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セカンドオピニオンに行ったら男性不妊の原因が解明した話

原因不明の高度乏精子症で精子が12匹しかいないと診断された僕が、その原因を見つけて男性不妊を克服するためにこのブログを書いています。

いきなり結論なんですが、大学病院でいくら検査しても原因が見つからなかったのに、セカンドオピニオンの男性不妊の専門クリニックで、あっさりと精索静脈瘤が発見されました
しかもグレード3という一番重い症状です。

なんじゃそりゃ。。。って話ですが、この問題には不妊治療の闇が隠れていると思ったので詳しく説明します。


患者にとって原因不明はもっとも残酷な告知。

原因不明と診断されると最大級のダメージを受けます。なぜって医者という専門家から「お前は種無しだ!」とお墨付きをもらうようなもんだからです。

原因不明の告知は真っ暗の宇宙に放り出されたようなものです。
進むべき方向もわからない。
もがいても進まない。
誰の助けもない。
ほっとけばそのうち窒息して死んでしまいます。
(悲しいかな本当に亡くなった芸能人の方がいたことも記憶に新しいです。。。)

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しかもその診断をしたのが、都内近郊の男性不妊治療で有名な大学病院の医師ですから、目の前も真っ暗になりますよ。

ちなみに泌尿器科で診断した42%もの男性患者が「原因不明の男性不妊」と診断され、38%が無精子症もしくは高度乏精子症と診断されます。
これってめちゃめちゃ多い割合だと思いませんか?


セカンドオピニオンは絶対に必要!

セカンドオピニオンとして診察を受けた男性不妊の専門クリニックで精索静脈瘤を発見されたとき、自分史上最大級に胸を撫で下ろしました。

病気を診断されて安心するなんて変な話ですが、精索静脈瘤は手術をすることで良くなります。

しかも精索静脈瘤は一般男性の15%。男性不妊患者なら30%が持っている病気です。

なので最初は精索静脈瘤を疑っていたんですが、原因不明と診断されたことで当時の僕は途方にくれていたんです。

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「よかった。。。これで改善する可能性がある。。。
本当によかった。。。」

心底そう思いました。


大学病院で受けた男性不妊の検査

なぜ大学病院で原因が見つからず、セカンドオピニオンの男性不妊専門クリニックで原因が見つかったかの話をする前に、簡単に大学病院でのやったことををおさらいします。

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まず街の小さなクリニックで簡易検査をしたら男性不妊の疑いがあったので、紹介状を書いてもらって大学病院にいくことになりました。

その大学病院は、泌尿器科と産婦人科を併設している不妊治療の専門機関です。その泌尿器科で精液検査をした結果、精子が12匹(その次は8匹)しか見つからず高度乏精子症と診断されたわけです。

エコー検査、血液検査、遺伝子検査(染色体検査)を実施してそれでも原因が見つからない。男性ホルモンを一時的に増やすアナストロゾールというお薬も処方してもらいましたがあまり変化もない。

その間に、1回2万円の精子の冷凍保存を6回して顕微授精に使える精子をストックしました。

約半年、病院に通い、精密検査と精子の保存をして、およそトータルで20万円ほど費用がかかりました。以上が大学病院でおこなったことです。


大学病院で精索静脈瘤が見つからなかった5つの理由

医師も完璧ではないので見落としもあると思います。
毎回100点の診断をできるわけではないからこそセカンドオピニオンの必要性があると思いますが、、、

病院側の落ち度もあったと思ってます。

その理由を以下にまとめました。僕の妄想も入っていますが、もし心当たりのある泌尿器科、及び産婦人科の医師がいらっしゃったら改善いただきたく存じます。

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1. エコー検査の時間が短かった
精索静脈瘤はエコー検査で見つかります。下腹部に力を入れてエコー検査機で赤い部分が現れると血液が逆流しているので精索静脈瘤の疑いがあります。
精索静脈瘤になると、逆流した血液が精巣を温めるので精巣がダメージを受けて精子が作られにくくなります。

このエコー検査時間が短かった。
記憶では大学病院の検査では30秒ぐらい。セカンドオピニオンのクリニックでは2〜3分は入念に検査していたと記憶しています。

精索静脈瘤は男性不妊の30%を占めているので、医師としては精索静脈瘤の有無を第一に疑うべきだと思いますが、もしかすると”見つけにくい精索静脈瘤”があるのかもしれません。

医師の方々には入念に検査していただきたく強く願います。


2. 情報が少ないので原因追求を諦めている
精液所見は人のコンディションにより大きく変わります。また学会で発表されている男性不妊に対しての情報はそれほど多くありません。

・データがなければ手の施しようがない。
・原因がわからないので処置のしようがない。
・ストレスが大きく影響するので生活習慣の改善しか提案できない。
・精索静脈瘤が見つからなければ他に目ぼしい原因が考えられない。
・老化が原因なら対策しようがない。

こんな風に思っている医師がいるんじゃないでしょうか?

