見出し画像

真夜中のself work


ハンドメイドのきっかけ


長年ベリーショートヘアの自分は、アクセサリーとしてピアスを身につけるのが大好きです。

耳が剥き出しなので、ちょっと派手だったり大きなものだったりするインパクトあるピアスでもそこそこ違和感なく馴染んでくれます。


作家性のあるデザインの凝ったピアスやハンドメイドのものは特に惹かれるのですが、

お洒落で手の込んだピアスの値段はだいたい、わたしがフルで働いていた頃の1日分の賃金くらいに高く、購入に躊躇うことが多々あるため、

それならば似たものを自分で作ってしまおうという「お金、モッタイナイ」的な発想からピアスのハンドメイドを始めたのが10年以上前です。

欲しいと思うデザインのピアスを見よう見まねで作るうち、だんだん自分でデザインを考えて製作する楽しみに広がっていきました。


あちゃさんが誕生してからは自分だけの時間を確保する余裕がほとんどなく、ハンドメイドからしばらく遠ざかっていましたが、

今年の春先に蚤の市へ出かけた際、かわいいヴィンテージボタンを買ったことにより、これをピアスに変身させたい!という欲求がむくむく沸いてきて、最近また睡眠時間を削ってちょこちょこ作ってます。

それらの紹介です。




ヴィンテージボタンのピアス


蚤の市で購入したヴィンテージボタンは、ポップなピンク色のもの、それから一緒に行った友人とシェアして入手した、クラシカルなアイボリーボタンとレトロなブラウンボタンの3種類です。

手始めにまずピンク色のボタンをピアスにしてみました。



悩んだのはボタンホールをいかに自然に隠すかということです。

ボタン中央に2つホールが開いていたので、そのホールが隠れるくらいの緑色スパンコール1枚をビーズで縫い止めて、デザインの一部にしてみました。

また、下側にガラスビーズを繋げた長さの違うパーツを2本付けて、揺れるようにしました。

キャンディみたいにおいしそうなピアスに仕上がって、かなり満足のいく作品になりました。



次に取り掛かったのが、友人と2人でシェアして購入したボタン2種類です。



ボタン代は友人が支払ってくれたので、ピアス作りの経験があるわたしが製作を担当することになりました。

2人でどんなピアスにしたいかアクセサリー屋さんを周って参考にしてみると、ピアスぜんぶが耳たぶの前側にくる一般的なタイプではなく、

メインになる前側ピアスを留める耳たぶの裏側にもなんらかのパーツを飾る〈バッグキャッチ〉というタイプのピアスがあることを知りました。

バッグキャッチ、かわいいね。ということで話し合って作ったものがこれです。



画像だと分かりづらいのですが、4つ連なっているコットンパールの部分は耳たぶの裏側に配置する仕様になっています。

コンパクトサイズだけど耳周りに奥行きが出て、特に横や斜め後ろから見たときに裏側もパーツの存在感があるため、バッグキャッチタイプはそれだけで個性的に仕上がります。


ボタンの透明箇所の裏側には、持ち合わせていた肌色のフェルトを貼ったのですが、洗いざらしのリネンとか、柄入りの布を使用してみれば、また別のかわいい作品になったかもしれません。



さて、1番難しかったのはアイボリーのボタンでした。クラシカルな要素が強く、かなりクセのある素材です。

始めはこれもバッグキャッチタイプにして、異素材の組み合わせがおもしろいかと、半円型のウッドビーズと合わせたのですが、サイズ感のバランスがうまく取れずやり直し。

ガラスビーズ等とも合わせて通常のピアスに作り替えてみても、クセが強いボタンの雰囲気とウッドビーズのカジュアルさがそぐわない気がして結局やり直し。


いっそのこと、クラシカルなボタンを最大限に活かして思いっきりレディライクなピアスにしてみようか。

悩んだ末、最終的に完成したのがこのピアスです。



Pinterest等でいろんなピアス画像を参考に見ていたら、アシンメトリーにするとかなりモダンなピアスに変わるんだと気づき、

片方はゴールドスティックとラウンドパーツ、もう片方はブラウンのガラスキューブビーズをアクセントにして、あえてアンバランスな組み合わせになるよう崩してみました。



なお、たくさんゴールドがわさわさしているところはスパンコールを半分に折って、何枚も重ねてボリュームを出しています。

スパンコールを折って使うなんて発想は今までまったくなかったけど、貴和製作所のオンラインショップでスパンコールのページを見ていたら半分に折ってピアスを作るレシピが紹介されていて目からウロコだったので、それを応用しました。



