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オフィス空間のプロフェッショナルがつくる住空間。自らリノベーションしたくつろぎの自宅訪問

木下商会の代表取締役であり“オフィス空間デザイナー”の村山さん。オフィス空間のデザインを専門とする村山さんは言わば空間のプロフェッショナルです。

中古マンションを購入しご自身でリノベーションされたというご自宅もきっと随所にプロフェッショナルの技が光っているはず……、どんなご自宅なのか気になる……。ということで実際にお邪魔させていただきました!


「オフィス空間デザイナー」がつくる住空間

家族構成:村山さん夫妻、長女、長男(ともに小学生)
職業:代表取締役、オフィス空間デザイナー
エリア:世田谷区最寄駅:京王線「八幡山」
建物の種類:マンション
間取り:3LDK
広さ:72㎡
築年数:約45年

それでは早速お邪魔します!

玄関

玄関は家族の思い出が詰まったギャラリーのよう。
玄関は細長い土間のようになっていて、玄関から土間を通り抜けてベランダに出られるようになっていました。これは村山さんが絶対にやりたいと思っていたことのひとつだそう。

ドアにはスマートロックのBitlockが設置されていて、暮らしにテクノロジーを取り入れる工夫がされていました。Bitlockは木下商会のオフィスにも導入されており私も日常的に使用していますが、スマホで解錠/施錠できるので鍵を持ち歩く必要がなくとても便利です。

リビング・ダイニング

リビング・ダイニングはこの家の中心に位置する空間です。玄関を入るとすぐに開けたリビングとなっていて、ここからキッチンにも子ども部屋にも寝室にもつながっています。

8人で囲める大きなダイニングテーブルにあわせたダイニングチェアはマルニ木工のHIROSHIMA。こちらは将来お子さんたちが独り立ちするときに持っていけるように、という思いも込めて選んだものだそうです。
実際に座らせていただきましたが、座面も背もたれも木材にもかかわらず絶妙ななめらかさで、長時間座っていても疲れませんでした。

洋室ですが窓にはカーテンではなく障子が。和モダンのあたたかな雰囲気がよく馴染んでいます。

 目の前の公園、明るくて気持ちがいい

障子だけでなく、テレビがある面の壁は木、水回りがある面はレンガ、天井はスケルトンと、さまざまな素材が入り混じっている感じがなんとも村山さんらしい空間です。
一つの面には一つの素材と決め、ごちゃごちゃしすぎないように気をつけたそう。

キッチン

ダイニングの奥はキッチンです。
システムキッチンは無印良品とサンワカンパニーのコラボ商品。無印良品のアイテムとの相性が抜群で、収納も無印良品で統一されています。

大人が2人並んでもこの広さ。キッチンは広いに越したことはないですね。うらやましい。

子ども部屋

子ども部屋から見たダイニング

リビング・ダイニングから見ると小上がりのようになっている子ども部屋。
壁一面の本棚は最近新調したそうです。

この本棚は木下商会のオフィスにもあるマルゲリータ。これからどんな本が増えていくのか楽しみですね。
子供部屋は床下が収納スペースになっており、村山さんの本が収納されているそうです。

クローゼット・寝室

子ども部屋の隣はオープンクローゼットと寝室になっています。
家族全員分のクローゼットを一箇所に集約することで、朝の支度のときにみんなでまとまって動けて良いんだとか。

寝室のマットレスはSerta(サータ)というヒルトンホテルでも採用されているものだそうです。

洗面・浴室

マンションにもともとついている浴槽だと大人は脚を伸ばしきれないことがありますが、村山さんは「家は一番リラックスできる場所にしたい」とのことで、大きな浴槽を入れたそうです。
そんな浴室にはもう一つ特徴が。

大きな窓がある! 目に入りやすいところに窓が位置していることで広く感じられます。
また、リビングにいながら浴室の様子が見え、浴室にいながらリビングが見えるので、お子さんたちが小さいうちは安全面の観点からも良かったそうです。もちろん目隠しを閉めることもできますよ。

さて、ざっと全体をご紹介したところで、村山さんに家づくりについて伺いました。

物件の購入について

中古マンション購入・リノベーションを選んだ理由

「賃貸ではなく購入を選んだのは趣味が「建築」だから、この一言に尽きます。とにかく自分でつくりたかったので賃貸よりも自由度が高い購入を選びました。
もちろん金銭面でも検討して、賃貸も住宅ローンもほとんど変わらなかったので購入した方がいいなと。ただ、もうできあがっているきれいな新築マンションや分譲の一戸建てという選択肢はなかったですね。

僕は出身が石川県金沢市で、地元で『家を買う』といえば一戸建てを建てるのが大半です。でも東京ならマンションだよな〜とは購入を検討し始めた当初からなんとなく思っていました。妻がもともと一人暮らし向けのマンションを購入していて、管理人さんに管理してもらえるとか、ゴミ出しが楽とか、マンションのメリットを力説してくれたのが後押しになりましたね。
一軒家をイチから建てるよりは自由度は下がりますが、リノベーションも楽しいだろう! ということで中古マンションのリノベーションに決定しました。」

