おとめばなし第五話 泣いた青鬼
青鬼がそのバーの木製の扉を開けると、カウベルが鳴った。
「いらっしゃい」
客と談笑していた店主が、そのままの笑顔を入り口に向けた。
カウンター席の入り口側には中年の男と若い女が座り、奥の端には大人の女性が座っている。
青鬼はちょうど真ん中の席に腰を下ろした。ウィスキーのロックを注文する。
ナッツを乗せた小皿を差し出した店主が自分の顔の目じりの下あたりを指さしながら言う。
「どうしたの、その顔」
青鬼は自分の顔に触れた。そこはまだ熱を帯びていて、軽く触れるだけでも痛かった。
「