引退を意識する

キャラメルボックス2022クリスマスツアー『クロノス』間もなく開幕します。
劇場で上演できることが、お客さんに会えることが、本当に待ち遠しく、楽しみにしています。

劇団の公演は、やはり何か特別です。
活動休止を経ているからでしょうか。
活動自体が年に1〜2本になっているからでしょうか。
劇団というものの、会社とも家族とも違う、共同体の中にいることの特異感。不思議さ。それから安心感。

皆それぞれの生活がある中で、それぞれが別の価値観を育んできた中で、ひとつの作品を作るために集まってくる連帯感。

この感じは劇団でないと味わえません。

やっぱり劇団って、いいぞ。

高校から演劇を始めて今年で24年。
演劇に生きて、演劇で生きてきた24年でした。

ここ一年くらい、引退について考えています。
や、そんなに深刻な話ではないですし、最終的には前向きに終えていく話なんですが。

40歳を手前にして、自分の身体と能力と伸び代が、無限大ではないことに(やっと)気がついてきたのです。

ありがたいことに、この20年間、何かしらのオファーをいただき続けてここまでやってきました。これがいつかピタッと止まったときのことを考えると、演劇しかやってこなかった自分の存在意義を保てるのだろうか、なんて考えています。

そして、今自分が演劇を選択しているのは、「今まで演劇をやってきたから」なのではないかとも考え至るようになりました。

語弊を恐れずに豪語すると「演劇じゃなくていいのではないか」にたどり着いてしまいそうなのです。

そんなことを考えていると、元来の能天気さがかけ合わさって、今とても、個人的にはいい感じです。

いつだって背水の陣の感じ。
もあるし、演劇にこだわらなくてもいいんじゃないか自分、という脱力感。
ほんで、もしかしたら限りある残された演劇人生を、悔いのないように生きてやろうという、全力感。

演劇に対する見方、取り組み方が少し変わった1年でした。

もちろん、感謝はいつでも忘れずに。
演劇を続けてこられたのは、自分だけの力では決してなく、周りのみんな、なによりお客さんのおかげだということは絶対に忘れません。

こう見えて、演劇に対しては結構ぐるぐる考えて、価値観を右往左往させながらやってきた演劇人生ですから、年が明けたらまた180度違うことを考えているかもしれません。

ただ、昔も今も、演劇は楽しいし、どんどん楽しくなってるし、やめたくないです。

是非とも、演劇をやめたくない男を見にきてもらえると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?