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【無料記事】世界リーチ(World Riichi)の夢、また一つ果たす 著者:世界雀士

 世界雀士からまた原稿が届いた。前回の記事と筆者が同じかどうかは不明だが、載せてくれというので載せる。
 前回の記事は以下

 以下が今回の原稿だ。まったく私は手を加えていない。

【日本式麻雀を通して世界を一つに】

 日本式麻雀リーグ、特にプロレベルのリーグは今まで日本でしか行われていなかった。しかしそれが今から変わる。
 海外でもオンラインリーグなら成功している例はあるのだが、相手と実際に卓を囲み牌を触りながら争うエキサイティングな麻雀リーグ戦は、ネットでは代わりにならない。そこでワールド・リーチという組織が登場。
 2024年8月3~4日はドイツのケルンで初めての世界リーチ麻雀リーグが開催された。主催はウィーン世界リーチ麻雀選手権の主審でもあったマニュエル・カメダ・シュリック(ドイツ)だった。初回のリーグ戦には36人が半荘8回戦に参加した。海外に拠点を置く初めての麻雀プロ組織設立の基礎を築くための大事な一歩だった。リーグ戦の他に、ケルンのイベントを機に、ワールド・リーチという組織は、日本でも存在しない国際審判資格の制度を設立した。それは一体どんな形で取り組んでいるのか?今回、マニュエル・カメダ・シュリック氏、バレンティン・クルトワ氏(フランス)、坂本ジェマ氏(WRC会長)に、日本式麻雀を通して世界を一つにする目標を持った活動について尋ねてみた。
 世界リーチ麻雀麻雀リーグのプランをいつから組み立て始めました?そのアイディアはどこから来ました?

バレンティン・クルトワ氏:麻雀というゲームを真面目に打つのが好きです。運が良く、いい成績を出すことができたから期待もしていなかったところまでたどり着いています。(クルトワ氏はWRCウィーンで見事に3位で終了し、アマチュアの最高位でした)ヨーロッパ麻雀協会(EMA)のイベントには数年参加してきたけれど、ヨーロッパのプレイヤーに強くなる素質が見えます。プロレベルのリーグでしか経験ができない競争的な環境に対しての需要があると思います。まずは僕の理想的なリーグ戦をまとめてみて、それをワールド・リーチの坂本氏に提案してみました。そのビジョンを信用してくれて、実現するのに支援してくれたことを感謝しています。将来的にはヨーロッパだけではなく、もっと大きな幅で開催できるようにしたいです。

 世界各地で日本式(リーチ)麻雀の大会が多く開催されています。世界リーチ麻雀リーグが世界のリーチ業界にどのような貢献ができますか?

クルトワ氏:まずは大会ですね。現在ヨーロッパのサーキット大会では48時間以内に満席になることもあります。世界リーチ麻雀リーグではオンライン以外の対戦機会を増やすことができます。
 そしてプレイヤー層と期待されている行動が従来の大会と多少異なります。麻雀への接し方は人それぞれだし、競争環境に相応しくない行動で審判に注意されても聞く耳を持たない方もいます。このリーグは最初から競争的な環境を求めているプレイヤーだけが集まるからそういう問題がそもそも起こりません。今まで開催されてきたヨーロッパ大会の置き換えにしたいわけではなく、麻雀の欲が満たされていない方のために麻雀のビュッフェを提供したいです。

マニュエル・カメダ・シュリック氏:世界リーチ麻雀リーグとしては、世界中の麻雀プレイヤーが腕を磨いて実力を試せる場の主催者として認識してもらいたいと思っています。多くの方には麻雀は「ただのゲーム」かもしれないけれど、少数ではあるが数が増えてきている我々のような層には麻雀はもっと深い存在になっています。この少数派はもっと競争的な大会にもっと多く参加したいわけです。とりあえず麻雀が足りない!と。もっと強くなりたいし、その山を登るためにはもっと強い相手と対戦する必要があります。僕の個人的な目標は麻雀に対してだけではなく、相手に対しても尊敬し合えるコミュニティーを構築することです。

日本式麻雀のリーグ戦は従来日本だけにあって、主に東京だけで開催されてきたものです。世界リーチ麻雀リーグの特徴はなんでしょうか?

