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第7走者:田中伸哉先生【病理医】

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このマガジンは、2021年4月発売の

『Dr.ヤンデルの病理トレイル 「病理」と「病理医」と「病理の仕事」を徹底的に言語化してみました』(著:市原真/刊行:金芳堂)

について、病理医・臨床医の皆さまに読んでいただき、それぞれの視点から感想と、「病理」に関する考えを書評という形でまとめていただいたものです。

「病理トレイル 書評リレーマラソン」と題したこのマガジンを通じて、「病理」とは、「病理医」とは、「病理の仕事」とは何かを感じ取っていただけると幸いです。

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■評者■

田中伸哉
北海道大学医学部腫瘍病理学教室教授

07.田中伸哉先生

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■書評『Dr.ヤンデルの病理トレイル』

凄い本が出た。

病理診断とは、病理医の目に組織像が飛び込むやいなや、膨大な知識と経験が詰め込まれた病理医の大脳皮質に存在する神経細胞でミリ秒単位の無数の演算が行われ、診断に至る。

この過程を文字化・可視化することは従来不可能と思われていたが、そこに筆者は挑みトレイルを走り抜いた。

病理医にとっての商売道具、あるいは企業秘密とでも言うべきもの●●がオープンにされており大変興味深い。この本を読めば、病理診断はAIがとって変わるから将来人間は不要、という批判がいかに的外れかということもすぐにわかる。

本作は病理診断過程について記述されているが、幅広い医療分野の診断に共通する道のりでもある。また、医療以外の意思決定の思考過程に共通するものでもある。

病理学・医学・診療にかかわる医療関係者、医療系学生はもとより、幅広い読者の興味を惹く作品であろう。是非一読をお薦めしたい。

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■「おはようロビンス!」

私が主宰する病理学教室では、1986年から続く名物勉強会「おはようロビンス」が開催されている。

週一回朝の講義前のわずかな時間、集まってロビンスを読む、英語で読んで訳して、関連事項を解説しながら進む。なんの変哲もない自由参加の勉強会だが、35年間続いている。

スタンリー・ロビンス先生が1956年に初版を発行してから現在9版である。平易な初学者向けの教科書だが、読めば必ず勉強になる。

学生に指導する、というよりは自らの勉強、知識が付くのは楽しい。これは病理の原点だと思う。教科書しかり、生検・剖検しかり、患者さんから学ぶ。

見たこともないような疾患に出会ったとき、なんとか解いてやろう、トレイルの末の達成感は病理医にしか味わえない。

病理は医学・医療の基盤。病理を理解できる臨床医を一人でも多く育成する、を目標に毎週楽しみながら若者と一緒にロビンスを読んでいる。

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おはようロビンスのマスコットキャラクター「おはロビ君」
(北大医学部100期生:佐々木美羽さん作)

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■書誌情報■

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Dr.ヤンデルの病理トレイル 「病理」と「病理医」と「病理の仕事」を徹底的に言語化してみました

著:市原真
札幌厚生病院病理診断科
定価 3,080円(本体 2,800円+税10%)
A5判・278頁 ISBN978-4-7653-1862-4
2021年04月 刊行

病理医は何を見て、何を考えているのか。医療という壮大なトレイルで一体何をしているのか。病理医の立ち位置、臨床医との関わり、そして病理診断――病理医の無意識の領域に迫り徹底的に言語化する試み。


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