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教室。

この場所は、私にとって居心地が
とても悪い場所だった。

12年間。
私の人生の半数以上支配するあの場所。

本来なら、教育を受ける権利を持った子供が
同じ方向を向いて育っていく場所。

暖かい笑い声が木霊する場所。

人間の物語が繰り広げられる場所。

でも何故か、私の瞳には
暗くて冷ややかで息ができない場所に
映ってしまう。

その場限りの関係や、
心の通じ合えない関係に寂しさが募り、
いつしか、私は心の扉を閉めた。

誰かと群れて足並みを揃えたり、
自分の考えで生きていけなかったり、
空気を読んで顔色を伺ってみたり。

私は自分らしく居られない
この場所に嫌悪感さえ抱いた。

でも今思えば愛おしい思い出達
だったのかもしれない。

教室にいる時は
ずっと檻から逃げ出したいと
もがくライオンのように、
感情的になっていたから。

10代得た苦しみや葛藤、寂しさは
これからの人生にきっと役に立つ。

教室の冷たさに泣きわめいた放課後も、
心を通わせることが出来なかった時も、
なんだかんだ言って、
嫌いが好きだった時も。

私の人生の半分以上、
この場所で私は大人になった

意味の無いことなんて世の中になくて、
なにか意味を付けあげないと
寂しくて生きていけなくて。

容易く壊れる関係も、
傷つけあって大人になる友情も、
淡く切ない恋愛も、

もう二度とこの場所で起きない事。

いくら冷たい教室でも、
時が経てば淡い美しい想い出となって
愛の溢れるものになる。

またこの場所で、次の世代の子供達が
ケタケタと鈴のように笑い、
小さな事に一生懸命悩み、
ぶつかり傷つけあって大人になる。

誰かにとって、この場所は冷たくて
突き放すように苦しい場所。

でも、その人が大人になった時、
この場所は戻りたい暖かい幸せな場所。

全てから逃げたい私を
留めて大人にしたのがこの場所なら、
私は今、胸を張ってこの場所を愛している
と言える。

大人になれば過去を愛おしく思うんだから、
たとえ今が嫌いでも
いつか好きと言えるようになる。

逃げたくない、嫌悪感から。
逃げたくない、しんどいことから。

たとえ今が限りなく深くて
光が行き届かなくて
息のできない程 暗黒の海に沈んでいても

逃げたくない。

大人になれば私を留める
強制力をもったあの空間は無い。

誰も留めて置いてくれやしない。

だから必死に私は私を逃がさない。

今なら分かる、教室がどんなに優しいのか。

あと2ヶ月ちょっと。
檻からでたライオンは
これから一人で生きていかないといけない。

己の責任で。

大人になれば、どんな不条理な事にも
偽りの笑顔をしなきゃいけないようで
誤った道を 足並み揃えて
生きなきゃいけないようで

大人にもなりたくないな。

今日も、大人にも子供にも慣れない私は
先の見えない今を懸命に生きる。

今ある嫌なものはいつか好きになる
ものかも知れない。
今あるものはいつか消える。

いつまでも続くなんて甘えた事、
私にはそんな言葉、口にできない。

いつか大人になった時、
同じように葛藤しているteenagerを
導けるように、
大切な感情を 忘れたくない。

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