穏やかなバスが一転

毎日ではないけど
月に2~3回バスに乗ることがある。

このご時世で
最近はバスを避けてたりもしたけど
久しぶりにバスで出掛けた。
停留所6個分、時間にして15分ぐらい。

車内でアナウンスもされていたし
みんなマスクもしてお喋りもせず
大人しく乗っていた。

車内には
小さい子供とその母親らしき女性
老夫婦とおじいちゃん
そして女子高生が何人か乗っていた。

私は比較的
降りる人が多い停留所に降りるので
大体、いつも降車ボタンを押さない。

ひとつ手前の停留所を通過し
表示が自分が降りる停留所になっても
しばらく待って
誰も押さないようなら
ゆっくり押すようにしている。

なぜかというと
もう2~3年前のことになる。
私が降りる停留所の
ひとつ前の停留所を通過してすぐに
私が降車ボタンを押した瞬間
車内に泣き声が響き渡ったのだ。

『○○ちゃんが押したかった~!!』

後悔先に立たず…。
車内は気まずい空気に包まれた。

降車ボタンを
押したい人がいるなんて
考えたこともなかった。
独身ゆえの失敗だろうか。

周りに子供がいないから
思ったこともなかったけど
考えてみれば当然のことのようにも思う。

昔、エレベーターのボタンや
横断歩道のボタンを
姉たちと競いあって押してたような気がする。

停留所で降りるときに
母親らしき人と前後になったので
『ボタン、すみません…』
と言ったら笑って許してくれた。
のだが、
子供さんはまだ泣き続けていた。

バスに乗るときは
いつも以上に
人間観察、状況の把握に余念なく
まるでスパイのように
乗客を伺う独身である。