見出し画像

大和証券Mリーグ TEAM RAIDEN/雷電 連勝の舞台裏

【最強の気遣い】

 私が「TEAM RAIDEN/雷電」の控室にお邪魔するのにはいくつかの理由がある。

 一番は、行きたいから。

 当然、行きたければ誰でも行けるものではないので、何かしら大義名分が必要となる。
 初年度は萩原聖人プロの著書のお手伝いをするために、毎試合のようにお邪魔した。
 Mリーグの初年度でもあり、内情を間近で見ておきたいという気持ちもあった。これは日本プロ麻雀連盟の理事として、選手たちが何か困っていないかとか、そういう気持ちもあって行っていた。だが、そんなことを勝手にやっても、誰もお金は払ってくれない。だから、萩原さんの著書というのは「言い訳」として大きな意味を持っていた。
 2年目以降はあまり行けなかった。というか、行かないようにしていた。私は所詮は部外者であり、出しゃばってもよくないと思っていたし、コロナという厄介な存在もあった。

 ところが今シーズンの前に「近代麻雀」で高柳監督の連載「マイナス1200からの復活へチーム雷電・高柳監督のMリーグ奮闘記」が始まった。
 この対談形式の記事のお手伝いをすることになったので、またしても「大義名分」を手に入れたのである。

 それでも、すべての試合には行くことができない。行けそうな日でも書きたい原稿があったりすると、サボることもあった。
 だが、瀬戸熊直樹プロから、最強位を連覇したあの夜に「明日、萩原さんの登板日なんですけど、黒木さん行ってもらえませんか」と言われて以来、萩原さんの日だけは、できるだけ行くようにしている。
 瀬戸熊さんは打ち上げの席で私のところへやってきて「監督もどうしても行けないみたいです。黒木さんがいるだけで、気持ちが違うと思います。できたら行ってもらえませんか」と言った。
 
 その頃、萩原さんは舞台「しびれ雲」の真っ最中で、麻雀の練習もあまりできていなかった。そんな中で大事な試合を任される。
 どんな思いで卓につき、どんなプレッシャーや不安を感じているかは、萩原さん本人にしか分からない。
 ただ、瀬戸熊さんは萩原さんの内面を自分なりに察して、私に「控室にいてくれ」と頼んでくれたのである。

【西子の松ぼっくり】

 1月7日には私のリーグ戦があって、最終節で昇級がかかっている。1月5日は勉強会があって、そこで公式ルールで打つ練習をしておきたかったので、17時から2回だけ打たせてもらい、Mリーグスタジオに向かった。
 道中、本田朋広プロの対局をスマホで見ながら移動した。
 見始めた時にはすでにラス目だったが、その後、2,000点想定の仕掛けがハネ満になるなど、今期の本田らしさを発揮し始めた。
 スタジオに着いた頃には2着にまで浮上していた。
 直後にあったのが、七対子の一萬タンキ待ちのリーチだった。
 セガサミーフェニックスは気の毒だったが、ダントツの茅森早香プロが一萬を放銃し、裏ドラがのった時には、関係者一同、大喜びだった。
 
 黒沢咲プロの「ばあや」役として、今や雷電ファンの間では有名になっているトミーも大喜びだった。
 でも、トミーはぜんぜん麻雀が分からないので、テロップが動いて18,000点が移動して初めて「うわー、これめっちゃ高くないですか!?」と叫んでいた。
 
 今シーズンから、雷電の控室には「お札」が祭られているのだが、その横に松ぼっくりが鎮座していた。
 鎮座という言い方はおかしいのかもしれないが、神社のお札の横にあるから、まるでもう一柱の神様がいるように見えたのだ。

ここから先は

1,740字 / 1画像
この記事のみ ¥ 200
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?