男性不妊を扱う泌尿器科の医師であれば、突発性(原因不明)の男性不妊が42%もあるのに、もう少し詳しくその原因を探ろうとは思わないのでしょうか?
原因不明の無精子症状の人は諦めるしかないのでしょうか?
20代でも無精子症の方はいるんです。もっと原因究明が必要だと思うのですが、そういう研究の話を聞いたことがありません。なぜ研究されないのかが不思議です。


3. 女性に頼るしかない思っている
僕の妄想ですが、

結局妊娠できるかどうかは女性頼り。
精液所見が悪ければ、顕微授精するだけ。
1匹精子がいれば、あとは産婦人科がなんとかしてくれる。

こんな風に思っている医師がいるんじゃないでしょうか?

ちなみに大学病院に通っていた時に、もう一度エコー検査をして欲しいと頼んだことがありましたが、「再検査しても変わらないよ。」と一蹴され再検査は行われませんでした。

僕にはこの医師が、最初から男性不妊患者の回復を諦めていて、さっさと産婦人科に送り込もうとしているように見えました。

それとお医者さんにとっては随分と失礼な言い方になりますが産婦人科で体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)をする方が病院にとってお金になります。
IVFやICSIの成功確率は約30%。60万円の顕微授精を3回して諸費用合わせたら最低200万円かかります。
中には何度も繰り返し1000万円を不妊治療に注ぎ込む人もいます。
ちなみに不妊治療に保険は効きません。条件付きの助成金があるだけです。

自分で言いたくは無いですが、不妊治療にのぞむ夫婦は金の生る木です。


4. 温度が原因だと思っていない
精索静脈瘤の原因の本質は温度です。血が精巣に逆流することで精巣の温度が暑くなり、37度以上になることで精巣の活動が低下します。

僕は自分の陰嚢の温度が高いのでは?と大学病院の医師に質問しましたが、皮膚温度と深部体温は違うと一蹴されました。

男性不妊の原因に長時間のサウナや膝の上のパソコンはNGということがあるはずなのに、病院で陰嚢の温度を測っていないのは不思議です。

エコー検査(超音波検査)で精索静脈瘤が発見できるので熱を測定する必要はないという医師の理由はわかるのですが、実際に僕は精索静脈瘤が大学病院で発見されませんでした。

男性不妊のチェック項目として、陰嚢の温度測定や、手袋を外して素手で温度チェックをしてもいいと思うのですがこれは素人考えなのでしょうか?


5. 男性不妊は泌尿器科の花形仕事ではない
これは別の医師が言っていた話ですが、泌尿器科の花形の仕事は精巣がんだそうです。それと聞いて何となくふに落ちました。

難解な問題を解決することは医者冥利につきます。癌なんてその最たるものです。

それに比べ男性不妊なんて、患者の生活習慣に左右されるし、関係ない人からしたら共感できない種無しの戯言です。だから全国に男性不妊の専門医は60人しかいません。

お医者さんは学会での研究発表を参考に、生活習慣の改善アドバイスをするか漢方を処方します。あとは産婦人科に任せるだけです。
精子と卵子が合わさって受精卵ができるのに、男性不妊が妊娠率に影響を与えるという研究は今まであまりされてきませんでした。

しかし、昨年には以下の研究報告もあります。

(参考記事)
https://ivf-kyono.com/column/post-1977/ 
2019年3月に公開された論文においても、精子DNAの損傷は胚の発生に影響している可能性があることが報告されています。

Double-stranded sperm DNA damage is a cause of delay in embryo development and can impair implantation rates
Fertility and sterility, vol.111, No.4, April 2019 0015-0282

 Aida Casanovas et al.

  この研究から言えることは、男性不妊を改善しないと妊娠することは難しい。とも言い換えられます。

事実、2011年の婦人科ガイドラインでは「男性不妊は薬で治療すること」となっていたのが、2017年になって初めて「産婦人科は泌尿器科と共同で不妊治療に取り組むべき」と策定されました。

産婦人科は商売敵の泌尿器科に顧客を渡したくなく、泌尿器科は産婦人科のガイドラインの変更を知らなかったので男性不妊に無知。
そんな現状が想像できます。


突発性の無精子症の人は絶対にセカンドオピニオンに行った方がいい!

僕の場合が「エコー検査で見つけにくい男性不妊」だったとして、こういう患者が一定数いるならこれは重要な問題をはらんでいます。

原因不明の無精子症と診断された人は、キンタマ にメスを入れて精子を取り出す精巣内精子採取術(TESE)おこなう必要があるのですが、TESEをすると精巣内が癒着するので数年は同じ手術ができません

一度のTESEで妊娠すればいいのですが、そうならなかった場合は子供を持つことが極端に難しくなります。

もし無精子症の原因が精索静脈瘤だったとしたらTESEをおこなわずとも手術をすることで通常の射精から精子を得ることができるかもしれません。

僕も最初の検査では精子が12匹と診断され無精子症の一歩手間でした。
もし精索静脈瘤がひどくて熱のダメージを多く受けていた場合、原因不明の無精子症になりTESEをやっていたと思います。

だから、
突発性(原因不明)の男性不妊の方は、セカンドオピニオンを受けてもらいたいと強く願います。

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