若手プロに知ってもらいたいこと⑫ このnoteが原則有料である理由【※無料記事】
【理事報酬や給料はゼロ】
まず最初に言っておきますが、何でも「無料にしろ」という人は、まず自分がすべてを無料でやる姿を想像してみてください。
会社の仕事、友達が起こしたトラブル解決、人生相談、飲み会の付き合い。これらすべてを無報酬どころか経費も全部自腹で払うとしたら、生まれつき資産家でダムに金が貯まっている状態みたいな人しか生きていけないですよね? 普通、絶対に成り立たないですよね?
おそらく、そんなことは誰もが分かっているんです。
だからたぶん、私に「無料にしろ」と言ってくる人は「お前は十分もらっているだろう」という勝手な前提があるんだと思います。
たとえば、私が日本プロ麻雀連盟の理事として報酬をもらっていたり、広報部長として給料をもらっているのなら、若手連盟員の教育のために文章を書き、皆に「社内報のコラム」として流すのは全然ありだと思います。ていうか、それならもっと前から積極的にやっていたと思います。
でも、理事報酬ゼロ、広報部長としての給料もゼロなんですよ。プロ連盟の理事に、理事であることに対してお給料は1円も出ないんです。
もちろん、それでも若い連盟員のためにせっせと文章を書ける立派な人はいるでしょう。でも、私はただの俗物ですから、そんな赤ひげ先生みたいな真似はできないんですよ。
そもそも、この私が書いた文章が「良い」かどうか分からないじゃないですか。たとえば赤ひげ先生がやったように、貧しい人を医者として治療するなら100%良いことですから、やりがいもありますが、私の文章って不必要かもしれないですよね。誰も望んでいない文章をせっせと書いて、金ももらえず、読んでももらえず、となったらアホらしいんですよ。
【note開設に至るまで】
ここ最近、若いプロ雀士が一気に増えてきて、しかもチャンスも増えてきています。
プロ連盟には自前の「夏目坂スタジオ」があったり、インターネット麻雀「ロン2」もあるし、KONAMIの「麻雀格闘倶楽部」との深いお付き合いもあります。また「天空麻雀」「日テレプラス麻雀リーグ」「八局麻雀」など、CSのテレビ局の麻雀番組もやらせてもらっています。
活躍の場が増えてきているので、これはすごい勢いで新陳代謝していくだろうなと数年前から思っていたところにMリーグが発足して「これはもう早くやらねば」と焦りました。
最初に考えたのはワークショップです。プロ志望の人や若手プロを対象に、麻雀業界で生き抜いていくためのノウハウを教える学校を作りたいと提案しました。
が、これは理事の皆さんの賛同を得られませんでした。別にダメとかやるなというのではなく、ちゃんと運営していけるビジョンがないという理由でした。簡単に言えば人材が足りなかったわけです。
私がやると言ったのですが、他のこともやらなければならないし、優先順位としては低いだろうという判断でした。
まあ、確かにそうかもしれません。
私はこれ、絶対に需要があるし、連盟も儲かるし、私も儲かるのになーと思いました。
理事報酬などはありませんが、こうやって自分で仕事を作って成功すれば、その利益から自分にも報酬を出すことはできます。
ただ、こういうのって、絵を描くのは簡単ですが、実行するのは大変なんですよ。確かに余っている人材がいるかというと、正直いませんでした。
次に考えたのは、馬場裕一さん主宰のワークショップです。
バビロンの事務所なら10人ぐらいは入れますから、そこで公文式のようなこじんまりとした塾をやるんです。
馬場さんなら、実況、解説、ライター、歴史、裏話、自己プロデュースなど、どんなテーマでも先生になれるのでうってつけだと思っていました。バビロンは常に貧乏なので、こういった事業の売り上げもバカにならないんです。
しかし、すぐに新型コロナが流行ってしまい、閉鎖的な空間での塾をやるわけにもいかなくなってしまいました。
