悲しびに浸む軀を日に当てて涸れしゑみがほ空を蕩ふ
吸って吐くただそれだけがこんなにも難しい夏、クーラーの下
贄となる少女に沃懸くる眼差し期待憐憫畏敬羨望
私たち全然違う私には翼がないし脚も足りない
空っぽの街を歩いて空っぽの自分を確かめるだけの夜
生きるのに必要なのは殺意だけ気づくのがただ遅すぎただけ
労働を放棄して喰む西瓜から滴り落ちる生命の赤
生命の象徴みたいダイヤって透明でただ輝いていて
清らかに咲く白百合に憧れてコンシーラーで塗りつぶす顔
盗人が胸に包んだ短剣はあなたを殺すための銀色
五月雨にさ濡れし獣道を往く漣がごと飢えを導に
偃月を振り放け見れど君おもふことも叶はぬ春過ぎし夜
悲しびの淵に耀ふ鱗の一片となり然ながら消まし
白日の下晒された街の中眩む目で視た冬の幻
僕の立つ道はどこにも繋がっていないと知った君と出会って
ロリィタになれない僕にロリィタがロリィタになれと拳を上げる