アイカツシリーズが大好きだ、という話。(ネタバレなし)
ただの「女児アニメ」で終わらせるにはもったいない、このアイカツというコンテンツの素晴らしさをあなたに伝えたい。アイカツシリーズ全般の話(自分語り含む)をするので、特に具体的なストーリーのネタバレはありません。未履修の方も履修済みの方もお気軽にどうぞ!
基礎情報
まず初めに、アイカツシリーズとは、
・アイカツ!(1代目主人公):約2年間(約7クール)
・アイカツ!(2代目主人公):約2年間(約7クール)
・アイカツスターズ!(3代目主人公):2年間(8クール)
・アイカツフレンズ!(4代目主人公):1.5年間(6クール)
・アイカツオンパレード!(5代目主人公):半年間(2クール)
・アイカツプラネット!(6代目主人公):半年間(2クール)
以上の6つのストーリーから成り立っており、各主人公で独立した物語が展開される(世界線が繋がっていたりいなかったりはする)。
主人公が所属するアイドル養成学校を舞台として物語は展開される(アイカツプラネット!のみ例外)。
アイカツとの出会い
私がアイカツと出会ったのはまだ幼いときだった。といっても物心がつき始めたぐらいの頃であるから、一般的なアイカツデビューの年齢と比べるとだいぶ遅かったように思う。
女児作品全般が好きな友人がおり、彼の影響で私もアイカツを見始めた。私が見始めたのはアイカツスターズ!1期の後半ごろで、ちょうどクリスマス回をやっていたような記憶がある。そんな成り行きで私とアイカツの関係は始まった。
当時はそこまで熱中しなかった
当時はまだ、いわゆる「オタ活」の経験がない人間であった。単純に物語性のあるものを鑑賞することは好きだったが(主に小説)、アイカツの醍醐味であるステージシーンやキャラクターにはあまり興味がなく、ただ漫然と物語の流れを見つめていたような気がする。ストーリーの流れにしか興味がなく、ステージシーンは録画で早送りしていた。今思うとかなりの冒涜に思えるが、当時の自分はそうだったのだから仕方ない。
ただやはり、主人公を含む周りのキャラクターたちが成長し、夢を叶えていく様子には、幼いながらも大きな感動を覚えた。だがそこに「私もアイドルになりたい!」「あの世界に私も行きたい!」という衝動は生まれなかった。昔から何に対しても一歩引いてしまうところがあるので、その性分のせいだと思う。
ちなみにデータカードダスの経験はゼロだ。そもそもアニメアイカツがデータカードダスの販売促進アニメだということすら知らなかった。ゲームセンターにそのような筐体が置かれていることすら知らなかった。スーパーでアイカツカード入りのお菓子か何かが買えることは知っていたが、自分のために買ったことは一度もない。
当時を生きた者としては信じられない行為だ。今思うと、なぜやらなかったのだろうかと後悔が尽きない。今はもうカードを買うことも、データカードダスをプレイすることもできないのだから。まあ、昔は昔なので、後悔したって仕方ない。
といったように私はアニメアイカツしか知らないため、私が語っているアイカツの話はすべてアニメの話だとご留意いただきたい。
何がすごいのか
これは純粋な心を失いつつある大人の視点だが、生々しい話、アイカツシリーズはとにかく「金のかけ方」がすごい。全然関係者でもなんでもないから、予算がいくらとかそういう具体的な話はわからないが、制作に莫大な資金が必要なコンテンツであることは間違いない。
金のかけ方がすごいということは、つまり、「手のかけ方」「凝り方」がすごいということ。幼い頃には気づかなかったが、大人になってから見ると「よくこんな金かかるプロジェクト立ち上げたな…」と思わざるを得ない。
アイカツを構成している要素について考える。アイカツシリーズはシリーズ毎に若干構成や編成が異なるので、初代を例に挙げてみよう。
まずアニメの大原則として、当たり前だが、ストーリーとキャラクタービジュアル、声優が必須となる。ここまでは普通のアニメと変わらない。
そこにアイカツはステージシーン(3DCG)が入ってくる。ステージシーンにはまず美しい3DCGを作るための技術が要る上に、キャラクターの心情や性格に沿った曲制作、キャラクターに沿った衣装デザイン、振り付け考案が必要となる。また、この3DCGは実際の人の動きをかたどって作るため、ステージを実演する「中の人」も必要だ。声優とは別のパフォーマーに、実際に歌唱とダンスを担当してもらわなければならない。