シェアした友人にも好評で、最近ショートヘアにした彼女はさっそく身につけてくれましたが、柔らかい雰囲気の彼女に良く似合っていて嬉しくなりました。






アクセサリー製作同好会発足


一緒にアクセサリーを作りたいね、と友人と盛り上がって、かわいいけれど値段が高くて買えないピアスを2人で真似っ子して手作りしてみよう!と先日、第1回ピアス手作りの会を決行しました。


ツイード素材のカボション(くるみボタンのようなもの)とコットンパールを用意して、それぞれお互いに好きな色のスパンコールとビーズを選んで、ちくちく縫いつけて製作するピアスです。



会場に選んだのは、キラリトギンザ内の貴和製作所カフェ。売り場の横にカフェスペースがあって、軽食を摂ったりドリンクを飲みながら、自由に製作できる空間となっています。

工具も無料で貸し出してくれるので、工具はないけど好きな素材を買って何かアクセサリーを作ってみたいというビギナーにはとても便利な場所だと思います。


完成品の画像を頼りに、2人で試行錯誤しつつ、おしゃべりしながらハンドメイドするのは、とても楽しい時間でした。


1日かけて完成したピアスです。



実は帰宅してからもう一度、スパンコール部分とコットンパールの配置を変えて縫い直しました。

全体的に大きなサイズなので、コットンパールは揺れるようにして抜け感をだしてみたり。

頭の中のイメージと実際に作ってみるのでは、着地点が違ってくるんです。実践してみないと分からないことは本当にたくさんあるんですね。




その後の話


第2回同好会もまた開きたいねと話しつつ、友人もわたしも自分のペースでハンドメイドを楽しんでいます。


わたしと言えば、久しぶりに素材探しのために手芸屋さんに出向いたりオンラインストアでビーズやスパンコールをいろいろと見ていたら、その小さな小さな世界にキラキラと彩りがたくさん詰まっていて、完全に魅せられてしまいました。



例えば、同じ型のビーズでも、たった1mm大きさが違うだけで仕上がりの印象がまったく変わってきます。

同様に、同じ色のビーズやスパンコールだとしても、艶の有無、パール加工やメタリック加工の有無によって、これもまた作品のニュアンスががらっと変わります。

とっても奥が深い世界です。



最近、仏ヴィンテージのスフレビーズ(中が空洞になっているガラスビーズ)の存在を知って、その美しさの虜になり、そのビーズを利用してアンティーク風のロングネックレスを製作しました。




ガラスビーズに施されたややマットなシルバーの塗装と繊細なラインの細工があまりにもきれいでうっとりしてしまう素材です。

極小のクリアスフレビーズを挟んで、マットシルバーのスフレビーズを際立たせるようにしました。

古い年代に製造された素材なので少し黒ずんでいる箇所もあるけれど、それもまた味わいへと変わっている気がします。




また、アクセサリーではないのですが、ポーチも初めて手作りしてみました。

marimekkoの[PIRPUT PARPUT/ピルプトパルプト]という手書き風のドット柄テキスタイルがずっとお気に入りで、以前はその柄のポーチを持っていたのですが、何年か前、洗濯したら見事にボロボロになり使えなくなってしまいました。

