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[黄昏の最果て / にじぶどう ft.可不]MV・イラストの担当をしました。イラストレーター目線の曲解説。

こばわ。
なかまさゆみです。

楽曲担当をしたお話。


2023年10月、にじぶどうさんの楽曲「黄昏の最果て」MVとイラストを担当させていただきました。
私自身元々ボーカロイド曲は大好きで、まだ無名だったころボカロ曲のMVを担当することはありました。


しかし、今までは無料ソフトで作る限界で制作をしていたので、今作は数年越しにクリエイターとして大きく成長した後の初めてのMV制作となりました。

今回担当させていただきましたこちらの楽曲
テーマとなっている「黄昏」や登場人物の解説などクリエイター目線から描かせていただきました。

その上で、この曲の「こうじゃないだろうか」という解釈会話が制作途中であったのでそちらを私視点の解説でnoteで書かせていただこうと思い、こちらの記事を綴るに至りました。

どうぞ楽曲を聴きながらお読みいただけますと嬉しく存じます。


MVの解説/歌詞とイラスト

はじめに


にじぶどうさん(個人的にみっちゃんと呼んでます。)と出会ったのはXのスペースで、他の方がお話されているリスナー同士で知り合ったのがきっかけでした。最初は人物のサムネイルで活動されておりましたが、名前の「にじ+ぶどう」というイメージからキャラクターを作ったところから親睦が深まります。


動画絵コンテ

楽曲の最初のイメージ


まず曲と絵のイメージをいただきました。
電車があること、登場人物が2人いてその子たちの物語であること
夕暮れがあること。この時点で最初は「イラストを1枚依頼する」というお話でしたが、歌詞を見て、曲を聴き、私が最初に思ったことは「物語が良すぎる。これは動画も担当したい」という気持ちでした。

にじぶどうさんにその旨をお伝えしたところ、快く提案を受けて入れてくださり、動画の物語を文字に起こしてくださいました。

それを読んでさらに物語の解像度があがり、全体を通してテーマとなった「秋の寂しさ、決別、 覚悟」という情緒がより溶け込む動画となりました。

タイトルロゴ

タイトルロゴの解釈


「黄昏」はいわゆる夕暮れのことなのですが、薄暗くなった夕方には人の顔が見分けにくいので「誰だあれは?」という言葉から「たそがれ」と読むようになったとか。そのため表情は描いていません。

この動画には登場人物として二人の少女が出てきます。
黄昏の最果ての「最果」という字が寄り添っているのですが。これは登場人物の心情を表していています。さらに「果」という時には「成し遂げること」「結果」「実が成ること」を指しているのですが、曲の解釈の中で主人公である少女の思いや考えが実るような内容だったためその思いを込めています。

この街に久しぶりの大雨が降った
橙、息潜めて灰色に染まった
いつの間にか冷たくなる風を感じて
気づけば足、駅へと向かってしまった

登場人物の紹介

登場人物は制服にパーカーを着ており、足元は同じ女子高生であるローファーの靴を履いています。
タイツを履いた女の子がロングヘアでちょっと内気な子、履いていない方がポニーテールの元気な女の子です。
夕暮れのこの街では二人はとてもお互いを思い合う親友で、毎日たのしく過ごしていました。ところが右のポニーテールの女の子が上京を決意し、街を離れることになります。明るかった橙の夕焼けが、心曇るように灰色に染まります。
上京を見送るためにロングヘアの子は寂しいながらも見送ります。

無邪気な声が乱反射した日々が懐かしい
終わりを告げる鐘の音が空しい
色無くした数多の顔はトーンを貼った様で
空だけはずっとずっと同じオレンジ 変わらないね

綺麗な夕焼け=楽しい思い出

ポニーテールの女の子が居なくなったこの街は、とてもつまらないものになってしまいました。しかし、空の夕暮れは友達といた楽しい日々を思い出させるように変わらず鮮やかなオレンジ色の夕焼けを映し出します。

バイバイと手を振ったあの日は
眩しいけど痛くない暖かな夕陽で
隠しきれない寂しさを包んでくれてた
だから嫌いだこの街

二人の関係性

オレンジ色の夕焼けは鮮やかに電車に乗って未来へ旅立つ彼女を見送りました。未来へ進む電車にはもう先に進んで見えない友人が乗っています。ドアから漏れる光は未来への扉をいやでも眩しく光を射しています。
置いて行かれた主人公は、寂しいのに嫌でも楽しかった日々を思い出させてくれる夕焼けが映るこの街ですが、もう友人がいないので好きなのに嫌気がさしてしまいます。