と、ここまで考えてみると、とてつもない量の人が携わっている作品であることがわかる。しかも量だけでなく、幅広い業界の人が必要とされる。初代からスターズまではこれをほぼ丸2年ずつやっていたのであるから、相当な初期投資だったろう。立ち上げた人たちのアイデアと勇気にまずは拍手を送りたい。
では、上で挙げた細かい要素について、めぼしいものをピックアップして見ていこう。
ストーリー、キャラクター
キャラクター制作もストーリーに含まれうるので、一括りにさせていただく。
ターゲット層が小学生女児ということからご推察いただけるだろうが、アイカツシリーズは一貫して「シンデレラストーリー」だ。主人公が夢を見つけ、それに向かって努力し、最後は頂にまで辿り着く。そんな成長を描いた物語である。だが、シンデレラストーリーの一言で言い切ってしまうにはもったいないほどの深みがそこにはある。
私は女児アニメに明るくないので、他の女児アニメ(プリキュア、プリパラなど)との正確な比較を行い、アイカツシリーズの特性を伝えるということができない。以下で述べることに、他の女児アニメに対する勝手な偏見が混じっていたら申し訳ない。
他の女児アニメと比べて、アイカツはかなり「泥臭い」。私は、女児アニメという括りよりは「スポ根アニメ」に近い印象をもっている。基礎体力をつけるシーン(筋トレなど)がきちんと描かれていたり、仲間との友情を感じた次の瞬間には勝負の場で争わなくてはいけなくなったり。ステージシーンはスポーツでいうところの「試合」のような役割を果たしている。成功や挫折、気づきを繰り返しながら、新しい自分に変わっていく。
私は勝手にアイカツのコンセプトをこう捉えている。
「少女よ、大志を抱け」
その他にも、アイカツフレンズ!には『Girls be ambitious!』という表題の曲があるなど、しばしば楽曲内にも登場するキーワードとなっている(初代アイカツ!にも同旨の言葉が出てくる曲があった気がするが思い出せない)。
女の子だって、叶えられないような壮大な夢を描いて、それに向かって努力したっていいじゃない。そんなコンセプトを私はシリーズ全体に感じる。
もちろん、多様化という時代の流れに合わせて、この主語は「女の子」ではなく「誰でも」に変わっていくのだが、アイカツのコンセプトの出発点はここにあると私は考えている。
誰だって、どんなハンデを背負っていたって、そう、あなただって。でっかい夢を抱いて、がむしゃらにもがいたっていいんじゃない? そう笑いかけてくれるのだ。女児アニメを超えた「何か」がそこにはある。
アイカツのストーリーの主軸には以下の3つが挙げられる。
個性、努力、憧れの連鎖だ。
まず、個性。キャラクターたちは、それぞれのなりたい自分や自分の強みを探し、見つけ、自分なりの輝き方を選び取っていく。輝き方がわからなかったり、なりたい自分があるのに結果が振るわず、悔しさを噛み締めたり。そんな彼らの姿は、私たちにシンパシーを抱かせる。「自分らしく輝いていこう」。一見遠い存在に見える彼らは、私たちにそんな身近な勇気を与えてくれるのだ。
努力については言うまでもなく。前述したことを見ていただければわかるかと思う。
最後。アイカツ最大の「エモ」と言っても良い、憧れの連鎖についてだ。
誰かに対し憧れを抱いてアイカツを始めるキャラクターたち。
そんな未熟なキャラクターたちは、いつしかスーパースターへと成長していく。誰かの背中を追ってアイカツをしていた彼らが、気づけば背中を追われる側になっている。
そして成長した主人公たちを追って足を踏み入れたアイドルたちが、また「新しい憧れを生む存在」となっていくのである。それが、憧れの連鎖だ。
この要素があることで、アニメが最終回を迎えても、堪えようのない喪失感に苛まれることがない。アニメでのストーリーが終わりを迎えたとしても、彼らのアイカツという「物語」は終わらない。いつまでも、どこまでも続いていく。そう信じることができるから。
私は本当にこの要素が好きなのだが、あまりに文章が稚拙すぎて上手く伝わっている自信がない。この要素はしっかり物語を追った人にだけわかる「エモ」ということにしておこう。伝わらなかった人はぜひストーリーを見ていただいて。
また、ストーリーにおいて、リアルとファンタジーの塩梅が素晴らしいところも魅力として挙げたい。
