ツモり三暗刻シャボリーチvs両面リーチ

今回は、よくある「ツモれば三暗刻のシャボ立直なのか、それとも三暗刻を捨てて両面リーチするのか」という場面でのそれぞれの局収支を計算していきます。

まず局収支とは、一局単位で得られる得点の期待値のことです。麻雀において、自分から見たときの一局における挙動は

①自分が和了②自分が放銃③ツモられる④横移動⑤流局

この5つのうちいずれかが必ず起きます。局収支とは、それぞれの場合の確率とそのときの得失点を掛け合わせたものを足した結果となります。

局収支=和了率×和了時得点-放銃率×放銃時失点-被ツモ率×被ツモ時失点-横移動率×横移動時失点+流局率×流局時得失点

局収支は上の計算式で与えられます。以降、それぞれのパラメータは『「統計学」の麻雀戦術』(下記url)のデータを使わせていただきます。データ好きの人にはたまらない麻雀本なのでおすすめです。

牌姿1 (ドラ0バージョン)  

東1局西家8巡目、ドラはなしとします。

画像1

打8mリーチならロン1600ツモ2700、打7mリーチならロン1600ツモ8000です。まずは一発裏も加味して和了時得点を算出します。

・打8mの場合

一発率は16%(上記本より)

裏に関しては0個:76.9%  1個:14.7%  2個:2.9%  3個:5.5% (牌種数より計算)

まずツモ時の平均得点は、(*は×の意味です)

12000*0.16*0.055+8000*(0.16*0.176+0.84*0.084)+5200*(0.16*0.769+0.84*0.147)+2700*0.84*0.769= 3921.4

ロン時の平均得点は、

8000*(0.16*0.084+0.84*0.055)+6400*(0.16*0.147+0.84*0.029)+3200*(0.16*0.769+0.84*0.147)+1600*0.84*0.769=2605.9

和了時ツモ割合は56%、ロン割合は44%なので

和了時得点=3921.4*0.56+2605.9*0.44=3342.58 となります。

これと上の計算式をもとに打8mリーチの局収支を求めます。

局収支=0.57*3342.58-0.11*6600-0.11*2900-0.07*1000+0.14*1000=930.276 と求めることができました。

・打7mリーチの場合

一発率は14%(上記本より)

裏に関しては0個:79.8%  1個:8.8%  2個:5.9%  3個:5.5% (牌種数より計算)

ツモ時の平均得点は、

16000*0.14*0.055+12000*(0.14*0.144+0.86*0.114)+8000(0.14*0.798+0.86*0.886)=8531.0

ロン時の平均得点は、

8000*(0.14*0.114+0.86*0.055)+6400*(0.14*0.088+0.86*0.059)+3200*(0.14*0.798+0.86*0.088)+1600*0.86*0.798=2607.4

和了時ツモ割合は46%、ロン割合は54%なので、

和了時得点=8531.0*0.46+2607.4*0.54=5332.256となります。

以上から、

局収支=0.43*5332.256-0.14*6600-0.14*2900-0.09*1000+0.2*1000=1072.87 となりました。

画像2

打8mリーチの局収支=930程度  (和了時得点3340、和了率57%)

打7mリーチの局収支=1073程度  (和了時得点5332、和了率43%)

ということで、ドラ0の時は、ツモリ三暗刻を優先してシャボリーチをかけた方が良いようです。

・ドラ1ある場合(三暗刻の他に確定1ハンがある場合)

画像3

今度は赤5sにしてみました。この場合はどうなるでしょうか。ドラ1あると、リャンメンでもかなり満貫になったりするのでリャンメン有利な感じがします。局収支を計算して確かめてみます。(今回は過程は省略します)

打8mリーチの局収支=2220程度  (和了時得点5598、和了率57%)

打7mリーチの局収支=1635程度  (和了時得点6755、和了率43%)


ということで、ドラ1ある場合は基本的に三暗刻を捨ててリャンメンリーチした方がいいみたいです。

上の結果を表にまとめます。

スクリーンショット 2021-06-16 3.32.10

ドラ0...打点比が打7mだと1.6倍、和了率比は打8mが1.3倍となっているので和了率*和了時打点は打7mが上回っています。それに比例して局収支も打7mが上です。

ドラ1...打点比が打7mは1.2倍、和了率は打8mが1.3倍なので和了率*和了時打点は打8mが上回っています。それに比例して局収支も打8mが上です。

リーヅモ三暗刻の場合、一発裏なしだとドラ1でも満貫止まりなことと、ドラ1ならばリーヅモドラ裏(または一発)等で満貫になって打点上昇効率がリャンメンの方が良いことが一つの理由だと思います。

三暗刻は2ハン役ですが、ツモ限定の場合はそもそも愚形リーチのツモ割合(46%)が良型リーチのツモ割合(56%)より少ないこともあって、期待値に与える影響はそこまで大きく無いようです。

また、今回は数牌シャボでの検証でしたが、字牌シャボorリャンメンになると和了率が均衡してくるので、今回とは違う結果になるかもしれません。

長い文章でしたが読んでいただいてありがとうございました。何か反応もらえると次回のモチベーションになるので、コメント等もよければお願いします。

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