見出し画像

トークイベントのテクニック

デザイン・イノベーション・ファームのTakramが毎週2本のペースでお届けしているポッドキャスト「Takram Cast」。今回は、講演、対談、パネルディスカッションなどのトークイベント。話す側、聞く側、質問する側、モデレータと色々な立場がありますが、どのように運ぶと楽しいイベントになるのか。Takramの田川・渡邉・緒方がそれぞれの考えを話しました。

( トークの導入部分は省略して、佳境に入ったあたりから抜粋 )

田川 パネルとかディスカッションとかでみんなも呼ばれてスピーカー側で入ることはあると思うんだけど、自分にとって心地いい人数とかってある?4人だったりさ、5人だったり2人だったり、司会と1人だったりいろいろあるけど。時間も40分だったり1時間だったり1時間半だったり、そのバランスでどこまでいけるかっていうのけっこう違うじゃない。

渡邉 けっこういつも思うんだよね。企画をする側にとっては、別に3人でも4人でも2人でもいいんですけどねみたいなレベルで決められてることも結構多いんじゃないかと思うものの、自己紹介だけでさ、40分消費しちゃったみたいなことってよくあるし、なんかどう?人数って。

緒方 人数っていうよりも自己紹介問題。自己紹介で終わるパターンはね、よくないですよね。

田川 大体5分でお願いしますとか言われても、トップバッターが10分間やっちゃって負けじと2人目も10分間やっちゃうみたいな流れはけっこうあるよね(笑)。

緒方 そこを飛ばしたりするね。

田川 検索してもらえれば別にいいんだけどね。

緒方 1分で終わらせるとかね。配布資料しとくとかね。

田川 あと渡邉くんのさ、例えばトークンみたいなやり方でもいいよね。自分が何者なのかっていうことをただ言うんだったら別にそれウェブとかでもだいたい出てくるから。

渡邉 だからテーマに関わっている、例えばデザインだったらデザイン、コミュニティだったらコミュニティっていうテーマに関係あるものをあらかじめ持ってきてもらってそれを通してちょっと自己紹介の話をしてもいいが、最初から本題に入っていくってのをできたらベストです。

田川 多分この手のトークで最初の5分ぐらいの加速感っていうか、いきなりドンと入っていくっていうところってすごい大事な気がしますね。

渡邉 大事ですね。この前ある対談をファシリテートして、まぁモデレーター役だったんですけどそれですごく面白かったのは、あらかじめお互いがお互いのことをけっこう調べてきている前提で、話者AとB、モデレーターの僕がいるとしたら、AさんがBさんに「私たちはここが違います」みたいなことをものすごくバシッと敵対関係をあえて作る。Aさんはそのことをプロレスって言ってたんですけど、今回プロレスをしますとかいって(笑)。あらかじめフアィティングポーズを取って相手との距離を作ることで議論のありかを明確にするっていう技は全然予定調和にならなくてよかったなと思いますね。

緒方 予定調和にならないっていうのはすごい大事だね、目指すべき方向としては。

渡邉 よくあるのが、最初に自己紹介を順番に10分づつとかやって面白いですねっていって終わっちゃうとか、面白いけどここが違いますねっていって終わっちゃうだけ。のが1番嫌なパターンだね。

田川 それだったらもう1人にひたすらしゃべってもらうほうが深い。だから、避けるべき、だけどすごくよく目撃しがちなものだし自分たちもそこにいがちなやつは、長い自己紹介と浅い意見交換、以上終わりっていうのは、みんなで集まってる理由が無くて。よく思うんだけど、そういうパネルに参加した後にみんなで打ち上げとかでさ、そのあとご飯食べに行ったりしてみんなで鍋とか食べながらすごいドッカーンみたいな、面白い、だよね、いやけどここは、とかっていうようなみんなでご飯食べながら普通に話してるっていうような会話がなぜあの壇上では行われないんだろうかっていうか。すごいポジション取りがちだしインタラクション少ないし、キャッチボールもあんまり起こらないしっていう。前思ったことがあるんだけどステージの上に、なんかこういうテレビ番組あると思うんだけど、ご飯を食べてるようなシチュエーションを作ってしまって、ほんとにおでんとか食べながらやってみたい(笑)。

緒方 飲みながら?

田川 そうそう(笑)

渡邊 まぁまぁとかいって注いだりして(笑)。

田川 ファシリテーターっていうかモデレーターとしてはどれくらいそういった状況を作り出せるのかみたいなね。

緒方 結構田川さん最近モデレーターで入ることがある。

田川 そう。最近ちょっとモデレーター業に目覚めたところがあって。

緒方 聞いてるといろいろ意識してコントロールしてるなーみたいな気がするんですけど。

田川 自己紹介問題はすごくわかりやすいんだよ、問題として。長すぎるから長すぎなければいいって話で。だから自己紹介もほとんどしてもらわないのね。自分の立場を言ってもらうだけにしてる。あと場合によるんだけど最近ちょっとやるのは、オーディエンスが、聞きに来てる人たちのレベルがスピーカーたちとそんなに差がない場合と、けっこう差がある場合があって。すごく実は少人数で聞く会だとか結構テーマがニッチだとかコアな人しか集まってないときには、できるだけ会場との対話の量を増やしたほうが満足感が上がる。だけどそこが開いてると、対話からスタートするとけっこう失敗する場合が。すごいどうでもいい質問、例えば誰々さんみたいになるためにはどんな本読めばいいんでしょうかみたいなことが出てきたりするから、そうするとちょっと文脈が合わないんだけど。揃ってる場合によくやるのが自己紹介が終わって最初のフリの質問を1回司会側からみんなにして、一旦なんとなくパネラーが発言終わったぐらいで、その時点で会場側に隣の人と今までの話を聞いた限りでどこが面白そうかみたいなものを2人で。だから30人いると15セットの組ができるんだけど、それで話をしてもらって意見交換してくださいと。その意見交換した2人の意見のうちで面白かったほうを2人の意見として挙手してみんなにシェアしてくださいっていうのを最初にやる。質問も含めてね。