「無条件な愛になど価値がない」なんてさ
思っても言い切れるほど僕は大人じゃない
でも掴み取る愛にはきっと愛着が湧くから
この手足伸ばしても求める事意味がある
...偉そうでごめんね

ここで初めて後ろ姿が映されます。
ポニーテールの女の子はとても活発で、どんどん挑戦して前に進むポジティブな性格をしています。やりたいことや夢が決まっているので早く上京したく、未来を見つめるような右を向いています。
ロングの女の子は内気で、目の前の楽しかった二人の日々を感じたいので正面の景色をみています。
この歌詞の最初2行はロングの女の子の言葉で、残りの3行はポニーテールの子の言葉と感じました。
お互いが大切なはずなのに、どこかズレていく気持ちや思いを描きました。
オレンジのパーカーは綺麗だった時の夕暮れをとどめたい色。
グレーのパーカーは心曇りながらも未来へ進んでいきたい気持ちの色。
ポニーテールの女の子はオレンジ色のヘアゴムを、ロングの女の子はグレーのパスケースを持っています。お互いのことを思って違いの色の持ち物を交換するくらい大切な関係性だということを描きました。
画面の両サイドにあるぼかし気味の花は「青いアネモネ」。
花言葉は「固い誓い」「あなたを信じて待つ」です。

嫌でも思い出すあの日々

バイバイと手を振ったあの日を
思い出して、消して、見て見ぬふりを続けた
隠しきれない自責だけ胸を包んでいく

泣いてあの日に戻れるなら
泣いてあの陽を飲み込めるなら
飽き飽きする橙色を消してしまいたい

溢れ出る感情

このシーンで二人でいたときの楽しかった日々を思い出します。
セピア色に染めているのは思い出の中を巡りながら懐かしむのですが、さらに寂しい気持ちになってしまいます。

ここではじめて「手書きの文字」が出てきます。
気持ちが溢れすぎて、感情が滲むでるような解釈を表現したく、この大切な瞬間を手書き文字で書かせていただきました。
本来の歌詞に「"橙色"」とダブルコンマでは記載されていませんでしたが思い入れの強すぎる橙色への大きな気持ちを強調するために表現の一つとして描きました。

新たな踏み出し

バイバイと手を振ったあの日と
向き合い、話して、青く光る君の笑顔
扉開いたら見える気がした、を繰り返す
まだ望んでしまうよ

前へ進む勇気と決別

ここで情景が曇天の空になります。
ロングの子が前へ進み、ポニテの女の子のいる先の未来へと進む決心をし旅立ちます。
曇天なのに、どこか晴れ晴れとした気持ちで雨が降ってキラキラかがいている情景を描きました。

バイバイは決別の言葉だよ
受け入れる覚悟は出来ているんだよね?
夕闇飲まれ消えてゆく青い光はもう
黄昏の果てに

物語の締めくくり

"バイバイは決別の言葉だよ"
"受け入れる覚悟は出来ているんだよね?"

この街にさようならを告げる自分への決意の言葉として解釈しました。
なので降っている雨に滲んで消えるような文字の表現をして、足元のイラストも最初の絵から、前に進むような描写に変更しました。

この街に久しぶりの大雨が降った
橙、息潜めて灰色に染まった

二人が新しい街で、新しい思い出をスタートしたシーンを想像しました。
背景もキラキラしていて、雨はあがり、水面を踏みながら二人で歩み出す新しい道を描いて物語は幕を閉じます。

終わりに

今回曲や歌詞もとても綺麗で、掘り起こせばおこすほど物語の味が滲み出るとても素晴らしいボカロ曲でした。
今回ご依頼・・と共に一緒に制作ができたことを嬉しく思います。
ありがとうございました。

オフボーカルとアカウントのご紹介

Youtubeの概要欄にオフボーカルがございますのでぜひ歌ってみたなどご利用ください。関係者各SNSは上記の通りです。

次回作のご紹介

なんとにじぶどうさん、なかまさゆみのコラボがまた次回作で公開です
次回作もMVとイラストを担当させていただきました!
しかも貴重な画材を使用したら渾身のアナログ原画MVとなっております。
発表は12月9日0時に投稿されます。
告知ツイートは下記の通りです。

よろしくお願いいたします。


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