見出し画像

「少女革命ウテナ」と「水星の魔女」のキャラクターたちに寄せて

少女革命ウテナ完走記念&機動戦士ガンダム水星の魔女1期終了記念として、グダグダ書いてみようかと思います。
どちらも一回視聴したのみなので、考察と呼べるほどでもない個人の感想です、ご容赦を。

「水星の魔女」と「少女革命ウテナ」と

知り合いから水星の魔女の設定を聞かされた時、まず思ったのが「少女革命ウテナじゃん」でした。

学園モノ、決闘、花嫁…等々、ウテナを想起させるには十分な要素が満載です。
(まあ、水星の魔女には影絵少女もサボテンもヒナゲシもアスパラも出てきませんが。あ、フレッシュなトマトは出てくるか)

それもそのはず、シリーズ構成・脚本の大河内一楼さんはウテナの小説版を執筆された方。
なので、ある種セルフオマージュみたいなもんかなと思っています。

となると、両者のキャラクターを重ね合わせたくなってしまうのがヲタク心。
ここから先は、的外れかもしれないけど好き勝手言いたいだけの文です。
※ネタバレ気にせず書き散らしているので注意※

ウテナとアンシー、スレッタとミオリネ

素直に見れば、スレッタがウテナ、ミオリネがアンシーと捉えることができるでしょう。
「少女革命ウテナ」の世界ではウテナが、「水星の魔女」ではスレッタが決闘の当事者であり、ミオリネとアンシーはトロフィーワイフ的な立ち位置。
が、ビジュアルは逆、ついでに中身もどっちかというとスレッタ≒アンシー、ミオリネ≒ウテナの方がしっくりくる気がします。

「少女革命ウテナ」の物語の中で、アンシーは「薔薇の花嫁」として王子様(鳳暁生)に降り注ぐ呪いを代わりに引き受ける役でした。それこそ、永遠に。
アンシーは王子様に隷属し、言いなりになるしかないのです。
その永遠の苦しみを終わらせようと、アンシーが閉じこもる世界(柩)に手をかけたのがウテナでした。

アンシーは薔薇の花嫁としての立場を、半ば諦めにも似た様子で受け入れていました。
ある種、学習性無気力とみることもできるかもしれません。
他人から求められるまま、思考停止で応じるのは窮屈だけど楽でもあります。
そんな閉ざされた世界で、苦しみをずっと繰り返していたアンシー。
そんな彼女が外の世界に飛び出すきっかけを与えたのが、ウテナなのです。

アニメで再三言われていたように、ウテナは王子様ではありません。
なので、アンシーを連れ出して二人で幸せに暮らしましたとさ…というオチにはなりません。
ですが、アンシーはあくまで自分の力で、ウテナがこじ開けてくれた柩から出ていくのです。

一方、スレッタに目を向けてみましょう。
スレッタは母・プロスペラの「逃げたら一つ、進めば二つ」という言葉をほとんど盲信しています。
自分の行動が何を意味するのか、それに伴う痛みすら想像もせず、「ミオリネさんを守る」ということのみを行動原理として人間を一瞬でフレッシュトマトにしてしまいます。

スレッタは物語の中で前進したようでありながら、恐らくは自分の意志で未来を選んだことはないのです。
思考することからずっと逃げ続けている、もしかしたら本人も無意識的に。
物語の中での決闘も巻き込まれた結果ですし、ミオリネの花嫁というのもほとんど押し付けられたに近い形で関係は始まります(というか、そもそも仕組まれたことだし)。

プロスペラの言葉は呪いとして、ほとんど無意識に近いレベルまでスレッタの思考回路に巣食っているんじゃなかろうかと想像しています。
(これで実はスレッタがただただサイコパスなだけだったらどうしよう)

スレッタとアンシーを縛るもの

さて、「水星の魔女」におけるプロスペラを、「少女革命ウテナ」における王子様(鳳暁生)として見るとどうでしょうか。
両者とも、自分の娘ないし妹を言いなりにして、自分の目的を果たそうとする構図は類似しています。

余談ですが、少女革命ウテナでは、薔薇の花嫁が「魔女」と呼ばれるシーンもありましたね。
水星の魔女にスレッタも含まれるのだとしたら…やっぱりスレッタの方がアンシー的立ち位置に見えてしまいます。

となると、水星の魔女においてウテナ的役割を果たすのはミオリネ…ということになるのでしょうか。
プロスペラの胡散臭さに気づいているのもミオリネなわけで、スレッタの呪縛を真の意味で解くのはミオリネになるんじゃなかろうかと期待しています。
(あくまで期待、です。いくらでも裏切られる覚悟はしつつ…笑)

まあそれにしても、ミオリネの肩に載ってるもの、重すぎ。

物語的に、スレッタの解放が素直なハッピーエンドと呼べるものに繋がるかは分かりません。
きっと、スレッタ、ミオリネそれぞれに代償はあるでしょう。

ウテナがアンシーの苦しみに思い至れなかったことを自覚したあの日、アンシーを解放しようとしたあの瞬間、降り注いだ痛みのように。

それでも、卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいくのです。
はてさて、そこに祝福はあるのでしょうか。

とりあえず、二期を楽しみに待ちたいと思います。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?