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枕崎の台風。(その1)

僕の嫁さんの実家は鹿児島県南部の枕崎です。枕崎はそれまでも旅で行ったことはあるけど、結婚してからよく行くようになりました。そのまちに何日か滞在し、住むような感じで日々を送るといろんなことがわかります。雨、洗濯、地元の人がいくお店に行く。地元の人には当たり前の日常だが、旅人の感覚としてはお店で扱っている商品ひとつとっても自分がいつも住んでいるところと違って新鮮です。

枕崎は台風の通り道で有名で「台風銀座」と呼ばれているけど、ここ数年は気象変化の影響か、台風が枕崎を通らないこともあるものの、それでも毎年に1度は来るそうです。僕はこれまで、枕崎にいて台風に遭ったことはなかったんですが、今回、滞在中に台風6号の暴風域に入り、台風の怖さを味わいました。実は今もその真っ最中で停電の中これを書いています。パソコンは昨日電気があるうちに充電をしておきました。時間は朝の9時。窓はすべて雨戸が閉まっていて、光と風(エアコンが止まっているので)を取るために2センチほど窓を開け、雨戸の隙間風を入れている。しかし窓を開けたら開けたで外の風と雨戸を揺らす音がすごい。今まで台風はいろんなところで何度も経験しているが、今回の台風が人生で一番すごい。さすが枕崎、というと変な言い方だが、すごい。

買いすぎたカップラーメン。

じいちゃん(嫁のお父さん)にいわせると、この程度は大したことないそうです。それでも台風を舐めてはいなくて、するべきことを教えてくれました。台風はいつ来るのかということが天気予報などでわかるので、準備ができます。台風が来る前々日にホームセンターに一緒に土嚢を買いに行きました(前日だと混んだり売り切れたりするらしい)。土嚢は何に使うのかと思ったら、ドアや扉のところに当てておくとドアがガタガタ揺れず、窓が割れないのだそうです。あと必要なものは、カセットコンロ、一人一つの懐中電灯、そしてカップラーメン。カップラーメンの買いだめはちょっと楽しく、あれもこれもと思ってたくさん買ってしまいました。

昨日の夜、火の神荘(じいちゃんがやっている宿屋)の広間で、みんなでごはんを食べました。僕は「明日、本当に停電になるんですか?」と聴いたら、じいいちゃんは「なるでしょう」といった。東京では台風が来てもあまり停電にはならないので、それでもまだ半信半疑でした。食事がおわり、「じゃあまた台風の後に」、と別れをつげて、じいちゃんはじいちゃんの家に、僕たちは同じ敷地にある祖父が99歳まで暮らしていた平屋に帰りました。家は近いのにそれぞれ完全にシャットアウト。雨戸を締め、玄関もシャッターを下ろしました。お昼にその準備で雨戸を半分閉めた時、手のひらくらいの大きな蜘蛛が出てきてすごくびっくりしました。夜は風が吹いていたが、まだ電気もついていたので、明日からの停電にそなえてできる充電はすべてしました。(つづく)

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