緒方 それもまとめて回収してますよね。

田川 そう。でQ&Aの仕方は、いろんなカンファレンス行ってすごいさばきのうまいモデレーターのやってるQ&Aの回収の仕方があるんだけど、Q&Aを例えば質問者がいます、答えます、質問者が出てきます、答えますっていう風にシリアルにやるんじゃなくて質問を5人なら5人先に当てちゃうのね。とにかくコンパクトに言ってくださいって言って、5人分回収した後、5人の中で重複があったりいろいろ方向感が見えるじゃない。それをキュレーションしたうえで回答をするっていう。グループとグループ、個と個で対応させていくんじゃなくて文脈と文脈でQ&Aを回収していく。そっちのほうが多分編集性が高くて、

渡邉 何の本読んだらいいですかとか、朝ご飯何食べましたかみたいなどうでもいい質問が出ちゃったときの場のなんとも言えない空気を避けるためにも。複数質問を回収しておいてっていうようなショック吸収があらかじめできるとね。変な質問が出たときに、このことに我々これから3分費やすんだろうかっていう空気が・・・。

田川 一瞬会場にさ、さーって広がるよね。

渡邉 それを吸収する意味であらかじめ聞いとくっていうのはすごくいいですね。

田川 だから、そういう質問の取り方がね、なんとかって名前がついてんだね。昨日俺別のカンファレンスに出たんだけど、Q&Aはなんとか方式で取りますってファシリテーターが言っていて、それがそのグループでまとめて聞いてまとめて返すっていうやり方だった。

渡邊 これ、我々名前を知らないんだけど、お聞きの人でわかる人がいたら#TakramCastで教えてください(笑)。

緒方 (笑)

田川 あとなんだろうな。自分自身、2人も感じると思うんだけど、ある人がすごく滔々と長くしゃべり始めた時に、これいつ終わんんのかなーって。

渡邊 悶々とするやつ。

田川 しかもパネラーって、それぞれボイスっていうか言いたいことがある人たちだから。なんでこんなもじもじしながら壇上で長い時間過ごしてんだっけみたいな、でそれも会場にも伝わっちゃうしとかっていうことも結構あります。

渡邊 今の欣哉さんの話で大事だったのは多分、戻るんですけど2つあって。一番最初にとりあえず全員の口を開けさしとくっていうかしゃべってもらうのはすごく大事で、多分あらゆる人がガス抜きを求めてるんですよね。それは登壇者だけじゃなくてお客さんもそうで、客さんもけっこう前半で隣の人と喋ってもらうっていうのが、何が聞きたいかの満足度貢献にすごい効いてて。自分が質問するっていうパターンもあるけど多分質問しない人のほうが9割、9割5分で。その質問しない人は、ツイッターとかでネガティブ発言をすることもあるけど、それは実は聞いてる、してもらった話がネガティブなんじゃなくてちょっともやもやした、なんとなくのもやもやにイライラを感じてることが多々あるんですよね。だから隣の人と喋ってもらうだけでなぜか満足度が上がるっていうのが常にあって。それってやっぱり主体性をいかに引き出して双方向的なイベントだとか、もしくは双方向性を感じられるイベントであったかっていうのが大事なんですよね。これは話してもらう以外にもいろんなやり方があって。あらかじめ紙を配っておいて質問なり思うアイデアを書いてくださいで回収する方法もあるし、前後半に分けて前半の終わりで紙を書いてもらい後半はそれでナビゲーションするみたいなのもありますね。

田川 モデレーターした時に、そのやり方を最初に試した回が人工知能とかAIのテーマの内容で。スピーカーに東大の松尾先生とか暦本さんとか、あとIBMの武田さんっていう人がいて、オーディエンスの中にスマートニュースの鈴木健とかがいたりして。その方式でやったら鈴木健がけっこうクリティカルな質問を最初にしてくれるんだけど、答えないみたいな。答えないんだけどみんな聞いたうえでディスカッションするからどのレベル感とかどの精度感で議論を進めればいいのかなっていうのの、スピーカーの間でのメジャーを合わせたうえで入れるので。一番最後に質問は質問で取るんだけど、だけど1時間半のセッションだったんだよねそれ。だからけっこう時間に余裕があったから、手前側で。時間40分くらいだとちょっとね、タイムマネジメント的には辛いんだけど。あとさ、最近俺興味があってまだ使いきれてないんだけどスライドっていうサービス知ってる?

渡邊 あれですか、イベント用のツイッターみたいなやつですか?

(つづきは↓からどうぞ)

Takram Castは、Takramのメンバーがデザイン・テクノロジー・ビジネス・文学などの話題を幅広く展開する無料のポッドキャストです。毎週月曜日に2本のペースで公開しています。iTunesでの登録はコチラ↓

SoundCloudでの登録はコチラ↓

で、Takramはいろんなプロジェクトやってるデザインファームです😉

よかったら、フォローしてくださいね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?