お坊さんには禁句
真言宗といえば。
2昔前、高野山の偉いお坊さんの人事記事を書いた際。
前年に大手他紙が読み仮名を誤っていたので、正しくはこう読みます、と金剛峰寺から説明があった。
山の麓の通信部から、県都和歌山市の支局へ送稿したら「前年の大手紙と違う」とデスクからクレーム。事情を説明しても「去年の大手紙どおり載せる。お前なんか信用しない」。整理部出身は記者として認めないという毎度の大騒ぎ。
「口頭発表では責任取れないから一筆とってこい」
大変申し訳ないのですが、と金剛峰寺に電話したら、快諾いただけた。
しばらく、待っていると、ファクシミリがピロピロ、ジジジと受信開始。
えらい失敗してしまった。
お坊さんに対し、安易に「一筆」と言ってはいけない。
ファクシミリから、わざわざ、御丁寧に、どえらい達筆で「正しい読みがな」が墨黒々と記され、習字のお手本みたいな感熱紙がデレーンと出てきた。
再び金剛峰寺に電話して平謝りにお礼を申し上げ、こんどは「一筆」をファクスの上から挿して和歌山支局へ転送。
「一筆、行きます」
さすがに、弘法大師さんの後裔の皆さん、筆に、なんとも説明しがたい清らかさと力があった。デスク、なんも言わなくなった。
お坊さんに不用意に「一筆」と言ってはいけない。向こうもお立場上、本気出さなあかんようになる。これは勉強になった。