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総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(完結)

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▼森川暢 市立奈良病院▼ 内科病棟を見回すと、高齢者ばかりというのが今の日本の現状だと思います。高齢者診療では、内科医として、ただガイドライン通りに治療するというだけでは、立ちい…
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2020年9月の記事一覧

第14回 DVT予防について

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 第14回 DVT予防について ---------- 整形外科術後の深部静脈血栓症(DVT)予防は認知されつつありますが、内科病棟ではDVT予防の認知度はまだ低いのではないでしょうか。原則として、全ての内科急性期病棟に入院した患者さんにおいて、DVT予防について考える必要があります。今回は、内科病棟に入院した初日にDVT予防を行うべきかを考えたいと思います。 ---------- 症例(病棟の

第13回 せん妄

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(13) 森川暢 市立奈良病院 第13回 せん妄 ---------- せん妄は、高齢者の入院患者を担当していれば、本当に頻繁に出会う病態です。実際に70歳以上の急性期入院患者の3分の1で、せん妄が発症するとされています[1]。さらに、せん妄は、おそらく過少診断となっています。不眠や不穏と扱われ、仮にせん妄と診断されたとしても、とりあえずハロペリドールで興奮だけ抑えて身体抑制するという戦略がまかり通っています。 せん妄は、