私の好きな番組「どうぶつ奇想天外」の思い出を呟いてみた
長野県から電車を乗り継いで、やっと到着した上野動物園。
小学生になったばかりの女の子が「1つだけ」と言われて選んだおみやげのぬいぐるみは「アメリカバイソン」だった。
そのキッカケになったのが「どうぶつ奇想天外」というテレビ番組だった。
正解はアメリカバイソン。
かつてTBSで放送されていた「どうぶつ奇想天外」というテレビ番組の影響だった。
動物とは「近所にいるもの」がすべてだった私に、どうぶつ奇想天外は世界の広さを教えてくれた。
ジャングル、サバンナ、砂漠……世界各地で生きる動物たちはとても美しくて、かっこよくて……。
何より驚いたのは、そんな動物たちを日本で、間近で見られる場所があるということ。
動物園に行ってみたい! 番組で見た動物たちに会ってみたい!
でも、当時は両親は仕事に忙しく、5つ離れた妹たちは産まれたばかり。
小学生になった私をどこかへ連れて行くのは、至難の業だった。
度重なる私の申し出に「じゃあ行こうか」と願いを叶えてくれたのが、祖父母だった。
電車を乗り継ぎ、到着した上野動物園。
はしゃぎ倒した私へ祖父母は「ぬいぐるみを1つだけ買ってあげる」と申し出てくれた。
なにしろ、長野県から東京への電車での移動。小学一年生を連れて持ち帰るには、ぬいぐるみ1つが限度だったと思う。
私は悩んだ。悩みに悩んだ。
ゾウ、キリン、パンダ……なにしろ上野動物園なので、メジャー所だけでも、とんでもない量の動物のぬいぐるみがある。
このなかからたった1つを選ぶしかない。
なにより!
どうぶつ奇想天外に出てきた動物たちのぬいぐるみが、欲しい!
まず私が手に取ったのが、どうぶつ奇想天外ではおなじみの千石正一先生が扱うような、大きな「ヘビ」のぬいぐるみだった。
先生みたいに首に巻いたり、先生の解説ごっこをしたかった。
祖母に一瞬で却下された。ぬいぐるみって言ったじゃない、とは言えなかった。
祖母はよく言えば節約上手、悪く言えばどのつくケチ。
祖母の壁を突破しなくては、ぬいぐるみを買ってもらえない……。
そう思った私は続いて「トカゲ」を手にした。蛇より圧倒的にかわいい。だがこれも、「女の子なんだから」という一言で却下された。
でもパンダもライオンもゾウも、私の心には響かなかった。子供心に、こうしたメジャーな動物なら上野動物園以外でも買えると思ったからだ。
これしかない。
私はアメリカバイソンのぬいぐるみを手に取った。
番組では、国立公園での動物たちの生きざまが放映されることがたびたびあった。イエローストーン国立公園の回では、アメリカバイソンは定番の動物。
人間の狩猟が原因で絶滅の危機に追いやられつつも、生息数を回復しているなど、番組での紹介を思い出した結果に選んだぬいぐるみだった。
祖父母は、困惑しただろう。
見た目も可愛いし、丸っこいし、きっとOKなはずと、自信満々で掲げられるアメリカバイソンのぬいぐるみ……。
何度確認されても私の意思が折れることはなく、無事にアメリカバイソンを買ってもらえた。
どうぶつ奇想天外がなかったら、私があそこまでアメリカバイソンに想いを寄せることもなかったと思う。
大人になり、多少なりとも自分でお金を使えるようになった今は、動物園へいったり、番組で見た盲導犬や聴導犬への募金をしたりもするようになった。
きっとこれからも、どうぶつ奇想天外は私の好きな番組だし、たぶん何度も思い出すだろう。
アメリカバイソンのぬいぐるみを選んだあの日と、困惑した祖父母を。
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