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タコス

タコスと聞くとどんな食べ物を思い浮かべるだろうか。エキゾチックに味付けされたひき肉やトマト、レタスなんかの具材がパリパリの皮に包まれているものだろうか。
「そうそう」と思った人はぜひこの記事を読んで欲しい。

日本にいた時にバイトをしていた飲食店ではタコライスを商品として出していたので、キッチン担当として「タコ肉」なるものを仕込んでいた。

タコライスは沖縄発祥の、タコスの具材をご飯に乗っけたものっていう認識だったのだけれど、メキシコにきて、特定の「タコスの具材」あるいは「タコ肉」というものが存在しないことを知った。

日本で知られている「タコス」と呼ばれるものはTexmexというアメリカナイズされたタコスで、本場のものとはだいぶ異なる。こうして文字を打っている時に予測変換として出てくるタコスの絵文字🌮、これも完全にその類のものだ。

まず、タコスの炭水化物の部分、トルティージャというとうもろこしの粉でできた皮は柔らかい。柔らかくて薄いので、破けて中身が零れないように二枚重ねで出されることが多い。

そして肝心の具材だが、pastorと呼ばれるケバブのような肉、bistec(ステーキ)という牛肉の細切り、味付けされたマッシュルームの炒め物、longanizaという味が濃いめのソーセージ(
中身のみ食べる)、suaderoという油で煮込まれた(?)牛肉(腹と脚の間の肉らしい)、ハラミなどが定番。この他に内臓や脳みそ、タンなどの変わり種を置いている店もある。

基本的に玉ねぎのみじん切りとパクチー、またはnopalという食用サボテンと玉ねぎの炒め物などがそれらの具材に乗せられて出てくるので、¿con todo?と全部のせていいか聞いてくれる。ただ、こっちのパクチーは日本で食べるものと違ってほとんどくせがなく、日本にいた時は嫌パクチー家だった私も気にせずに食べている。そして、たまに付け合せとして出てくる、よく焼いた小さな玉ねぎが柔らかくて甘くて、これまたおいしい。

定番の具材のタコスは本当にどれも美味しくて、日本で手軽に食べられないのが残念。肉をかきこんでいるようで、まるで丼物を食べているみたいな感覚になる。
行きつけの、学校帰りによくよる屋台のおっちゃんはとても気前が良くてしょっちゅうサービスをしてくれる。メキシコシティの物価は決して安いとは言えないけれど、道に出ている屋台のお店では少しのお金でお腹をみたすことができるので、貧乏学生(estudihambre)にはとてもありがたい。

日本にはなかなかないし、こちらと違ってお手頃な値段で、という訳にも行かないけれど、是非一度「本物のタコス」を食べてみてほしい。

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