見出し画像

安全安心旅行記 〜台湾編〜

お題に参加しようと思っていたのを忘れていた。

だが、そもそも、参加できるような旅などしていないのだ。
ヒッチハイクや自転車で日本一周するような、体力と忍耐力と精神力が試されるような経験も、1人で海外の僻地へ行って人生観が変わるような経験もしたことがない。
そもそも、1人で海外に行ったこともなければ、スマホを置いて純粋に現地の出会いを楽しむような行き当たりばったりの旅もできない。
つまり、安全な場所で安心して楽しむ、それが私の旅行スタイルなのだ。知らんけど。まあそれでもいいじゃないか。

そんな安全安心旅行だから、スタートは、企画を立ち上げるところから始まる。
この企画自体は割と衝動的に決まる。友人と会って、「旅行行きたいなー」と誰かが呟いたのを皮切りに、「台湾とかいいよねー」「台北じゃなくて台南行きたい」「飛行機のチケットいくら?」「この日程なら仕事休めるわ!」という感じで盛り上がり、半日後には航空券のチケットと宿が手配済みになっている。
それから何ヶ月もかけて計画を練っていく。どこに行きたいか、何を食べたいか、希望を出し合って、場所によっては何時のバスや電車に乗るか考えながら、パズルのように行程を組み立てる。
実は、私は、このパズルを組み立てる作業が、最高にワクワクする。
その中には、何を着ていくか、どのバッグを持っていくか、そんな計画も含まれるし、SNSで見たあの素敵な景色を見たい、なんて想像するのは楽しい。
現地で、計画通りに進む旅も、そうじゃない旅も、想定外の出来事も、どれも面白い。
年に何回会うかわからない友人と、移動時間や宿で近況を話し合ったりするのも、見たことない景色に出会ったときの感動を分かち合えるのも嬉しい。
帰ってきて、写真を見ながら手帳に纏めるのも好きだ。
たとえ日帰りでも、1泊2日でも、準備も余韻も含めて、何ヶ月もワクワクできる、私の旅のスタイルはずっとそんな感じだったし、これからもそうだと思う。


そんな感じで決まった安全安心の台湾旅行は、今から遡ること7年前、2016年の年末に実行された。
メンバーは女4人。
スケジュールはざっくりこんな感じ。

1日目:現地集合・茶藝館・六合夜市で小籠包
2日目:故宮博物院南院・嘉義の街でランチ・茶藝館リベンジ・六合夜市
3日目:台南街歩き
4日目:台北でお茶とスイーツ・現地解散

1日目:現地集合・茶藝館・六合夜市で小籠包

7年前の私たちは、海外でスマホで連絡を取るという手段を持ち合わせておらず、「14時に台北駅で集合ね!」という綿密な?計画を立てていた。
もちろん時間通りに飛ばないのが飛行機。
離陸が30分遅れ、桃園から台北への予定の新幹線に乗れず、友人Aとの待合せ場所である台北駅に着いたのは、待合せ時間の1時間後。

台北駅の待合せは14時

もちろん向こうも1時間も待っているわけなく、お互い焦りつつなんとか合流。
そして、茶藝館「回留」へ。

外観

スタッフが日本人慣れしていて、日本語で説明してくれたのだが、我々は、台湾茶の文化を知らなかった。
茶葉は5煎〜7煎出すことができて、お湯のおかわりは自由。ただし、最初からお湯代が会計に含まれる。塩気の効いたドライフルーツなどのお茶請けと一緒にお喋りを楽しむのが台湾式。

茶器一式。デザインが素敵
おかわり自由のお湯は常に温めている
お茶請けのバリエーションはお店によって様々

しかしここでも、待合せの1時間遅れが響き、わずか30分で退店。何故30分で退店したのかというと、これから高雄に向かい、ホテルで残る友人2人と合流する予定になっているのである。
事前に相談しておいた19時の待合せのため、日本で既に高鉄(台湾新幹線)の切符を購入済み。

台湾新幹線は日本の新幹線をそのまま輸入

乗換えを間違い、道に迷いつつ、約束時間の30分後にホテル到着。我々は中国語喋れない、フロントスタッフは日本語わからないし、お互い英語は怪しい・・・コミュニケーションに悪戦苦闘し、なんとか部屋の鍵を受け取ることができた。

