『トリツカレ男』を終えまして

10月24日(日)『トリツカレ男』無事に千穐楽を迎えることができました。

稽古期間は25日間。

稽古時間は168時間。厳密に言うと成井さんは予定されている稽古時間より早く終わることが多いし、今回は「自分の出番のシーンに合わせて稽古場に行く」時差出勤もあったので、もうちょっと少ない感じです。

自主的に早く来たり、居残って稽古する役者もいたし、スタッフさんは稽古時間以外でも活動することが多いです。

ので一概には言えませんが、このくらいの時間でこの作品は出来上がりました。

もともと評判の高かった作品の再演です。

稽古しながらわたし自身「面白いな」「これは間違いないぞ」と思うこともしばしば。稽古場はだいたい不安感がつきものなので、そんなふうに思わせてくれる作品を稽古できていること自体が幸せでした。

初日が開けると。

わたしが予想していたよりも多くの評判の高さを感じました。

わたしはあまりゴリゴリにエゴサーチをするタイプではないですし、SNSなどの感想は楽しかったら書き込むし、楽しくなかったら現れないものだと思っているので、目にする感想だけを鵜呑みにしてはいけないと思っているのですが。

今回ばかりはTwitterなどで拝見する、お客様の高揚感を感じる感想に、嬉しくなりました。

ほんと、改めて『トリツカレ男』の凄さと、周りのキャスト・スタッフの凄さを感じました。

とりわけ主人公のジュゼッペを演じた野田裕貴くんの凄さを痛感しました。

本番に入ると、ペース配分が分かってきます。特に出ずっぱりな役だといい意味で力が抜けてきて、2時間の中で調子のいい波ができてきたりします。

そんな中、わたしの目に映る彼は力を抜くどころかますます熱を帯びていきました。

野田くんの熱量、テンポ、若さ、それを支える声と身体能力。

もともと同じ土俵で戦えるはずもないのに「わたしにはできない」と勝手に敗北宣言をしてしまうほどです。

野田くんと、彼に付きまとう畑中さんが(40オーバーなのに)縦横無尽に舞台上を駆け回ってくれたおかげで、『トリツカレ男』は躍動感のある評判の高い作品になったのだなぁと、いち出演者なのに、偉そうに思うのです。

千穐楽の満席の客席も、なんだか久しぶりの光景で、本当に嬉しくなりました。

本番公演は終わりましたが、配信映像をアーカイブでご覧になれます。映像も音声もキレイだし、映像ならではアップのシーンもあったりして、楽しいです。よろしければ是非。

わたしとしてはタタン先生を演じられてとても嬉しかったです。タタン先生の年齢設定は40歳なんですけど、実年齢よりちょい上の役って、あまり振られてこなかったので。だいたい実年齢より下の役が多いです。

これからの役者人生を見据えたときに、こういう役をやっていかなければならない、できるようにならねばならない、そんなことをチャレンジさせてくれる役でした。

座組のみんなも面白くて、ちゃんと悩める人たちで、それぞれの役柄にぴったりで、いいチームでした。

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ここまでの好評を目の当たりにすると、同じキャラメル作品である次の『サンタクロースが歌ってくれた』がますますずっこけることはできなくなったし、ハードルも高くなったような気が勝手にして、なおさらプレッシャーを感じています。

でも負けないぞ。

と、その前に。

いよいよ釧路オンラインツアーの開催まで一週間を切りました。まだまだご予約承っています。

こちらもそこそこハードルを上げて楽しみにしていてください。

おもてなします。

わたしは公演終了後の余韻が苦手で、千穐楽のあとも、あまり別れを惜しまず劇場を後にしました。演劇はお祭りに似ているけど、お祭りのように一過性で終わらせてはいけなくて、生活の中に当たり前にあるものだと思いたいからです。いつかどこかでまたみんなと共演できると信じているからです。

というわけで、キャスト・スタッフの皆様も、応援してくれたお客さんとも、また会えると信じております。

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