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今週のkinologue【5/27-6/2】

「今週で5月が終わる〜」を呪文のように唱えて、月末までにやるべきことを終わらせた。ふぅ。ひとつは9月の北欧出張のフライト&滞在先を予約すること。6月からサーチャージが上がるというので、ギリギリまで色々悩んで決めた。去年5年ぶりに行ったときに、ヘルシンキ到着が朝4時台に変わったせいで、時差ぼけが解消されるまでに数日かかってしまった。なので、今年は早朝出発・夕方着にチャレンジ。始発で行くのはドキドキだけど、きっと無駄がない気がする。いつも滞在しているアパートがリノベーション期間にひっかって予約できず、がーん。慌てて他を探したが、円安のせいで、アパートレンタルもすごく上がっている。唯一、エリアも設備も希望通りのところがあったが、これまでずっと守ってきた条件をひとつ諦めるしかない。悩んだ末にとりあえず予約。ホント円安、何とかしてほしい〜

監督作まで食指が動かず。なんでかなぁ。

ここ2週間くらい映画館で映画を観ていなかったので、今週は3本。気づくとHTC渋谷の楽日だったニナ・メンケスの『ブレインウォッシュ』に滑り込む。結構混んでいた。「男性のまなざし」が女性を客体化する視覚言語が当たり前になってしまっていることを見直すこと、そういった表現が映画業界のセクハラや性暴力にもつながっていることを、多数のクリップ(『ビョークのネズの木』が出てきてびっくり!懐かしすぎる)を見せながら指摘していく。男性は立体感のある照明で全身を写しアクションを伴うが、女性は平面的な照明でパーツのみのアップというのが、客体化する違いとか。監督が女性かどうかの問題でもない。確かにステレオタイプな表現に不快だな〜と思うことは何度もあったが、こういうのがみんな好きなんだよね、と呆れつつ気に留めていなかったことが恐ろしい。自明となってしまったことを、脳から引き剥がすのは容易じゃない。

キャッチとストーリーコピーが同じようなことを言っていて、何だかもったいない。

積極的に観るつもりがなかったが、やはり観とくか〜ということでJ&B朝イチの回で鑑賞。B&B内沼さんが「あの濱口監督の新作がミニシアターでしかやらないのは衝撃!」と語っている動画を見たが、内容もキャスティングもミニシアター規模の作品だし、ミニシアター支援の既定路線かと。わかりやすいストーリーと思いきや、ラストが「え?終わり?」とモヤモヤ持ち帰らせるのも濱口作品ではよくある話。全体的にそれほどじゃなくても、あのシーン良かったなぁがあるのが私にとっての濱口作品だが、今回はなかった気がする。音楽に傾いていたからか?それがいちばんモヤモヤした。

数パターンあるポスタービジュアル。オリジナルなのだろうけど、決まってていいなぁ。
新聞広告もよかった。ゲーム的な世界観がうまい。

3本目のこちらをいちばん楽しみにしていたのに期待外れ。映画評に検討していたときもあったが、選ばなくてよかった。この監督ともA24とも、あまり相性がよろしくないのが今回もはっきり。鴻巣友季子さんの記事を読んだら、原作はおもしろそうだから読んでみようかな。

被曝シーンのない『オッペンハイマー』と同じく、アウシュビッツの中を描かず隣の世界だけで展開するのは意味深い。夫をイラつかせる役をやらせたら天下一品なサンドラ・ヒュラー(でも『落下の解剖学』の方が本領発揮)他、登場人物の誰にも共感できない。人を殺す銃の音も叫びながら死んでいく声も日常の生活音のようになっている世界から離れたくないと子育てを続けていくのは狂気でしかなく、もはやホラー。興味深いギミックは色々あったが、前提の面白さを超えるものがなかった。期待が高すぎたのか。。。

初めて行った近代文学館。港の見える丘公園隣のここでやることに意味のある展示だったよう。

映画がイマイチだった今週も、美術展に救われた。閉幕前に滑り込んだところ、幅広い年齢層で混んでいた。が、暑い中、港の見える丘公園をひたすら歩いて行った甲斐のある、充実した展示だった。学生の頃に橋本治にハマったときがあって、それがなぜだったか思い出せずにいたけど、「広告批評」がきっかけだったと展示を見てわかった。あらゆる表現手段を持っていて、わからないことを探究する天才。自分で解釈するために年表をつくったり、辞書をつくったり、書くこと、描くことを全く惜しまない。再現されていた書斎「ファラオの間」にビデオ棚があり、そこに『ロシュフォールの恋人たち』を発見して何か納得。好きそう。自分のイラストを起こしてセーターを編んでいたのを全然知らなかった。セーターにすると(描いた画が)着られるから嬉しいって常人じゃない発想はさすが。一見、機械編みかと思っていたら棒針の手編みだった。セーターの実物を見られた(特に有吉佐和子のために編んだ鶴のセーターが美しい)だけでも価値あり。多くの著書から気になるものをいくつか読んでみよう。

偶然にもこのネイビーのウニッコ柄が、ウニッコ60周年のオシのひとつになっている!

久しぶりに、ひとり出版者の出荷作業。今回の作業のお伴はトーキングヘッズ。パンフレット用の在庫も書籍化して販売することとなった。「マイヤ・イソラと旅する『マリメッコ古着市』」が秋まで続くので、このまま粛々と売れていきますように🙏


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