友人と部屋で合流し、六合夜市へ。この日は雨で、人が少なめ。
屋台で小籠包をいただく。1人1個ずつ食べようと思って、4個頼んだら、8個入りの蒸籠が4つ出てきてびっくり。
乾杯は台湾ビールと烏龍茶。台湾の烏龍茶には砂糖が入っていることを一口飲んでから思い出す。
小籠包はめちゃくちゃ美味しかった。32個あったはずなのにあっという間になくなった。

小籠包に群がる

さらに、屋台でイカの炒め物と海老を買い、コンビニでビールを調達してホテルの部屋で宴会して1日目終了。

2日目:故宮博物院南院・嘉義の街でランチ・茶藝館リベンジ・六合夜市

嘉義からバスで行こうとしたけど、バス乗り場がわからず、タクシーの客引きを断り、何とかバスに乗ったものの、料金システムがわからず、日本語どころか、英語すら通じない。
台湾は台北は日本人慣れしてるけど、ちょっと離れるとほぼ中国語しか通じない。
バスの運転手が機転をきかせて、紙に、「1=26, 4=104」と書いてくれたので、前払いで104元支払うということを理解。無事出発。

バスを降りて奥に見えるのが南院
凝った構造の橋梁
どんな構造計算がなされているのか気になる

故宮博物院南院は本院と違って空いていた。
一部は日本語の説明もあるけど、個々の作品の説明は英語。常設展の英語はちゃんと書かれているけど、企画展は適当だったりして面白い。「2人の人間が描かれているお皿」とか。
仏像は、日本の仏像とは表情とか姿勢が全然違う。仏教が伝来した土地の文化と融合したからだと聞いて納得。
世界の布を集めた、「華麗なる錦繍」展が個人的にはすごく楽しかった。糸を織ったり布を染めたり、洋服にしたり身体に巻き付けたり、これも世界各国の文化に沿って発展している。ただ共通しているのは、繊細で綺麗に作られていること。
南院は半日で全部見られるけれど、見応えは十分だった。

嘉義に戻ったところで、またまたバスの乗り場がわからず、再びタクシーの客引きを断り、無視していると、そのタクシーの運転手が、バスの乗り場を教えてくれた。
「あれだよ!もう出発するから走って!」と急かされ、そのお陰で無事乗車。
台湾の人って怒ったように喋るからちょっと怖いけど、実は優しい。

お昼ご飯は、「噴水鶏肉飯」で。ガイドブックに載っているけれど、地元の方も出入りしている店だった。地元の人がいる店は美味しい、という持論を裏付けてくれる美味しさ。

お腹に優しい味

高雄までは、台鉄(在来線)の急行列車で2時間のローカル旅。ほぼ寝てた。

嘉義駅
午後のなんともいえない気怠さが漂う月台(ホーム)

高雄に着いたら、「御書房」という茶藝館へ。ここも台北と違い、メニューも言語も台湾語。大学で中国語をちょっとだけ習っていた友人にほぼ頼って注文。飲んだお茶の名前は忘れたけど、発酵度は低め。台湾茶は、発酵度によって全然味わいが変わる。発酵度が低いものは緑茶のような味わいで、高いものは紅茶に近くなる。

お茶の色も日本茶寄りで薄め

お茶請けの金柑がとても美味しかった。やめられない止まらない。

そして今夜も六合夜市へ。
美麗島という「世界で2番目に美しい駅」で下車。「2番目」の基準とは。

確かに美しい

小籠包はちゃんと「1個」で頼んだ。学習した。

3日目:台南街歩き

朝、ホテルの朝食ビュッフェを楽しんでいたら、支配人らしき方からフルーツの差入れ。「私が栽培した」と日本語で教えてくれた。グァバがシャキシャキしてて美味しかった。屋台でも売ってたけど、安全安心旅行なので、生のものは買わない主義。
ホテルをチェックアウトして台鉄の特急に乗り、台南へ。
ちなみに、在来線特急と新幹線の差は、時間20分、料金34元。当時のレートで日本円135円。新幹線安くない?!
しかし、特急に乗ってみたかったので特急で向かう。
台南駅でコインロッカーが見つからず、駐輪場のおばさんに1個30元で預ける。駐輪場の管理状況を見て、大丈夫そうかな、と判断。

