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古建築さんぽvol.3 大川瀬住吉神社

大川瀬、それは知る人ぞ知る三田の奥地

古建築」=「日本古来の伝統工法で建てられた建築物」と、私は勝手に
定義しておりますが、何だか神社本殿ばかりを紹介している気がするため、そろそろ違う建物も。
ということで、今回は兵庫県三田市にある住吉神社へ出かけましょう~!

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三田市内で唯一、能舞台を備えた神社

こちらの神社で特筆すべき特徴は、能舞台です。
しかもこちらでは、神様へ奉納する「神能」が現在も10年に1度行われておりまして、享保11年からずっと現役の能舞台(神社としては舞殿という名称)であります。

古い建築を訪ねていると思うのですが、もしもこれがコンクリートで出来た建物だったら、とっくに老朽化で取り壊されています。
木造建築って本当にすごいですよね。

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神社へのアプローチは、とにかく狭い。
こちらの住吉神社には駐車場はありませんが、鳥居の前の参道に、少しだけ広くなっている場所があり、そちらに車を停めて参拝することが出来ます。

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階段を上ってすぐ正面に見えるのは、いつも通り拝殿です。
そして、その拝殿正面に立って真後ろを振り向いた位置に、目的の能舞台が佇んでいます。

茅葺屋根の能舞台

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こちらが住吉神社の舞殿です。屋根の形式は「入母屋」で「茅葺」
寸法的にキュッと小さめで、可愛らしいプロポーションをしています。

解説板によるともともとは拝殿として建築されたもの。
現在の能舞台の寸法より小さいため、地謡座のスペースがありません。
神能奉納の際は、不足分の舞台を仮設で組んでいるそうです。

舞台のすぐ横に廊下があり、役者の控え室となる長床へつながっています。(タイトル写真をご参考ください)
演者が歩いて登場する廊下のことを「橋掛かり」と言いますが、こちらの
「橋掛かり」は、舞台に向かってまっすぐ直角に設えられています。
長床はかなり改修の手が入っていますが、舞殿よりも古いとか。

本殿は、国の重要文化財指定

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さて、こちらの本殿は三田市内に残された神社本殿建築の中では最も古く、室町時代のものです。三間社流造とよばれる様式で、屋根は桧皮葺。
ごくごくシンプルで、組み物は「舟肘木」と呼ばれる古風なタイプ、庇の部分は「出三斗」(肘木の上に斗を3つのせる三斗組といわれるもの。外に突き出しているものを出三斗、突き出さないものを平三斗といいます)。
正面も背面も一軒で、屋根は大きく張り出していません。

本来、神社建築は華美なものではなく、古い時代のものはシンプルな作りをしています。時代が下っていけばいくほど、色々な様式が混ざり合ったり、大型化したり、装飾が派手になったりするのですが、そういう意味で、長い歴史を十分に感じさせる本殿です。

境内林ヒノキの真っ赤な色。

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本殿の後ろに階段から裏手へ下りて境内林を眺めていると、真っ赤な木肌のヒノキを3本ほど見つけました。

こちらの本殿の屋根もそうですが、「桧皮葺」と呼ばれる屋根は、桧の樹皮を剥いだものを屋根材として使っています。
この真っ赤な木肌は、樹皮を剥いた跡なのです。
緑色の森の中で、真っ赤な肌は痛々しいほどよく目立ちます。

折角珍しい木を見つけたので、桧皮について次回書きたいと思います。

住吉神社所在地: 兵庫県三田市大川瀬字曽根山1646


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