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今週のkinologue【7/22-28】

なんかアイルランドみたーい!と撮った写真は静岡にて。最近、水害も多いし最高気温を連発していて、隣の県なのに何がそんなに違うのか。今週は今期の非常勤が無事終了。ちゃんと自分で自分にお疲れ!をしてあげないと次に進めないよね〜ということで、往復5時間乗り鉄の日帰り旅に。お昼を食べている時間がないので、おにぎりと本2冊と着替えを持ってゴー!

隣にある登呂遺跡の資料館とセット券があったが、時間がなく断念。雰囲気は味わった。

日曜美術館の特集で白井晟一を知って、でも松濤美術館の展示は予約が取れなくて見に行けず、図録だけ取り寄せて眺めていたところ、俄然行きたくなったのが芹沢銈介美術館だった。なので、最初は建築きっかけ。近くにサウナの聖地・しきじもあるから旅のモチベーションもあがる。しかし、今回のきっかけは芹沢銈介の型染カレンダー。数週前にディスりが止まらないと書いた世田美の民藝展で唯一「すてき〜!」と興味を持ったのが型染カレンダーだった。あんなに物販を展開しておきながら、カレンダーを売ってないってどういうこと?と展示を出てからもずっと怒っていたけど。笑。そんなときにふと見つけた、この企画展。それはもう行くしかない。
白井晟一による建築は、石づくりのゴージャスな外観に、木がふんだんに使われた館内も全く負けてない。部屋ごとに趣きが異なり、意表をつく石の柱や天井が高いホールも白井建築らしくてユニーク。ソファーに座ってじっくり見るのは展示作品だけじゃない。これが市立美術館なのがびっくり。
芹沢銈介については正直よく知らなかった。作品は色々見たことがあって、紅型とか染物の作家なのね、くらいでわりと地味な印象。知っているのは柚木沙弥郎が芹沢銈介に出会って人生が変わってしまったことくらいだった。今回の展示は約20年分のカレンダーが中心だったが、屏風や暖簾、うちわ、本の装丁、絵や陶器など多種多様な作品もあって、遊び心のあるデザインのセンスと繊細な色彩美に魅了された。かわいいもの好き・柳宗悦に好かれるのも納得する。大切な『工藝』の装丁を頼んでいたのだから信頼は絶大。呉服屋さんに生まれ、染付に馴染みがあったところから始まっていたが、型染を紙に転化させたのが素晴らしいところだ。戦後すぐから作ったカレンダーは年代によって日本版・海外版・卓上版がそれぞれ作られたり、会社の依頼で制作したものもあったよう。お祭りや玩具など1年のテーマが決まっていた年もあった。河井寛次郎は随筆も味があって面白いから、そっちも期待して芹沢のテキストを集めた本を購入したが、面白くはなかった。笑。言葉より作品に込めていく職人肌だったってことか。売店の気さくなおばさまがカレンダーの毎年復刻版が出ていることを教えてくれたので、来年版をなんとか購入せねば。今度は隣にある自宅の見学ができる日に訪れたい。

2人とも顔が半分で大胆。オリジナルとは切りとり方が違う。オリジナルの方がミステリー感あり

今週観たのは『メイ・ディセンバー』。監督のトッド・ヘインズは『ベルベット・ゴールドマイン』をシネマライズで観たとき、耐えられなくなって途中で出てしまったくらい苦手だった。だから『アイム・ノット・ゼア』を配給することになったとき、乗り気じゃなかった。が、ケイト様のディランが素敵で、初日に立ち合い後にもう一度観たくらい好きになった。再びのケイト様の『キャロル』ももちろん好き。女優を魅力的に映すことにかけては信頼がおける。本作でもそれは変わってなかった。ジュリアン・ムーアとは相性がいいと思う。ポスタービジュアルになっているメイクをするシーン、ここがハイライトだったかも。ナタリー・ポートマンも悪くなかったけど、題材がイマイチで面白いとは言い難い。あとはミシェル・ルグランの意表をつく音楽がすごい。狙いがうまくいっているとは私には思えなかったけど。

ベルサイユでの馬術競技にベルばらファンが「オスカル様も!」と大興奮と微笑ましいニュース

パリ五輪が始まった。スポーツに熱くならない文化系にとっては、オリンピックの一番のお楽しみは開会式と閉会式。パリはロンドン(007とエリザベス女王にやられた!)以来の期待が高まっていた。が、2時半まで起きていられず、翌日にNHKの見逃し配信でじっくりと(TVerの解説が酷かった。せめて開会式くらい、もっとフランス文化に詳しくてマシなコメントできる人を入れてよ)。あんな大雨の中、完璧にパフォーマンスを見せ続けたことに先ずは感動。失敗した人を1人も見なかった。冒険する聖火とともにパリの街を舞台に繰り広げられたショーはどれも楽しかった。コンシェルジュリのマリー・アントワネットとか、最高でしょ。最後血まみれのような赤の演出も美しかった。映画の父・リュミエール兄弟も出てくるかなーと思っていたら、ちらりと。ショーのクオリティを高めるためにはフランス人じゃなくてもいいのねー。でも、きっとレディー・ガガも東京で頼まれてもやってくれなかったよね。スポーツの祭典とはいっても、文化の豊かさを見せる場でもあるから、フランスはさすが。東京の開会式は思い出すだけで恥ずかしくなる。
日本でのフランス・フェアはベルばらだもんなぁ。嫌いじゃないけどね。


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