョコは油の苦みが伝わるのだが、此方に苦みは、原材料がカカオであることを訴えている。

板チョコは、大きな工場で、大量の原材料から作られている。其処では各々が持つ属性の大小が全て均され、一定の割合の化学調味料を混合し、デフォルメされた製品が出来上がる。他方、其のジェラートは有機的であった。自然が持つ多彩な要素が様々なレンジの中で集合し、乾いていて然し私を見放さない苦みを持っていた。

多様性が結果的に偉大な作品の母胎となるのだろうか。

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