坂本氏:海外でリーグを設立するのに乗り越えなければならない様々な障害があります。まずは人口ですね。海外の日本式麻雀をする人口がいよいよリーグ戦を立ち上げることが可能になる数に達しました。他の地域と比べて、日本式麻雀を基に作られたEMAリーチ競技ルールがもともと存在していたヨーロッパは早いスタートを切ることができています。実は従来人気を持った(中国公式ルールベースの)「ヨーロッパ麻雀競技ルール」よりも人口が多く増えてきました。だからこそ世界リーチ麻雀リーグはヨーロッパを拠点に始めて、世界標準となったWRCルールで開催することが論理的でした。これで成長するとともに様々な面で対応がしやすくなります。
 しかし、中央拠点があるとしても、みんな住んでいる国が違います。中央線に乗ってスペイン~ロンドンに日帰りで通うことはできないですね。だからヨーロッパに合う構成が必要でした。とりあえず強制的に4対戦だけのために毎月参加させることは旅費を考慮して現実的ではなかったです。だから代わりに同じ週末に2節(8対戦)を開催してみました。東京のプロリーグよりも開催頻度が少ないため、今のところ獲得ポイントをリーグの昇級・降級ではなく、将来のプロランキングに適用する予定です。

初めての世界リーチ麻雀リーグの評価はいかがでしたか?今後変えようと思ったところはありました?

クルトワ氏:参加者に聞いてみると好評だったようです!制度には満足していた方が多く、全員真面目に参戦していたこともよかったです。そして今までになかった新たな麻雀の発展に参加できることもみんなウキウキしていました。不安や疑問も当然あったし、僕でもランキング制度の目標をちゃんと達成できるかは不安に思う時もありますけれど、一回目のイベントは成功したのでこれからの仕事が大事です。だけど完全に新しい出来事で、それを理解した上で一緒に成長していきたい参加者がほとんどです。信用できるスタッフや主催者を作って、多くの参加者も貢献できる環境を作り続けたいと思っています。審判の基準を確認するためにはマニュエルさんとジェマさんがテストを用意して、お陰様でケルンのリーグ戦で初めて世界リーチ審判の資格を獲得した方が出ました。しかも思ったよりもテストにチャレンジした方が多かったです!

カメダ・シュリック氏:変えたいことは…休憩ですね。もっと短くしましょう!(笑)正直、この企画に誘われた時は直ちにOKしました。と言うのは、今まで5回の大会の主催を成功して、僕が所属する「リンシャンカイホウ・クラブ」のメンバーを信用しているから、このリーグ戦も絶対に成功ができると思っていました。飛行機の遅延があって、仕出し屋がキャンセルになって、他のところも引っかかってしまって、勉強になったところもありましたけれど、なんとか成功しました。麻雀と同じく、課題や成長できる点は永遠に残ると思います。

世界リーチ麻雀リーグはこれから設立される世界リーチプロ麻雀の組織とどのような関係になっていきますか?

坂本氏:バレンティンさんがヨーロッパリーグ戦の提案をしてきた時には考えるまでもなかったです。世界リーチという組織は少しずつプロ団体を作ることに向かっていましたがコロナ禍などで思ったよりも遅くなりました。新しいプロ団体には会員が参加できる魅力的な活動が必要不可欠だと思っています。このような物理的なリーグが大きな柱となります。2025年に入ってからアメリカにも広げていきたいと思っています。

史上初の日本式麻雀審判テストや資格を開発して、ケルンのリーグ戦で提供しましたね。この審判資格制度での目標は?合格した方はどのようなメリットがありますか?

カメダ・シュリック氏:EMAみたいに他の組織でも似たような制度は既に存在するにもかかわらず、WRCでは審判に資格などの条件はなかったです。パリやラスベガス、ウィーンのイベントでは審判はWRCのルールを深く理解しているボランティアで構成されていました。その次の段階として、大会が開催される各国に審判を置く必要性が出ました。正直、結構大変なことです。できるだけムラを無くすために審判の内容を合理化し調和を持たせることが目標です。どんな大会でも審判は必要な存在で大切な柱となり、全体的な大会の評価にも関わります。
 興味を持っていたプレイヤーは数人いましたのでジェマさんと一緒にオンライン講座を2回開いて、これから審判になる方に対しての期待を話し合いました。審判のテストの内容はルール、点数計算、複数待ちの3部に分けて行う予定を立てました。プロテストと異なる部分もありましたけれど、日本のプロテストから借りた要素もありました。プチプロテストみたいな感じでした。ケルンの大会の前日の金曜日の夕方に受験者20人が集まりました。今回は交通機関のトラブルがありましたので急遽土曜日も受験できるようにしました。最終的には30人以上の方が審判テストを合格し、自信を持って世界リーチ麻雀リーグのトーナメントを開催できるようになり、この重要な偉業を境に、このコミュニティーがまた一歩成長しました。これはまだボランティアの活動であり、こんなに多くの方が参加してくれたことに感謝しています。合格者の皆様、おめでとうございます!

世界リーチ麻雀リーグの次節はいつ開催されますか?どのくらいの頻度で開催する予定ですか?

バレンティン・クルトワ氏:既に発表しましたが、12月にケルンで次回の開催を予定しています。欧州を渡る主催者やチームのネットワークをさらに築き上げ、どこでもリーグ戦を開催できるようにしたいと思っています。最終的には毎月開催できるようになりたいと考えていますが、良いリズムを確立するには時間がかかりますし、現時点では数よりも質に集中していきたいと思っています。

(了)

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