アイカツはアイドル、つまり芸能界を描いている作品だ。実際の芸能界には、目を瞑りたくなるような汚い話がわんさか転がっている。
アイカツのストーリーでは、このような芸能界の汚点を綺麗さっぱり消し去ることでアイドルを「自分らしく輝く存在」として美しいものに仕上げている。もちろん、まったくそういう汚い話がないとなるとリアリティに欠けるので、多少はスキャンダルについて触れているシーンやストーリーが見受けられるが。
芸能界の裏についてはファンタジー寄りで描きつつ、彼らアイドルたちの希望や悩み、努力、挫折についてはリアルな心情を描き出す。このようなリアルとファンタジーの使い分けによって、アイカツは「楽しくてワクワクするけれど、しっかりと没入感のある作品」に仕上がっているのだ。
ステージシーン
楽曲や衣装のことなども含めてこのような括りにしておく。
ステージシーンはアイカツのシリーズの醍醐味だ。そりゃあ、アニメアイカツ自体がデータカードダスの宣伝を兼ねているのだから、製作陣が最も力を入れるのは当たり前なのだが。
ステージシーンは「とにかくすごい」の一言に尽きる。
3DCG技術の進歩も相まって、特に初代主人公の2年目以降のステージシーンには目を見張るものがある。
楽曲・振り付けについて。
アイカツシリーズの楽曲の質の高さはすごい。量もすごい。本当にたくさんのキャラがいるのに、各キャラに持ち曲が最低2曲ずつは与えられており、さらに主人公にはその倍くらいの量が与えられる(シリーズによる)。そしてしっかりとそのキャラクターに沿った曲調や歌詞。ステージシーンのための楽曲制作であろうに、曲を聴くだけでも十分に楽しむことができる。
振り付けは、基本的にいわゆるアイドルソングの振り付け(ステップは簡単めで腕や手の動きが多い)、といった感じだが、かっこいい系の曲では激しめな振り付けが採用されていることもしばしば。楽曲の雰囲気に合わせてそこも変えているのだと思われる。
アイカツのステージシーンの魅力は下に貼った動画に綺麗にまとまっているので、そちらを見ていただきたい(私が初代アイカツをきちんと観ようと思ったのは下の方の動画がキッカケだ。それくらい魅力がまとまっているのでぜひ)。
続いて衣装について。
アイカツの衣装はすべてがおしゃれで可愛い。こんな文面で説明せずとも見ればわかる。
これは私の好みの話になるが、私はスクールドレスのデザインがめちゃくちゃ好きなのだ。
スクールドレスというのは、主人公たちが通うアイドル養成学校が提供する、ステージ用ドレスのことである。ステージ上の制服、とでも例えられよう。
上に載せた画像(あくまで一例)を見てもらえばわかると思うが、スクールドレスは "theアイドル衣装" というようなシンプルなデザインだ。よく見ると服の形は着ているキャラによって全然違うのに、並ぶと統一感がある。上のスクールドレスの例だと、統一の要素として、スカートの形、胸元のリボン、チェック柄、差し色の紺、などが挙げられる。あとはキャラの個性に合うようにデザインされている。たとえば、セクシータイプのキャラは腹チラになっていたり、ゴスロリ系のキャラはパフスリーブになっていたり。個性に合わせつつ統一感を出すのはアイドル衣装の基本かもしれないが、こういう何気ない統一感が私はすっごく好きなので書かせていただいた(ただの私の好みの話になってしまった)。
ちなみにこのスクールドレスは年度が変わると一新されるのが基本で、毎年違った要素で統一感のある衣装を見られるのがたまらなく楽しい。
懐古厨がはびこるワケ
この話には布教の側面はほぼない。私が喋りたいだけなので、新規の方は読み飛ばしていただいて構わない。別に読んでもネタバレにはならないが。
アイカツと切っても切れない存在、それは「懐古厨」。「昔は良かった」と言うファンのことだ。まあ、懐古厨はシリーズ作品すべてに付き物なので、今から話すことはアイカツに限った話ではない。
少数派ほど声がデカかったりするものだから、アイカツファンのみんながみんな懐古厨だとは思っていない。だが、少なくも感じない。完全に私の肌感だが、ファンのそれなりの割合が懐古厨なのではないか。
ここでいう懐古厨とは、ある1シリーズだけを挙げて「あれは良かった」と言う人はもちろん、「この主人公のときまでは良かった」というような線引きをする人も含まれる。
では果たして、本当にシリーズごとの質の違いはあるのか?
