石川投手が実力で勝利を掴み取った、その事実が一番嬉しい

昨日(6/4)、石川投手が勝利投手となり、大卒投手初の20年連続勝利で通算174勝となる今シーズン初勝利をあげた。
大ベテランである石川投手が通算200勝に向けた勝利をあげた事は嬉しいが、何よりも嬉しいのは、これがチーム総力戦でもぎ取った勝利ではなく石川投手の力によってもたらされた勝利である、という点だ。

石川投手を何としてでも勝ち投手にするために、中継ぎを総動員し必死に総出で勝ちに行く姿を見るのはまた素晴らしいものがあるのは間違いない、が、当然そればかりだとボロが出てしまう(それで逆にこれまでに何勝失ってきたか…)し、そらだとこれまでの功績にただ箔をつけるためだけの登板、現役生活になってしまう恐れがあった。
しかし今回の勝利は、その杞憂を完全に払拭する勝利だった。

7試合6先発28イニングで防御率0.32。これが今季の石川投手のファーム成績である。
この年齢で、開幕から2ヶ月以上経つ中で、一軍登板は1試合のみ(しかもそこそこいいピッチング)。ベテランがそういう扱いを食らったら、腐ってしまっても仕方ないところを、石川投手は淡々と二軍で成績を残し続けてきた。
そして、他の先発投手が崩れていくなか、満を持して、チームに勝利をもたらすことを期待されて神宮のマウンドに降り立った。

とりあえず勝ちを付けさせたいから投げさせるか、ではなく、下で一番いい投球をしている故の当然の昇格であった。

そして肝心の一軍マウンドでは実力をフルで発揮し、圧巻の投球だった。
西武打線を巧みな投球術と制球で完全に翻弄し、5回を59球でまとめあげたピッチングは見事という言葉をかけるよりないとても素晴らしいものだった。
しかもバントができないチームにお手本を見せつけるかのような素晴らしいバントを3打席連続で決めて。
結局、野手は序盤で10得点をあげ早々に勝負は決した感もあったが、それでも7回は余裕で投げてくれるんじゃないかという期待が回を増すほどに増えていく、そんなピッチングだった。
まあ結果は5回雨天コールドゲームでの「完投」勝利だったんだけどね。

でも、今回の投球なら状況次第では本当に完投できたかもしれないくらいだった。相手が、対戦の少ないパ・リーグ相手ってのも有利に働いたとは思うけど、それでもここ数年のピッチングの中では相当いい方だったのではないだろうか。このピッチングなら、次の1勝も、その次の1勝、そしてその先も期待してしまう。

そのくらい、本来の力を発揮し、自力で掴み取ったこの1勝が、とても嬉しい。
正直、200勝はなかなか厳しいというのも理解はしているが、この勝ち方ができるのなら達成できてしまうのではないか、そう思ってしまう。

そう、私たちは石川雅規に夢を見ている。スワローズの選手の中で一番に。

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