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古建築さんぽvol.5 諏訪大社下社春宮

長野県は小諸市の方で個人的に古材調査の依頼があり、見に行った帰りに諏訪に立ち寄りました。
「諏訪大社」は上社本宮・前宮・下社春宮・秋宮とあわせて全部で4社あり、それぞれが諏訪湖の周りに点在しています。今回は、古材調査のために同行して頂いた大工さんの希望で、下社春宮と秋宮を訪ねました。

毎回鳥居をくぐるときというのはエンジンがかかりますが、今回はいつもと違って、「宮大工が見たい神社」ということで、いつもの倍速です(笑)。

鳥居をくぐって左手に大きな(ケヤキ)大木が出迎えてくれました。付近の街中にも欅の大木が祀ってあったように思います。

鳥居をくぐって境内に入ると、立派な注連縄のかかる神楽殿がお出迎え。この建物は何度も改修を経ているようです。そして、そこを過ぎると…

大工さんが見たかった!という目的の春宮幣拝殿、左右片拝殿が現れます。

春宮と秋宮は、同じ図面を基として、それぞれ違う大工さんが建てたといい、その技を競い合っています。春宮の大工は柴宮(伊藤)長左衛門という人で、建物の彫刻にかけては諏訪で右に出る者がいないという名手だったそうです。伊藤家から柴宮家に養子に入ったので、両方の苗字で呼ばれます。屋根は檜皮葺き、柔らかな曲線が印象的です。

写真が少し暗いのでわかりにくいかもしれませんが、彫刻の神獣が今にも動き出しそうな、ダイナミックな彫り物です。

神様の御殿なので、表現が悪いかもしれませんが、ある意味禍々しいほど迫力があります。社寺建築の彫刻は、専門の彫刻職人がやる場合もあれば、この建物のように大工さん自身が彫ることもあります。

ちなみに現在は専門の彫刻屋さんがやることが多いようです。といっても、彫刻屋さんにも元々は宮大工で、ある時彫刻が上手い人が出て、そのうち彫刻に特化していった…というケースもあるように、大工さんの上手い人は本当に上手い。春宮の彫刻は「ものすごい」という言葉しか出ません。

諏訪大社といえば「御柱祭り」で有名です。

本殿(諏訪大社では「宝殿」と呼ぶようです)は7年に一度立替をするので、古い宝殿(権殿)と新しい宝殿(神殿)が2つ並んで建っています。宝殿は神明造の建物です。

上の写真、手前の片拝殿の屋根越しに、ちらりと茅葺屋根の建物が写っているのが古い方で、権殿です。立替周期が7年と比較的短いためか、宝殿の屋根の茅葺はまぁまぁ適当に作ってあるように見えます。

そして、この2つ並んだ宝殿の奥には、春宮のご神木である「杉」がある筈なのですが、どの木なのか、特定は出来ませんでした。(秋宮編へ続く)

諏訪大社公式HPはこちら。
http://suwataisha.or.jp/index.html

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