ここから、紙の地図を片手に1日歩きまくる。街並みと現地の人の生活に触れながら歩くのが好き。
まずは、中山路を南西に向かう。店頭で小籠包の仕込みをしているお店がちらほらあって美味しそう。
ふと見かけたパン屋さんに立ち寄って、肉まんと包子を買って食べ歩きしつつ、目的地の「振発茶行」へ。お土産のお茶を購入。

それから、台湾最古の孔子廟へ。儒学の発祥地らしい。

かなり広い
全臺首学
講堂

日本の絵馬のようなものがあった。アジア各国から観光客が来ているみたい。我々も願い事を書いて納める。

願い札を納めるところ
願い札は自分で作る

孔子廟から民権路一段へ戻り、ふと見かけた店頭の小籠包の仕込みの風景に誘われて入店。お昼ご飯。ふらりと入ったのでお店の名前はわからずじまい。揚饅頭が美味しかった。名前の通り、饅頭を揚げたものだけど、油っぽさはなく、食べやすい。
写真を探したけど撮っていなかった。

その後は「奉茶」さんへ行き、茶葉とティーバッグを購入。台湾のティーバッグは日本のものと違って、1個で3〜5杯くらい飲める。帰国後の楽しみ。

午後は、赤崁楼と祀典台南大天后宮へ。
赤崁楼は、かつて台湾南部を占領したオランダ軍によって建てられ、その後オランダ軍を追い出したそう。敷地内にある台湾人に追い出されたオランダ人の像がなんともいえない表情をしている。

全景
台湾人に成敗されるオランダ人

建物は過去の地震で全壊していて、レンガでできた城門と基礎だけが当時のものだそう。中には、学問の神様が祀られているのか、試験合格を祈る札がたくさん納められていた。

文昌閣
敷地内の池では魚が水を噴いていた

祀典台南大天后宮は、交通の神様でもあるということで帰りの無事を祈る。

おかげで無事帰国できた

思ったより広い。電車の時間が迫っていて全部見れなかった。

台南駅へ戻り、電車を待っている途中で、疲れのせいか体調が悪くなってしまった。
地図と街並みを照合させながらずっと歩き回っていたから、アンテナ張りすぎて目が回ったんだと思う。
なんとか台北のホテルまで辿り着き、友人たちは夜の街へ。私は1人で早々に就寝。
台北のホテルは快適だった。台南のホテルは安かったからかシャワーの温度もWi-Fiも不安定だった。

最終日:台北でお茶とスイーツ・現地解散

起きたら体調は回復。ホテルで朝食。こちらもビュッフェ形式。
チェックアウトして、ホテルに荷物を預けて永康街へ。
かき氷を食べることにしたのだが、大きかったので1個を4人で分けて食べた。

真冬にかき氷

それから、茶器の「陶作坊」、茶葉の「沁園」、茶藝館「耀紅名茶」と、怒涛のお茶巡り。
陶作坊で茶海と茶壺、沁園で凍頂烏龍茶を爆買いし、耀紅名茶でこの旅最後のお茶会。
文山包種茶と東方美人茶をいただく。どちらも半発酵茶(青茶)だけど、発酵度が違って、お湯の温度も茶葉に合わせて変わる。文山包種茶は発酵度25%で温度は90℃、東方美人茶は発酵度75%で温度は80℃。
お茶請けはトマトと桃のドライフルーツ、豆、羊羹のようなペースト状のものに胡桃を混ぜたもの。ペーストは手作りで、オススメとのことで、とても美味しい。

右上のお茶請けがオススメ

茶器も素敵だったけど、家具や店内の雰囲気も落ち着いていて素敵なお店だった。店のお母さんは元気な人だった。

これにて観光は終了。
現地解散なので松山空港組の友人2人と別れて、桃園空港行きのバスに乗る。T1で友人が降り、1人でチャイナエアに乗り帰国。
帰りは遅延せず、無事帰宅したところで年が明けた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?