冒頭にも述べたように、私はスターズからアイカツの世界に足を踏み入れた。なので、割と最近まで初代と2代目の主人公のストーリーを知らなかった。だが、たとえ内容を知らずとも、アイカツの世界に足を踏み入れた以上、SNSなどで必ず聞こえてくる言葉。
「いちごちゃん(初代)が原点にして頂点」「あかりちゃん(2代目)までは良かった」
そういう発言をあまりによく見るものだから、どれだけすごいのだろうかと期待した。確かに、私の記憶では初代放映期あたりの社会的なアイカツ旋風は凄まじかった。相当クオリティのレベルが違うのかもしれない。
そう思って初代と2代目を観た。
…….あれ?
たいした違いが見当たらないんだけど。
同じように面白いんだけど。
それが私の感想だった。
シリーズ全体を通して観て、アイカツに懐古厨が多い理由がなんとなく見えてきた。
そもそも視聴者が懐古厨になりやすい仕組み
最大の原因はこれ。アイカツをはじめとする子ども向け作品は、自身の成長とキャラクターの成長を重ねやすいつくりにするよう工夫されていることが多い。
その工夫の一つが話数の多さ。
現実の時の流れに合わせ、何年もの時間をかけて主人公たちの成長をじっくりと追う。その膨大な時間の流れの中で、視聴者たちも数多くの経験をし、成長していく。キャラクターたちの成長と自分の成長が共にあることで、彼らと共に生きているような感覚を味わうことができるのだ。そんなキャラクターの努力や挫折、それを乗り越えた成功には、自分のことのように心を揺さぶられるに違いない。
そうするとやはり、最も多感な時期に共に過ごしたキャラクターに思い入れが深くなるのは必然であろう。
ちょっとここで自分語りをさせていただくが、このように偉そうに語り散らしている私も、以前は懐古厨に近い感情を持っていた。
私がスターズからの視聴者だということは何度も話したが、やはり初めて「アイカツ」という存在を教えてくれたスターズには思い入れが深い。
スターズ最終回の一週間後、すぐに次のシリーズであるアイカツフレンズ!が始まったため続けて観てみたが、物足りなさを感じた。「このキャラ、スターズのあの子に似てね?」「この話のパターン、スターズでも見たなあ…」そんな嫌な感覚ばっかり鋭敏になって、話の展開を十分に楽しめなかった。
おそらく、フレンズ放映期の私は既に、スターズ放映期には持っていなかった「嫌な賢さ」を持ってしまっていたのだと思う。今思えば、あのマイナスな視点を得たことも、大人に向かって成長していた証だったのかもしれない。
そういうひねくれ感情がほとんどなくなった大人になってから観てみると、とてつもなく面白いから不思議だ。アイカツシリーズを楽しむためには「彼らの努力を純粋に受け止める素直な心」が必要なのかもしれない。ひねくれを経て得た素直な心だからこそ、彼らアイドルの熱い姿が胸に響くのだろう。
単純な予算の問題
生々しい、お金の話。アイカツの美しさを語る上でこれは目を背けたいところだが、アニメアイカツが「制作」されるものである以上、お金の話とはは切っても切れない関係だ。前項目よりもかなり生々しくて嫌な話になるので注意。
前述したように私はアイカツの制作現場のことを何も知らないし、アイカツの公式情報をすべて追えてもいないから、完全に正確なことは言えない。だが正直、アイカツシリーズの予算は、ここ最近低迷気味だと感じる。
この記事冒頭の『基礎情報』に載せた情報を改めてここに載せる。
・アイカツ!(1代目主人公):約2年間(約7クール)
・アイカツ!(2代目主人公):約2年間(約7クール)
・アイカツスターズ!(3代目主人公):2年間(8クール)
・アイカツフレンズ!(4代目主人公):1.5年間(6クール)
・アイカツオンパレード!(5代目主人公):半年間(2クール)
・アイカツプラネット!(6代目主人公):半年間(2クール)
※ちなみに初代と2代目に「約」がついているのは、初代のラストクールと2代目主人公の初登場クールが被っているからである(伝わりづらい)。
右側のカッコで書いたクール数を見てほしい。3代目主人公でピークを迎え、以降は右肩下がりなのがわかるだろうか。
初代主人公の時期の頑張りにより、世間に「アイカツ」という概念が浸透した。「アイカツ」というまったく新しい造語を、10年経った今でも残るほど世間に浸透させたのはまさに金字塔的だ。
