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【Aviutl講座】そのVHSエフェクト、『本物』ですか?【配布あり】

こんにちは、絹松です。

昨今のリバイバルブームの中で、プロアマ問わず映像でもあえてVHSのようなガビガビの映像を作ることで一周回った目新しさを演出することがどんどん流行っているようです。

動画サイトで「Aviutl VHS」と検索すれば、様々な動画制作者がVHSエフェクトの解説動画を上げていることからも、このムーブメントが実感できます。

そんなVHSエフェクトブームの中で僕はこう思いました。

「なんか、ちゃちくない??本物じゃなくない??」

AftereffectやPremiere Proなどの解説動画は割とまともなものが多いのですが、Aviutlの解説動画は本物のVHSと比べて稚拙になってしまいます。

「それは大変だ!」

というわけで今回は長年VHS映像を研究してきた僕が『本物』のVHSエフェクトを解説していきたいと思います。

【材料】
・Aviutl本体と拡張編集
・映像素材(1080p,30fps)
・本当のブロックノイズスクリプト(by プリンカ氏)
・オブジェクトR幅断片化スクリプト(by しょぼーん氏)
・粒状化スクリプト(by ティム氏)

1レイヤー目…時間制御

レイヤー01

コマ落ちは2くらいがちょうどいいかもしれません。

2レイヤー目…座標[メディアオブジェクト]

レイヤー02

-1~1間をランダム移動してフィルム感を演出します。
フレーム数は2くらい。

3レイヤー目…色調補正

レイヤー03

・コントラストは低く
・輝度も低く
・彩度は高く
これらのポイントを守りつつ自分の納得いく色調に調整してみてください。

4レイヤー目…本当のブロックノイズ

レイヤー04

よく他の講座でノイズ部分に図形(ノイズ)を使う人がいますが、実際のVHSビデオをよくみるとああいう白いノイズって無いのですよ。
でもノイズが皆無だとVHSっぽくならないと思ってなんとか思いついた方法です。

レイヤー04b

パラメータ設定はこんな感じです。細かいノイズを輝度で合成することでいい感じの存在感でいてくれます。

5レイヤー目…発光

レイヤー05

今回の研究で一番伝えたかったのはこの要素です。
VHSエフェクトの解説で発光について触れているのがかなり少ないです。
しきい値と強さを低く、拡散値をちょっと大きくすることでブラウン管に移したような光のぼやけを演出することができます。

6レイヤー目…色ずれ

レイヤー06

VHSエフェクトにおいて欠かせない要素である色ずれ。
しかし実際のVHSビデオでは色ずれはあまり目立ってません。
なのでエフェクトでの色ずれも透明度50で色差合成して、抑えめにずらします。

7レイヤー目…下端のノイズ

レイヤー07

VHSビデオで印象的なのが下端に映る激しいノイズ。
あの正体については難しくなるので省きますが(「スイッチングノイズ」で調べてみてください)、要するにあの下端のノイズがVHSをVHSたらしめているということです。
今回の研究ではオブジェクトR幅断片化スクリプトを採用しましたが、他にも図形(ノイズ)にシャープをめちゃくちゃかけたり、色調補正をかけたりと、下端にもっとこだわればさらにクオリティの高いVHSエフェクトになると思われます。

レイヤー07b

オブジェクトR幅断片化スクリプトのパラメータ設定はこんな感じ。

8レイヤー目…粒状化

レイヤー08

ここ最近でAviutl映像制作界における革命だと個人的に思ってる粒状化スクリプト。これを一個挟むことで質感に高級感が出ます。
今回は処理法を2、さらに透明度40くらいで明暗合成することで解像度が低いあのガビガビ感を演出します。

9レイヤー目…ディスプレイスメントマップ

レイヤー09b

まずは他のシーンに図形(ノイズ)を配置。上記のような設定をします。

レイヤー09a

そしてrootに戻りフレームバッファにディスプレイスメントマップをかけます。さっきのシーンを設定して移動変形の変形Xを弄ることで歪みます。

やりすぎ

やりすぎ厳禁。

10レイヤー目…図形(斜めクリッピング)

レイヤー10

VHSエフェクトにとって必要不可欠な左右の黒帯。(難しい言葉でピラーボックスというそうです)
ここに関してはもはや説明不要でしょう。リアルなVHS映像を作るなら必ずつけましょう。

11レイヤー目…モザイク+ぼかし+シャープ

レイヤー11

そして最後の最後でVHSエフェクト三種の神器の最後をかけます。

VHSエフェクト三種の神器…「ノイズ」「ピラーボックス」「ぼかし&シャープ」 (絹松調べ)

ポイントは2つ。「モザイク」と「シャープ>ぼかし」です。
先にモザイクをかけることによって疑似的に画素数を減らします。(8レイヤー目の粒状化部分でも下にモザイクをかけていますが念のため)
そしてぼかしよりシャープを強くすることでガビガビながらも見やすい映像に仕上がります。
このモザイク、ぼかし、シャープの関係は非常に複雑なので、何度も試行錯誤して自分なりのリアルVHSエフェクトを追求してみてください。


最後に

リアルなVHSエフェクトを追求するあまり、オブジェクトだけでも11レイヤーという膨大な数になってしまいました。
「こんなにたくさんの効果いちいち設定してられないよ~」という人のために今回紹介した僕なりのVHSエフェクトをexoファイルとして配布します。
下のリンクからDLしてください。(二次配布・自作発言は止めてください)

これをそのまま使うもよし、これを元にさらなる追求をしてもよし。
また、追求する際には是非実際のVHSビデオを資料にするのがおすすめです。
僕が参考にした映像




では、良いVHSライフを!


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