物件の探し方

「まずはエリアを決めてから物件を探しました。
結婚する前は僕は世田谷区、妻は台東区を気に入って住んでいて、マンションを購入するならどっちのエリアにするか、お互いに魅力をプレゼンし合ったのですが、やはり子育てをするならゆったりしている世田谷のほうがいいよねということに。実際良かったと思っています。
世田谷区のなかでも京王線沿いの八幡山に決めたものの、すぐに購入はせず、1年ほど付近のマンションに住みながらいい物件を虎視眈々と狙っていました。

エリア以外の条件はそこそこの広さで1階、南向きのマンション、くらいです。探し方は普通にポータルサイトを見たり、歩き回ったり、特別なことはしていません。
購入した物件はたまたま通勤途中に通りかかって、これは逃したくない! と思ってすぐに電話をして申し込みました。そのときはとにかく急いでいたので申し込んでから初めて内見をしました(笑)」

リノベーションについて

これだけはどうしてもやりたかった!

「玄関とお風呂を広くすることはどうしてもやりたいことでした。どちらもやって良かったですね。
全体の面積があまり広くないので廊下をなくしたんですが、これも広く感じるのと見通しがよくなったのとで、やって良かったです。」

もっとこうすればよかった……。

「一度スケルトンにして壁を建てたのですが、音が響くのが気になることがあるので壁の下地などをケチらなければよかったな〜と。もっとちゃんとやれば納まりが良くなっただろうなという箇所もいくつかあります。

自分的には気に入っているんですが、家族から言われるのは夜のリビング・ダイニングが暗いことでしょうか。子どもは『誕生日ケーキみたい』なんて言ってました。7WのLEDが6個なんですが、確かに誕生日ケーキのロウソクくらいの明るさかもしれません(笑)
妻は小学校に提出する書類を書くのに家中の照明を点けていますね。必然的に仕事もしづらい空間なのですが、これに関してはオンオフが切り替えられるのでむしろ良いと思っています。」

かわいいけど、たしかに夜は暗いかも

設計・施工業者の選び方

「初めは付き合いのある業者さんも検討しましたが、マイホームって大きな買い物じゃないですか。となるとついわがままを言いすぎてしまうかもしれないなと。そのせいで付き合ってきた業者さんとの縁が切れてしまっては嫌なので、紹介してもらった初めての業者さんに頼むことにしました(笑)
レイアウトから仕上げやスイッチプレートなどの細かいところまで自分で選定して、手書きのスケッチを描きました。それを業者さん渡して図面に起こしてもらい、工事を依頼する流れです。

一度フルスケルトンにしてリノベーションが完了するまで大体3ヶ月くらいでした。」

リノベーションのコンセプト

『子どもを育てる器』とか『子どもに考えてもらえる場所』というのは意識しました。仕上げの素材ひとつとっても、なぜこれがここに使われているのか、納まりもなぜここがこうなっているのか、などの意図を考えてもらいたいという思いがあります。子どもたちにはまだまだ意図が伝わりきっていないなと感じることが多々あるのでこれからに期待ですね。」

「あとは『みんなが集まる場所』に憧れていたのと『食事』が好きなのとで、食卓には思い入れがあります。家の真ん中に食卓を置いて、子ども部屋ともつながっている形にしました。
食卓は特に決めたわけではないんですがなんとなく席が決まってきていて、将来子どもが独り立ちするときに自分のチェアを持って行ってもらうのもいいなと思っています。」

リノベーションを終えて住んでみて、実際どう?

「全体的に自分の好みが反映できて満足しています。家族からの評判も良かったです。
正直真似しづらいというか、あまり一般的な住宅の内装ではないという自覚はありますが、そういうところを良いと思ってくれる家族になってくれて嬉しいです。

僕はずっと引っ越しが多い人生でこれまでに16回引っ越しているので、1ヶ所に長く留まったことがないんです。この家に住んでからは8年くらいになるのですが、こんなに長く同じ家に住み続けたのは初めてですね。
そういったこともあって今ではこの家が一番落ち着く場所になりました。もともと出張とか旅行とかが好きな方だったんですが、出張は嫌いになりましたし、旅行も終盤は疲れを癒しに家に帰りたいと思ってしまうようになりました(笑)」

これからの展望は?

「子どもが小さいうちは汚れを気にして妥協したソファを使っていたんですが、そろそろいいソファを買ってもいいかなと思っています。」

「あとはこの家で終わりだとは思っていません! あと1軒くらいはつくりたいですね。 次につくるなら、遠くに住む家族だったり会社のメンバーだったり、ゲストを呼びやすい家にしたいと考えています。あとは建築とかデザインとかの専門書を集めた研究室みたいな家にも憧れますね。
母屋にゲストハウスを併設するのもありだなあ、車も停められるようにして、airbnb(エアビー)に出すとか。そうなるとロケーションは千葉とかも視野に入ってくるはずなので、平日帰るための賃貸マンションをオフィスの近くに借りたりね。

こういうのは考えてるときが一番楽しいですね、夢が広がる!」

オフィス空間デザイナーだからこその知識やアイデアが生きた素敵なご自宅でした。お子さんの「思考」や家族の「行動」にフォーカスを当てた空間づくりが印象的です。
次の家も検討されているとのことで、そちらも楽しみです。

木下商会はオフィス空間デザインを専門にしていますが、住宅のリノベーションのご相談もお待ちしています!

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