前述したが、初代の1年目から2年目に突入したときのステージシーンの進化は凄まじかった。3DCGの美麗さが半端ではなく、カメラワークのリアルさも物凄かった。「これは1年目の放映のおかげでとてつもなく制作費が増えてるな…!」と感じざるを得ない進化っぷり。明らかにステージシーンに割く予算や人員を増やしたように見えた。
2代目主人公ではステージシーン以外の手書きアニメーションが綺麗になり(技術の進歩も少なからず関係しているだろう)、作画が安定した。
そんなふうに初めは昇り調子だったアイカツシリーズにも、翳りが見えてくる。だんだんとクール数が減り、それに伴い生み出されるドレスの数や楽曲数も減り、今に至る。
この低迷の原因は、初めの頃のファンが懐古厨化したことが大きいと私は考えている。あと、子どものテレビ離れ、これも大きい。単純に、何年もかけて制作・放映する「子ども向けアニメ」が成功しにくい世の中になっている。ゲーセン離れも理由の一つとして挙げられるかもしれない。
最初の方にも述べたように、アイカツシリーズの制作は初期費用がでかい。最低ラインが高すぎるのだ。だからこそ、永続化することが難しい。予算に左右されやすい。
アイカツは初代・2代目のファンが特に多く、定期的に出る彼らのグッズもバカ売れする。ポップアップストア開始日に行ってもいくつも売り切れが出ているイメージ(在庫数を知らないので、売り切れ=バカ売れと安直に考えるのは間違っているが)。
ポップアップやコラボグッズなど、新しいグッズが出される機会は月に1度くらい(肌感)とかなりの高頻度で、アニメを放送していない今でもそうであるから、グッズの売り上げを新シリーズ制作に回している可能性も高い。いや、そうであると信じているので、アイカツシリーズを続けていくための支援金だと思って、私は新しいグッズが出たらしっかり金を溶かすようにしている(☆みんなはお財布とは仲良くね!)。
全シリーズを観ることの魅力
さてここからは、シリーズを超えて観ることの楽しさについて話していく。今から紹介する楽しみ方は本来の楽しみ方ではないような気もするが、私の一意見としてとりあえず聞いてみてほしい。
味変の仕方が面白い
シリーズ作品というものは、一貫した話の流れやコンセプトがあるために、シリーズごとの差別化が非常にしづらい。これはアイカツに限った話ではない。
アイカツは現時点では全部で6シリーズあるが、その味変の仕方に製作陣の「飽きさせないぞ」という努力が感じられて観ていてとても面白い。一貫したテーマがあるのに、シリーズごとに焦点の当て方が微妙に異なっているのだ。軽く全シリーズ見ていこう。
※ネタバレなしのつもりで書いていたのだが、以降を読むと実際にアニメを観たときの面白さが半減するような気もするので、未履修の方は以下を読まず、ぜひ本編を観ていただきたい。(読むことで面白さが増える方もいると思うので難しいところ)
初代は味変も何もないから除外するとして、2代目。2代目の主人公は初代と比べ「努力」に焦点が当てられたキャラクターとなっている。初代の天才肌と違い、無個性で、才能なんて微塵もない。そんなキャラを中心に据えることで、初代とはまったく異なる物語を展開している。
続いて世界観が一新されたスターズ。「個性」や「仲間」に焦点の当てられた初代・2代目とは異なり、スターズは、その二つの要素は踏まえつつも、「世知辛さ」にスポットを当てた作品となっている。勝者の裏には必ず敗者がいる、そんな苦さをリアルに描き出しているところが特徴的だ。
その次、またまたスターズから世界観が一新され、フレンズ。フレンズはそれまでとは異なり、「2人のユニットで活動する」という縛りが新たに加えられている。そのためダブル主人公となり、これはまったく新しい要素といえよう。交友の広がりよりも、各フレンズの絆の深さに焦点を当てた作品となっている。
フレンズから世界観は変わらず、続いてオンパレード。オンパレードはかなり例外中の例外だが、オンパレードはいわゆる「オールスターズ」である。オンパレードでの新しい主人公が、今までアイカツシリーズに出てきたキャラクターたちに導かれて、新たな出会いを繰り返し、成長していくというものだ。これはおそらく、スターズ、フレンズなどを経て離れていったファンたちを取り戻すという目的で作られている。