コロナが終わったら、若手プロを集めて私が講師になって、今やっているnoteの内容のようなものをひたすらしゃべり倒す、というのも考えました。でも、そのためには理事会で「プロ連盟のためになるので」ということでギャラがもらえるようにプレゼンしなければなりません。
もしくは、若手プロたちからお金をとって、そこから自分のギャラを捻出するしかありません。
そうなると、1人3,000円ぐらいは必要となりそうです。
何か、連盟の広報部長が会員集めて金も集めて派閥を作ろうとしているように見えるかもしれません。
それはやだなーと思いました。
そうこうしている内に、結局は何もしなくなってしまいました。
【それでも結構働いてます】
とは言いつつも、私は無報酬の割には連盟の皆さんのためにかなり働いてきたと思います。
白鳥翔や魚谷侑未、二階堂姉妹や滝沢和典ら、いま活躍している選手たちが私に対して優しくしてくれるのは、そういった働きを認めてくれているからだと思います。
たぶん、それがなかったら、こんな麻雀が弱くて小太りで手足の短いオッサンなど、見向きもしないですよ。
これだけ人数がいれば、色々な問題が起こります。
こちとら、書籍の校了間際でくそ忙しいという時に、トラブル発生で緊急理事会が開かれたということもありました。
みんなが急に集まれるのは夜中の22時だということで、その時間に夏目坂スタジオに集まって2時間ほど会議をしたこともあります。
それが終わったら顧問弁護士に報告して指示を仰ぎ、また会長と相談です。
やっととりあえず落ち着いたら25時で、そこから朝まで書籍の校了作業ですよ。
本を作れば出版社がお金を払ってくれますが、緊急理事会で集まった理事たちにお金は出ません。
自分で考えて積極的に新しい事業を起こさなくても、すでにある諸問題に対処するだけで手いっぱいなんです。
それに、ことあるごとに、私なりのノウハウとかアドバイスはしてきました。それが正しいかどうかは置いといて「私なり」に、こうしたら良いんじゃないか、という話は、機会があればしてきたつもりです。
今までそういう人はほとんどいませんでしたが、連盟員であればいつでも相談に乗ります。もちろん無料で。
過去に、わざわざ連絡してきて私に質問したのは、白鳥と魚谷と黒沢咲プロぐらいでしょうか。あ、あと蒼山秀佑プロと庄田祐生プロが中途半端な質問をしてきて、私も中途半端な状態で終わった記憶があります。
私は基本「去る者は追わず」なので、とっつかまえて「もっと話を聞け」ということはしません。
若かろうがオジサンだろうが、卓に着いたら戦うプロ雀士同士なんだから、こちらがわざわざ捕まえて教えてやる必要はまったくないのです。
もしかしたら、私が最強戦でやっている仕事を庄田に取られたり、麻雀格闘倶楽部に私が出られなくなって、蒼山が出ることになるかもしれないじゃないですか。そしたら私、金なくなってひもじい思いをしなければなりません。
もちろん、同じ連盟員なんだから、そこまでケチくさいことは言いませんよ。庄田や蒼山に仕事を取られて干上がったら、死ねば良いだけなんです。
そもそも、こんな麻雀界みたいなところに入ってきた時点で、ロクな死に方できるとは思っていません。入会時に想像した通り、歌舞伎町の前の靖国通りの中央分離帯の中で凍死すれば良いんですよ。
【ファンの興味が変わってきた】
昔、麻雀のプロと言えば「書けなければ食えない」とされてきました。
ところがすぐに映像の時代になって、ぜんぜん書けなくても食える人が増えて来たんですよね。
私は書く仕事を半強制的にやらされ、その結果、出版社の方からは便利屋として認めてもらえるぐらいになったのですが、ここに来てこのスキルが生きています。
Mリーグのおかげだと思います。ファンの皆さんが、プロ雀士の生態やプロ業界がどうなっているかということに興味を持っていただけるようになっているのです。
それが分かったのはキンマwebで「桜蕾戦」のオーラスの意味なしアガリ事件について書いたり、Mリーグ最終日の村上淳プロの打ち方について書いた時でした。
結構な人数が読んでくださったのです。
