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TakramCast「 融けるデザインとexUI : 渡邊恵太さん」

デザイン・イノベーション・ファームのTakramが毎週2本のペースでお届けしているポッドキャスト「Takram Cast」。その音声の一部をnoteで公開しています。全編を音声で楽しみたい方は「Takram Cast」でお待ちしてます。

さて、今回は「融けるデザイン」の著者である渡邊恵太さんをお迎えして、自己帰属感やIoT時代のインタフェースデザインのありかたについて、ディスカッションしました。「ユーザーフレンドリーvsマシーンフレンドリー」「exUI」など新しいキーワードについても紹介します。

( トークの導入部分は省略して、佳境に入ったあたりから抜粋 )

田川 この『融けるデザイン』の本のあとに、ここの本を書いてた時点では気づいてなかったこととか、例えば新しく考え始めて、まだ答えになってないんだけど自分の中でちょっとテーマになりつつあるとか、それが新しいトピックっていうのはどうですか?

渡邊 そうですね、今研究室で学生達と議論しているのは、ハード・ソフト・ネットが前提になってきたときにユーザーインタフェースっていうものが今まで家電とかだとその家電そのものにくっついていたんですけど、その必要がないよねっていう話を今よくしていて。例えば、今うちの学生達が自動販売機を作ったんですね。自動販売機って今、例えば割と先進的なものだと全部液晶ディスプレイになっててタッチに変えるみたいのもありますけど、うちの学生がやったのは「もう自動販売機にメニューいらないでしょう」って話になって。「全部スマホでがいいじゃん」と。

で、そうすると自動販売機のプロダクトとしてのデザインの自由とかめちゃくちゃ上がって、しかもコストがめちゃくちゃ下がると。で、自動販売機も学生でも作れちゃうんですよ。なぜかっていうと、決済はスマホでやればよいし、メニューがあって。で、あとは冷蔵機能か温める機能とそれが勝手に出てくるウォーターさえあればオッケーで、めちゃくちゃ簡単に作れるようになっちゃったんです。

田川 なるほどね。

渡邊 なので、ユーザーがいつも手持ちで使っているスマホでできるので、ユーザーとしても自分の使っているスマホでできるからって安心感とか清潔感とか、あと大きい画面っていう慣れてるその文脈が使えるので、たまに自動販売機、新しいの出て「これ、どこがボタンだろう」とか悩んじゃうことも、多分ハードで全部やっちゃったりすると、一回ミスるとハードってそのまま残っちゃうんですけど、ソフトだったらちょっとアップデートしてまた変えましたとかABテストとかできるじゃないですか、っていうところが非常に面白くて。結構プロダクトのハードウェアとしてのコストも下がるし、ユーザーも接点のリッチさっていうのも上がるし、何なら機能なくしたりとか付け加えたりっていうのができたりとかもできるし、非常に良い。そういうのもexUIって言っていて、ユーザーインターフェースの外在化っていう。

田川 exUI?

渡邊 はい。external UI、exUIっていう。

田川 external UI。

渡邊:それで何でこういうの思いついたかっていうと、学生が3Dプリンタ最近よく使うんですけど、学生もラジカセみたいのとか昔のそういう家電機器、例えばリモコンここにありますけど、そういうの作ろうとしたときに、じゃあここに電子部品、スイッチのボタンとか配置したりするわけですね。それを、もちろんうまく合うように設計しなきゃいけないわけですけど、これがやっぱ何回もずれるわけですよね。で、これ面倒くさいし大変だしって話で、そこでユーザーインターフェースを、「そもそもこれから作るものってIoTなんだから、そこにボタンとか付ける必要なくない?」って話で、ユーザーインターフェースを別にして、中はセンサーと、むしろほぼアクチュエータですね。

アクチュエータが必要ならばそこに入れて、あとはネットにつながるようにすればユーザーインタフェースは全てのスマホとか別の場所でいいでしょっていう。そうすると3Dプリントのいろいろな設計の細かいこととか、ボタンの配置を意識したプロダクトデザインとかも全く無視して自由にできるよねっていうところから始まって、exUIっていうことが方法として有効だしコストとしても有効だしっていう辺りで今結構盛り上がっていますね。まさにそれがハード・ソフト・ネット時代のユーザーインタフェースは、もう物には付随していなくて、APIだけ提供して。で、そうするとスマホになるんでARのビューでもやったときに、もうAPIだけあるからって。そこに例えば今スピーカーだとラジオにもなるし、本当は音楽プレーヤーにもなるし拡声器にもなるかもしれないわけですよ。

でも、そこにラジオって初めから製品として出しちゃうと、チューナーのボタンをここに書かなきゃいけなくなっちゃいますよね。それは、でもスピーカーにもなる、いろんな可能性があるのにユーザーインターフェースはその製品の価値を決めていたわけなんですよね。それを全部なくしちゃうと、実は何にでもなり得る非常にメタな存在になるので、これは結構面白い可能性かなと。ユーザーインタフェース切り離すと実はすごい化ける。

田川 で、なぜか今までそこが、技術的な思い込みも含めてなんだけど、インタフェースと、物理世界に作用するためのアクチュエータがバンドルされちゃってたと。うまく切り離して、うまく再接合するのがexUIですね。

渡邊 そう、exUI。やることとしては、じゃあハード側で定義しなきゃいけない要件というか、「何なんだろう」ってことが最近ずっと学生とも議論していて。でも、その一つの答えをおっしゃるようにアクチュエータというかモーター、実世界に何か影響を与えるところになるだろうっていうことで、僕会社もつくってやってるんですけど。会社で「ウェブモ」っていうモーターを作って、インターネットでつながるモーターってことでやってるんですね。なので、おそらくモーターが重要だろうっていうのは、いろんな意味で重要だろうな。

田川 本当そうだね。

渡邊 その辺りはいろいろ学生達と議論はしてるんですけど。単純に今、最近いわゆるユーザーインターフェースのユーザー中心というか人間中心設計みたいなところは、そこはもちろん面白いんだけど置いといて、インターネット中心設計みたいなもので今考えていくっていうのが面白いな。で、それでユーザーとの接点はどう変わるかという感じで、タッチポイントがどう変わっていくか、家電とのタッチポイントがどうなるのかみたいな言い方をしているのが最近ちょっとメタな、少し。

田川 exUIは比較的、今実際ハードウェアとかを作ってる設計者とかデザイナーが、今この話聞いただけで自分の仕事と結びつけて発展させやすいキーワードだね。

渡邊 そうですね。今、でもちょっと起こってることとして、似たことは起きてるんですよ。で、皆何してるかっていうと、一応スマホからも操作できますっていう形にはしている。

田川 うちのロボット掃除機もそうだなぁ。

(つづきは↓からどうぞ。)

Takram Castは、Takramのメンバーがデザイン・テクノロジー・ビジネス・文学などの話題を幅広く展開するポッドキャストです。毎週月曜日に2本のペースで公開しています。


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Takram代表 | デザインエンジニア | Twitter: @_tagawa | デザイン・テクノロジー・ビジネスを駆使するデザインイノベーションの仕事をしています。UI・UX・プロダクト・ブランディングなどなど。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェロー。
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