最後、世界観が変わり、プラネット。プラネットは実写シーンとアニメシーンで構成されており、アニメアイカツという括り自体が崩れるほどの新しさを見せている。プラネットは、「アイカツプラネット」というメタバースのような空間でアイカツをする彼らの姿を描いているが、昨今のVtuber文化の浸透などにより、実写とアニメが共存していても違和感なく受け入れることができる。むしろ実写があることで、彼らのアイカツは私たちの生活と地続きになっているのだ、とよりリアリティを感じることのできる良い味変だったと思う。またプラネットではアイカツカードのシステムが一新されており、ドレスデザイナーが果たしていた役割が「ドレシア」というファンタジックなプラネット上の生き物(ポケモンっぽい)に代替されている。随分と変更が加えられていて驚いたが、そのファンタジックさが実写とアニメのメリハリにつながり、意外とすんなりと受け入れることができた。
と、このようにシリーズごとに特異性があり(これを考え出すのは本当に大変だったと思う)、新しいシリーズを観始めるたびに「今度はどんな味変をしてくるんだ…?」とワクワクすることができる。
少ない話数でキャラに深みを出す方法が面白い
これは特に、2クールしかやらなかったオンパレードやプラネットで感じたことだ。
約2年間キャラたちの成長をじっくり描けたフレンズまでは、話数が確保されているため、時間を使ってキャラの深みを出すことができた。
だが、初代の4分の1の話数で、主人公含むキャラクターたちの成長を視聴者にしっかりと感じさせるには大変な労力が要る。その工夫が本当に観ていて面白い。
たとえばオンパレードなんかは、序盤で主人公にヘイトを集める構成になっている。序盤でマイナス印象を視聴者に植え付けておくことで、主人公が成長したときの感動を大きくさせている。
プラネットでは、回想シーンを多めに取り入れている。描けない過去の分を回想で補うことで、実際には半年間しか描けずとも、視聴者は長い時間を感じることができるのだ。また、プラネットでは「実はこのキャラ、こういう人でした」とあとからキャラの既存のイメージを壊す構成が多かったように思う。あとから明かされると衝撃もひとしおで、その衝撃を与えられると少ない話数でもキャラに厚みを感じるのだ。すげえな、と純粋に感心してしまうし、なんとか深みを出そうとする努力に脱帽する。
こういう製作陣の「なんとか制限のある中でも面白くさせたい…!」という努力が作品に滲み出ているところ、私がアイカツシリーズを愛してやまない理由の一つだ。製作陣が一番のファンと言っても過言ではない、そんな作り手の「愛」がシリーズ全体に詰まっている作品だと、私は思う。
最後に
気づけば10,000文字を超えていて驚いている。
では最後に自分語りをして終わろう。
今年の3月『アイカツ!10th STORY〜未来へのSTARWAY〜』のアンコール上映を映画館に観にいった。アイカツシリーズの映画を劇場で観るのはこれが初めてだった。
すごく胸が高まって、ワクワクした。ライブに行くときの高揚感に似ていた。アンコール上映の劇場は、アイカツをこよなく愛する人たちであふれかえっているはずだ。一体アイカツのファンにはどんな人たちがいるのだろうか。
シアターに入る。自分の席で上映開始を待っているうちに、どんどんどんどん人が流れ込んでくる。
それを見て、驚いた。
本当に、老若男女であふれていたのだ。
年代も性別も、みんなバラバラ。でも、みんなこのSTARWAYのアンコール上映を観るために足を運ぶほど、アイカツが好きで。
アイカツはこんなにもたくさんの、幅広い人に愛されているのだと、思わず目がうるっとなった。
上映が終わり、一人で静かにシアターを出る人、友人と楽しそうに感想を共有しながら出る人、号泣して席から動くことができない人、そんな多種多様な人たちをぼんやりと見ながら思った。
絶対に、アイカツを終わらせてはだめだ、と。
こんなにたくさんの幸せと感動をはらんでいる作品を、もっともっとたくさんの人に届けなくてどうする。
そんな使命感のようなものが、私の心の中で芽生えた。
そんな理由もあり、私は今この記事を書いている。
関係者でもなんでもない私が、できること。それは「好き」を声に出して届けようとすることだと思う。
もしこの「好き」が、ほんの少しでもあなたに届いたのなら、これ以上の幸せはありません。
ここまで読んでくれて本当にありがとうございます!