でも、私の懐に入ってきたのは微々たるお金でした。
私がライターとして初めてもらった原稿料を下回る金額だったのです。
でも、これは竹書房がケチっているのではなくて、無料のサイトですから、収入は広告のみなんですよ。その広告収入の額を聞いたら「それは気の毒ですねぇ」と納得しました。
で、次は最強戦のYouTubeで色々と話をさせてもらったのですが、これまた全然儲からない。やる前から分かっていたのですが、儲からないどころか、見てくださる人数も少なかったんですよね。
で、最終的にnoteに行きついたわけです。
これで収益を上げて、竹書房への入金額の半分をくれればいいですよと。
本当はもっともらえたと思いますが、一緒に仕事をする相手に「つまんないなー」と思われたら、イザという時に見捨てられそうな気がするんですよ。
それに、竹書房とは25年近くのお付き合いで、バビロンが極貧ながらもやってこれたのは竹書房のおかげでもあるんです。
そして、私が毎日竹書房に顔を出している時期に東大を卒業して入社してきた変人・カネポンこと金本晃さんが、何と編集長になってしまいました。
そのカネポンの編集長就任祝いではありませんが、せめてキンマwebの広告料金ぐらいは稼いでもらおうと思って、折半という約束でスタートしたのがこのnoteなのです。
【すべてを解決するのがお金】
長々と言い訳してきましたが、私はやっぱり「読みたい人が相応のお金を払って読む」のが合理的だと思っています。
選手の中には、競技麻雀さえ打てれば良くて、黒木なんかの能書き聞いてらんねえという人もいるでしょう。
そういう人にとって、私が連盟の会費からギャラをもらって無料noteを書くという行為は「無駄」でしかないですよね。たとえ1人あたり10円ぐらいだったとしても。
しかも、内容が役に立つかどうかは分からないんです。
人間が生きていくのと同じで、すべては自己責任ですよ。
だから私のnoteにお金を払って、それを読んで、金額と釣り合ったと感じるかどうかはその人次第ですし。合わないと思ったら二度と払わなければ良いわけです。
私はこの仕組みはとてもフェアだと思います。
世の中、やっぱり公平に物事を解決するのはお金なんだと思います。
ただ、ひとつ問題があって。
私はずっと謙遜してきました。でも「麻雀界において」と限定はするものの、私のnoteから得られる「サバイバル術」はかなりのものだと自負しています。
それがnoteをやり始めてしまったせいで、プロ連盟の人だけでなく、他団体の人もお金さえ出せば読めてしまう状態になっていることが、ちょっと問題かなと。
私のnote読んで、他団体の人が「あること」に気づいて「あること」をやり出したらやばいなーと思っています。
ま、そうなったらそうなったで、お互いに営業努力をすれば良いだけのことなんですけどね。
そして実は、麻雀界がそれぐらいの世界になってほしいと思ってはいます。
そしたら本当に私なんか不要になるので、ポイ捨てされて、死ねば良いんですよ。
あ、違う、違います!
今回は若手プロ向けの話になりすぎて忘れていましたが、ぜんぜん麻雀プロ業界の人ではない、一般の読者の方も多くいらっしゃると私は信じています。
その人たちが読んで「面白い」と思っていただけるものを提供し続けていければ、私は野垂れ死にしなくて良いかもしれません。
最後に。
私は購読者のお名前などを知りません。竹書房がこのnoteの運営者であり、著者である私には読者の個人情報は教えてもらえないようにしてあります。
これを読んだ人が連盟内で有利な立場になるとか、最強戦に出やすくなるとかはありません。
それだったら毎月1,000円じゃなくて5万円ぐらいとります。
ただ「読んでます」とか「面白いです」とか「こういうところがダメです」とか「もっとこういうことを書いてください」というお声がけは、ものすごく嬉しいので、どんどんご意見をくださいね。
(了)
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