以来、店舗で探し続けても在庫がなく、最近になってピルプトパルプトは廃番になってしまったことを知ったのです。

まだ生地が入手できるうちに作ろうと、出品者が本国フィンランドで購入したという生地とロゴがプリントされたリボンをメルカリで買って、フラットポーチを作りました。



大小2つのポーチとペンケース。ミシンは持っていないので手縫いです。

キャンバス地なのでしっかり厚みがあり、裏地として黒色の接着芯を貼りつけたので、かなり丈夫に仕上がりました。


さらにもう1つ、小ポーチを作ることができたので、それは今度会う妹への贈り物にする予定です。




今後の課題


ハンドメイドでヴィンテージボタンのピアスを製作されている方はけっこういて、ヴィンテージの風合いをそのまま活かしたレトロなデザインのアクセサリーはよく見かけます。

それはそれで十分に素敵なのですが、ただ、そのデザインを実際に普段の自分が身につけると考えてみたとき、わたしには合わない、それを使う機会はほぼないだろうと思いました。


ヴィンテージやデッドストックのボタンを、今の時代で生活する女性の装いに合うよう自分の解釈で変換してデザインすることをテーマにアクセサリーを製作するのは、なかなか面白い試みじゃないかと感じています。


いつかそんなハンドメイドの作品をWebサイトで販売できたらなぁと淡い気持ちを抱くことも度々あるのですが。




しかし実際に販売することについてざっくりと頭の中でシュミレーションしてみると、


  ・少なくても時給1000円は欲しい
・ハンドメイドサイトを利用して販売した場合、販売手数料が引かれる
・素材の仕入れ、梱包や発送手配もすべて1人で行う
・実際に購入してもらった場合、その後の購入者とのやり取り(顧客対応)も1人で行う

それら諸々の手間を考えると、最低でも作品1点につき3000円以上で売らないとわりに合わない、仕事として続けられないと思いました。


なお時給1000円とは、素材の原価プラス製作&発送手配等への対価であり、作品のデザインを考えたり、素材を選んだり、実際に試作して改善・修正を行う時間は販売価格には含まれません。

3000円のピアスは購入する側にとっては決して安くないので、それ相応のクオリティが求められるでしょう。



今回ボタンピアスを作ってみて、納得できるデザインに仕上げるまでに何時間も何日も要しました。


また、素材の扱いについても、実際に製作してみないと分からないことがたくさんあります。


例えばスパンコールを半分に折って丸カンで繋ぎ合わせる工程ひとつ取ってみても、工具で表面を傷つけないよう常に注意を払いながら小さな丸カンで繋いでいくのは大変根気のいる作業でした。

ほかにも、スパンコールは折り目を付け過ぎると色味を出しているセロハンが剥がれてしまうため失敗したら新しいものを付け直したり、

きれいな重なり方になるよう全体のバランスを見ながらひとつひとつ繋げる作業は気が遠くなるくらいに時間が掛かりました。


やっとレイアウトが完成して最後にボタン裏側にピアスパーツを接着する段階になっても、接着剤がほんの少しスパンコールやパーツに付いてしまっただけで光沢が濁って見栄えが悪くなったので、もう一度やり直し、すごく疲れてしまいました。



あちゃさんが寝てから1日分の残りの家事を終え、そのあとに自分が休息する時間を削って真夜中に黙々と作業を続け、気がつくともう明け方になっています。

いまだに産後うつの症状を抱えている自分にとって、1日の疲れをリセットできずに迎える翌日のあちゃさんのお世話は相当キツイ。

(*製作に集中してしまうため、あちゃさんが起きている日中にハンドメイドをすると、構ってもらえないあちゃさんはすぐにグズってしまいます。)



今のわたしが最も優先してやるべきことである、あちゃさんのお世話や家事を疎かにせず、

かつ一定のクオリティを維持しながらユーザーが満足できる作品を製作して販売することを仕事にするのは、現状の自分にとってはかなり厳しいだろうと思うに至りました。


だから今は趣味として留めておこうと思います。


もっとたくさんいろんな素材を見て想像を膨らませたり、 無理のない範囲でちょこちょこ手作業する時間を作るくらいのペースがちょうどいいのかもしれません。

ただ、ハンドメイドに没頭すると確かに疲れるのですが、自分のペースを保ちながら創作することによって得る疲労感は、とても心地の良い種類の疲労です。



頭の中のイメージが形になるのは嬉しい。

形になったイメージを身につけることは楽しい。

「嬉しい」と「楽しい」の軌道から反れないように、長くストーリーを紡いでいけたらいいなと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?